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【航空機事故】アシアナ航空162便着陸失敗事故と今後の対策

【航空機事故】アシアナ航空162便着陸失敗事故と今後の対策

46/73 は何を示している数字かご存知ですか?

2015年4月に、広島空港で起こってしまった、アシアナ航空162便着陸失敗事故に関係する数字です。

これはアシアナ航空162便の乗客73名のうち、半数以上の46名が日本人であったということを示しております。

奇跡的にも犠牲者は出ませんでしたが、なぜこのような事故が起きてしまったのでしょうか。

今回は、アシアナ航空162便の着陸失敗事故の概要と原因をみていきましょう。

事故概要

  • 日時:2015年4月14日
  • 出発空港:【韓国】仁川(インチョン)国際空港
  • 到着空港:【日本】広島空港(事故は日本時間20:05分に発生)
  • 乗員:8名
    • 機長:49歳男性(飛行時間8,233時間)
    • 副操縦士:37歳男性(飛行時間1,583時間)
  • 乗客:73名
  • 使用機材:エアバス式A320-232(機番:HL7762)

広島空港のランウェイ28(RWY28)に向け、RVAVアプローチ中に、滑走路手前のローカライザーアンテナに接触しました。

この時、アンテナは左エンジンに吸い込まれ全損状態で、左水平尾翼は途中で折れてしまっておりました。

飛行機は滑走路設置後、横滑りをし滑走路南側に脱輪し、180度旋回した形で芝生の上で止まりました。

自走は不可能なほど車輪は破壊されておりました。

広島空港のILSはRWY10側についております。

広島空港は山に囲まれており、天気が悪くなることで有名です。

なので、広島のRWY10のILSはCAT IIIbという日本では一番高カテゴリーに分類される、より悪い天気に強いシステムを導入しております。

事故当時、風は穏やかで空港の南に霧が発生しておりましたが、RNAVアプローチからILSアプローチへ変える必要のほどではありませんでした。

また、空港の東側から広島空港へのアプローチ機が、何機か続いておりました。

ここで、使用滑走路をRWY28からRWY10に変更すると、約10分程度の時間を要してしまいますので、RNAVアプローチでRWY28への着陸が続行されておりました。

事故原因

Go Aroundしなかった:

運輸安全委員会は、機長が視界不良で、滑走路や進入灯の一部などを視認できないまま、着陸を決行したことが原因と結論づけました。

通常飛行機は3度の角度で進入してきます。この角度で進入してくれば、ローカライザーアンテナに接触することはまずあり得ません。

しかし、最終着陸時にローカライザーアンテナに接触しているので、アプローチがとても低なっております。

通常、飛行機についているコンピューターに正確にアプローチを入れて、オートパイロットを使用していると安定してアプローチができます。

今回は、機長の独断でオートパイロットを切り、手動で飛行機を操っておりました。それにより、飛行機のパスも低くなってしまっていたのです。

通常の着陸では、最終着陸時には飛行機の計器ではなく、PAPIやパイロットの目視で高いか低いかの判断が行われます。

PAPIのライトが、赤2つと白2つであれば通常のパスにいる目安になります。赤の割合が多くなれば、それだけ低くなっているという目安なのです。

また、ベテランになればなるほど飛行機に3度のパスは、目で見て判断ができるようになります。

滑走路の見え方で、目標の接地点に対して高いか低いかの判断ができるようになるのです。

今回の場合、ローカライザーアンテナに引っ掛けるほど、低高度を飛行していたのであれば、PAPIの色は赤が4つになっていたことでしょう。

赤4つになってしまっては、大幅にパスより低いのですぐにでもゴーアラウンド(Go Around)をするべきです。

しかし、今回のケースでは機長はGo Aroundをしませんでした。

それはなぜなのでしょうか?

