目次
インドネシア・エアアジア(QZ)8501便墜落事故はなぜ起きたのか?|【概要と原因】

事故概要
乗員乗客:
- 機長:53歳インドネシア人男性。
- 副操縦士:46歳フランス人男性。
- キャビンクルー:5名
- 乗客:155名
- 合計:162名
使用機材:
- エアバス式A320-216
- 機番:PK-AXC
- 2008年製造。
- 事故当日まで、13,610サイクル使用(23,039時間)
飛行ルート・高度・その他概要
- 出発地:インドネシアのスバラヤJuanda空港
- 目的地:シンガポールChangi空港
- 出発時刻:2014年12月28日・世界標準時 22:35分(定刻15分遅れ)
- 離陸後14分でFL340に順調に上昇
- 飛行ルート上に厚さ5〜10km、高さ48,000ftの雷雲があり、予定ルートの左側に進路をとり、FL380をRequest
- STBY Requestがきて、少したってからFL340への上昇許可が出たが、エアアジア8501便からの返信は来ず。
- 最大8,000ft/minで上昇後、24,000ft/min急降下
- 23:18 – (離陸後43分後)ADS-Bの信号も途絶えた。
- 12/30 – 捜索部隊にて30点ほどの残骸と遺体を発見
- 1/12 – ブラックボックスの一部回収
- 合計100名の遺体を回収でき、このうち72名の身元判明


原因
Rudder Travel Limiter Unitの調子が悪い:
- Rudder Travel limiter Unitの故障が2014年だけで23回もあった。
- そのうち2014年11月に5回、12月に9回と故障回数が増えていった。
- 12/25 (事故前々日) – AUTO FLT RUD TRV LIM SYSのメッセージが出て、整備士がFAC2のサーキットブレーカのリセットで治った。
- 事故当日の離陸後、23:01から約12分間で3度Rudder Travel Limiterに関するECAMが表示された。

上空でCircuit Brakerのリセット:
- 機長が自らFACのCircuit Brakerのリセットのため、席を立った。
- リセット後、両方のFACが不作動という表示が出て、AutopilotとAuto Throttleが不作動になる。
- そして、Normal LawからAlternate Lawに自動的に切り替わる。
- 機体が9秒で左バンク54度となり、席にいた副操縦士が2秒でバンク9度まで戻すも、急に戻ったことに驚いたのか、操縦桿を左一杯に倒し、再び左バンク53度になる。その後機体のバンク姿勢は、元に戻される。
- その頃、ピッチが3秒で9度機種上げとなる。
- Autopilotが切れた約9秒後にStall Warningがなり、機長が「Level Level」と叫ぶものの、副操縦士はSide Stickを思いっきり引いて、機種上げのInputをしていた。
- 機長はたて戻そうとするものの、Dual Inputが発生していた。
事故報告委員会の見解:
- Rudder Travel Limitter関係のECAM発生原因:Rudder Limiterの半田付けに亀裂が入り、接触している時としていない時が発生していた。
- FACのCircuit Brakerをリセット後のAutopilot解除後、機長と副操縦士のInputの違いを飛行機が感知して、Dual Inputと発していたが、二人とも気が付かなかった。
- 二人とも逆のInputを行なっていたので、昇降舵は中立で保たれていた。
- 海面へ激突するまでDual Inputが続いていた。
- 積乱雲は直接的な影響はないと判断。
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- エアアジア8501便墜落事故はなぜ起きたのか?|【概要と原因】
【参考文献】
- 「インドネシア・エアアジア8501便墜落事故」(2019年9月22日 (日) 19:30 UTCの版)『ウィキペディア日本語版・英語版』