【A320】旅客機にはどんな燃料が使われているの?

【A320】旅客機にはどんな燃料が使われているの?

世界で売れ筋1番2番を争う人気機種「A320」ですが、どんな燃料を搭載しているのかご存知ですか?

また、A320の搭載燃料の種類は、何種類認められているか知っていますか?

今回は、A320に使用可能なジェット燃料のご紹介です。

エアバス社に使用が認められている燃料

A320に使用することができる燃料は、「Jet A」「Jet A1」「Jet B」「JP4」「JP5」「JP8」「N°3 Jet」「RT」「TS-1」の9種類です。

この中でも日本では、Jet A1が主流の燃料で、多くの主要空港で提供されています。

ジェット旅客機に使用する燃料は、JIS規格で定められており、「航空タービン燃料油」と呼ばれています。

また、一般的に「ジェット燃料」と呼ぶ人も多いです。

このジェット燃料は、その蒸留成分によって「ケロシン系」と「ワイドカット系」に別ける事ができます。

  • ケロシン系:ほぼ灯油留分
    • Jet A1, JP5, JP8
  • ワイドカット系:灯油留分+ナフサ留分(ガソリンの元)
    • Jet B, JP4

ジェット燃料に求められる事とは?

飛行機を運航するにあたって一番大切なことは安全です。

上空で燃料に予期せぬ引火が起こってしまったら、飛行機はすぐには着陸できません。

軽量化され作られている機体は、あっという間に燃え尽きてしまうことでしょう。

飛行中の火災は最も恐るべき事の1つです。

基本的には飛行機の素材は不燃材で作られています。

飛行機の中で一番萌えやすいものといえば、燃料ではないでしょうか。

そんな燃料には、色々な安全性に関わる条件が課せられています。

燃料に求められている事は、「発熱量がある程度大きい事」「燃焼性がいい事」「揮発性が適度である事」「凍結しにくい事」「金属を腐食させない事」「電気伝導度が高い事」「科学的安定性が高い事」「熱的安定性が高い事」などが挙げられます。

燃料が安定して燃え続けてくれないと、飛行機は推力を安定して得る事ができなくなってしまうでしょう。

発熱量が足りないと、燃料をより多く搭載しなければならなくなり、コストがかさんでしまいます。

また、地上で+40℃以上ある真夏の滑走路から離陸しても、上空3万フィートの高高度を飛行していると、−50℃を超える寒さにもなります。

機体や燃料の温度の振れ幅が、自動車や船舶とは比になりません。

なので、燃料は地上の暑いときでも爆発など起こさず、また、上空で冷やされても凍る事なく安定的に、燃焼されなければなりません。

また、飛行機はアルミ合金などの金属でできているので、そんな金属類を腐食させてはならないのです。

もし目に見えないところで、燃料漏れが引き起こり、金属が燃料により腐食していってしまったら、一大事になりかねません。

先ほどもお伝えしたとおり、ジェット燃料と言っても「ケロシン系」や「ワイドカット系」などと、種類があります。

A320にも9種類の燃料が使えるので、普段使わないにしろ、それぞれの燃料の特徴などを知っておくといいかもしれないですね。

A320に使える燃料のそれぞれの特徴

JP-5のタンクローリー by Hunini
  • Jet A(Jet A1とほぼ同じ:※析出点:-40℃)
  • Jet A1(析出点:-50℃)
  • Jet B(比重が軽く、低音・高高度での着火性がいい=極低温地域に最適)
  • JP4(Jet Bとほぼ同じ:米空軍で、1951-1995年まで主要燃料として使用された)
  • JP5(発火点が高いので、火災への安全性を高めたもの:海上自衛隊や米海軍の空母艦載機の燃料として活躍)
  • JP8(Jet A1とほぼ同じ:JP4よりもベンゼンとn- ヘキサンの含有量を減らしより高い安全性。戦車などにも使われる。)
  • N°3 Jet
  • RT
  • TS-1
析出点:燃料を冷却していき、結晶が現れる温度を指す。