それは、RWY28側を霧か何かが通過して、急激に視界が悪くなったと考えられます。

下の図のように、事故が起こった時刻20:05分の前後でRWY28のRVRが悪くなっています。

その後20:08分にはまた元のように回復しているので、ほんの5分の視界の変化で起こってしまった事故でした。

規定違反とコミュニケーション不足:

航空法やアシアナ航空の社内規定で、天候が悪い時など滑走路や進入灯の一部などいくつかの目標物が十分に視認できない場合は、着陸をやり直すようになっています。

今回は、数分の出来事で急激に天候が変わったかもしれませんが、Go Aroundするべき時にGo Aroundができておりません。

副操縦士も目標物が見えなくなったことを機長に告げましたが、Go Aroundするべきだとはっきり主張するべきだったでしょう。

規定を守らない人が勿論悪いですが、現行の飛行機は二人で飛ばしております。

副操縦士としてキャプテンに物を言うときは言わないと、二人乗っている意味がなくなってしまうのです。

ブリーフィングの欠如:

機長は当時、RWY10へILSアプローチで着陸すると思っておりました。

しかし、ILSを行わなければいけない天候でもなく、航空交通の流れなどもあり、広島のRWY28へのRNAVアプローチ許可が出ました。

これにより、パイロットはコンピューターにRWY28のRNAVアプローチを入れ直して、ブリーフィングを行います。

通常ブリーフィングでは、空港のアプローチが正しく入っていることや、着陸できなかった時の手順など想定できることを想定して、二人でどうする必要があるか話し合います。

また、そこに潜んでいる危険な要素をあぶり出します。

さらに、その時になってあたふたしないように、必要な手順などを確認しておきます。

しかし、今回は適切なブリーフィングが行われておらず、機長と副操縦士の意思疎通が詰めきれていなかったと言えます。

対策

航空業界の中での大事な決まり事の多くは、過去の失敗から来ているものです。

過去に起こった悲惨な事故から学び、同じミスをどうしたら防げるのか多くの人で考え、それによって導き出された防止策です。

滑走路や地面が見えないのに着陸を決行したら、安全は担保できません。

何もないところで考えると当たり前のことですね。

しかし、さっきまで見えていた滑走路が一瞬だけ消えてまた、すぐに見えるだろうと思ったらどうですか?

一回Go Aroundしてしまうと、何機かアプローチしている一番後ろの方に回され、何十分も遅延してしまうかもしれません。

もう一度着陸するために、天気を取り直してして、コンピューターにアプローチのルートを描き、ブリーフィングを行い、再度アプローチするという手順を踏まないといけないです。

ATC側にもGo Aroundの理由を聞かれますし、会社側としても燃料費がかさみます。

さらに、エアラインはギリギリの燃料しか積んでいないので、途中のエンルートなどで想定外に余分な燃料を食ってしまい、着陸まで残された燃料が残りわずかだったらどうしますか?

少しでも、こういうGo Aroundをためらってしまうようなことが頭をよぎってしまっては、リスクが高くなってしまいます。

たとえ手間が増えたり、燃料代がかさんだり、到着が遅れても、Go Aroundしなければならない時は、Go Aroundしなければならないです。

アシアナ航空の事故も、「今回だけは大丈夫であろう」という考えがあったかもしれません。

事故を調査した日本の運輸安全員会は、韓国の運輸当局に対して、乗務員の訓練と規則順守の徹底を韓国の国土交通部に指導するよう勧告しました。

まとめ

ルールを知っていて、それを守ることがとても大切なことを学びました。

自分だけや今回だけ大丈夫であろうという考え方は、とても危険ですね。また、キャプテンといえども危険な行動をとったのであれば、副操縦士はビシッと言うべきです。

さらに少し前までは、人間がオートパイロットを制御するという考え方の元で、オートパイロットが使われている時期がありました。

しかし、今ではオートパイロットはパイロットを助けてくれる、もう一人のパイロットのような存在に変わってきました。

機械なので、正しく人間がインプットしてあげないと、正しいアウトプットを出してくれません。

しかし、正しくインプットすれば正しく飛行してくれ、人間の負担が減るのです。

それにより、パイロットは飛行機の異常事態の監視や、危険の察知などに気が回せ、より余裕が生まれより安全に運航できるようになります。

なので、エアバス社が掲げるゴールデンルールというものにも、”Use appropriate level of automation at all times”(適度なレベルのオートメーションを常時使うべき)と記載されているのです。

不幸中の幸いですが、今回の事故で犠牲者が一人も出さずに済んだことは奇跡と言えるでしょう。

【関連事故】

【参考文献】

エアラインパイロットのための航空事故防止 1
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