パイロットになるには|資格編:一体どんな資格が必要なの?

パイロットになるには|資格編:一体どんな資格が必要なの?

突然ですが、世界を牽引している航空機製造会社といえば、米国のボーイング社とヨーロッパのエアバス社です。今日本で飛行機に乗れば、ほぼこのどちらかの飛行機に搭乗することでしょう。

そんな、日本や世界でも圧倒的なシェアをもつボーイング社が、2018年から2037年までの20年間に必要になるパイロットの人数を発表しました。

Over the next 20 years, the Asia Pacific region will lead the worldwide growth in demand for pilots, with a requirement for 261,000 new pilots. North America will require 206,000, Europe 146,000, the Middle East 64,000, Latin America 57,000, Africa 29,000 and Russia/ Central Asia 27,000.

Boeing Home Pageより

簡単に要約すると、次の20年間はとてもパイロットが必要になると予想されております。具体的に予想される人数はそれぞれ:

  • アジア太平洋地域:261,000人
  • 北アメリカ:206,000人
  • ヨーロッパ:146,000人
  • 中東:64,000人
  • ラテンアメリカ:57,000人
  • アフリカ:29,000人
  • ロシア/中央アジア:27,000人
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だそうです。私たちの日本が該当する、アジア太平洋地域のパイロット人数が261,000人と一番多いのがわかります。

これは、パイロットになる絶好のチャンスだと言えるのではないでしょうか?

日本では2020年に行われる予定の東京オリンピック、2025年に行われる予定の大阪万博など、インバウンド需要が高まる予定です。

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また、2012年のLCC元年から、国内の航空産業はお互いに切磋琢磨しております。

一部の報道によると、航空会社の負担が大きい自社養成などをしてまでも、パイロットを育てないと、パイロットの確保が難しくなっているようです。

さらに追い討ちをかけるように、日本国内ではバブル時に大量に採用したパイロットが、2030年頃一斉に定年を迎えてしまう時期:2030年問題も抱えております。

日本国内でもパイロットの取り合い合戦が行われ、さらに今後その争いは国を超えて、アジア地域全体での、パイロットの取り合い激化が予想されております。

ならば、需要と供給の関係で今後のパイロットの給料が上がるのではないでしょうか?

かつてはごく一部の人間しか、パイロットになれなかった時代がありました。

しかし、パイロット不足の追い風の影響もありその夢を叶えるチャンスは今までよりも、より多くの人に恵まれていくことでしょう。

ならば!

必要な資格を取得して、いつでもエアラインの訓練に参加できるように準備しておければ、チャンスをより掴みやすくなることでしょう。

今回は、パイロットになるシリーズの資格編と題して、飛行機のパイロットの資格4つををご紹介します。

自家用操縦士免許

受験資格:

  • 年齢:17歳以上
  • 総飛行時間40時間以上
    • 10時間以上の単独飛行
    • 出発地点から270㎞以上の飛行で、中間において2回以上の生地着陸をするものを含む5時間以上の単独操縦による野外飛行
    • 夜間における離陸、着陸及び航法の実施を含む20時間以上の同乗教育飛行

資格でできること:

  1. 航空機に乗り組んで、報酬を受けないで、無償の運航を行う航空機の操縦を行うこと。

事業用操縦士免許

受験資格:

  • 年齢:18歳以上
  • 総飛行時間200時間以上。
    • 100時間以上の機長としての飛行
    • 出発地点から540km以上の飛行で、中間において2回以上の生地着陸をするものを含む20時間以上の機長としての野外飛行
    • 機長としての5回以上の離陸及び着陸を含む5時間以上の夜間の飛行
    • 10時間以上の計器飛行

資格で出来ること:

  1. 自家用操縦士の資格を有する者が行うことができる行為
  2. 報酬を受けて、無償の運航を行う航空機の操縦を行うこと。
  3. 航空機使用事業の用に供する航空機の操縦を行うこと。
  4. 機長以外の操縦者として航空運送事業の用に供する航空機の操縦を行うこと。
  5. 機長として、航空運送事業の用に供する航空機であつて、構造上、一人の操縦者で操縦することができるもの(特定の方法又は方式により飛行する場合に限りその操縦のために二人を要する航空機にあつては、当該特定の方法又は方式により飛行する航空機を除く。)の操縦を行うこと。

定期運送用操縦士免許

受験資格:

  • 年齢:21歳以上
  • 総飛行時間1500時間以上
    • 100時間以上の野外飛行を含む250時間以上の機長としての飛行
    • 200時間以上の野外飛行
    • 100時間以上の夜間の飛行
    • 75時間以上の計器飛行

資格で出来ること:

  1. 事業用操縦士の資格を有する者が行うことができる行為
  2. 機長として、航空運送事業の用に供する航空機であつて、構造上、その操縦のために二人を要するものの操縦を行うこと。
  3. 機長として、航空運送事業の用に供する航空機であつて、特定の方法又は方式により飛行する場合に限りその操縦のために二人を要するもの(当該特定の方法又は方式により飛行する航空機に限る。)の操縦を行うこと。

准定期運送用操縦士

受験資格:

  • 年齢:18歳以上
  • 航空大学校又は指定航空従事者養成施設において総飛行時間240時間以上
    • 単独飛行10時間以上・出発地点から270キロメートル以上の飛行で、中間において2回以上の生地着陸をするものを含む5時間以上の単独操縦による野外飛行・夜間における離陸、着陸及び航法の実施を含む20時間以上の同乗教育飛行を含む35時間(模擬飛行時間を有するときは、当該時間(5時間を限度とする。)を減じた時間とすることができる。)以上の飛行。
    • 異常な姿勢からの回復を行う飛行
    • 夜間の飛行
    • 計器飛行

資格で出来ること:

  1. 機長以外の操縦者として、構造上、その操縦のために二人を要する航空機の操縦を行うこと。
  2. 機長以外の操縦者として、特定の方法又は方式により飛行する場合に限りその操縦のために二人を要する航空機であつて当該特定の方法又は方式により飛行するものの操縦を行うこと。

まとめ:

現在の所、准定期運送用操縦士はANAかJALの自社養成の人が取得可能です。

なので、多くの人は:

  • 大学や自費で自家用操縦士免許、事業用操縦士免許を取得して航空会社にエントリーする
  • 航空大学校に進む
  • 海外で免許を取得し、日本で書き換える
  • 各会社の自社養成にエントリーする

のいずれかに進むことになるでしょう。

日本の航空会社では、事業用操縦士免許を取得しなければ、エントリーができないところが多いようです。

言い換えると、会社として雇ってあげる前までに、どの道を進んでもいいけど、自分で事業用操縦士免許まで取得してきてね。と言われているのです。

ざっと計算してみると、自費で事業用操縦士免許までを取得する事を踏まえて、日本で小型単発機(セスナ式172 Skyhawkなど)を使用して訓練したとすると、1時間あたり約3万円程度かかりますので、

約3万円(1時間辺り) ×200時間(受験資格最低必要飛行時間) = 600万円!

が必要な計算になります。この他にもテキスト代や必要経費が上乗せされるので、パイロットになるにはかなりハードルの高い自己投資が必要であるという事でしょう!

Reference: