【航空機事故】アメリカン・イーグル航空4184便墜落事故について
概要
- 日付:1994年10月31日
- 航空会社:アメリカン・イーグル航空(Simmons Airlines)
- 使用機材:ATR 72-212(機番:N401AM)
- 乗員:4名
- 機長:29歳男性(総飛行時間7,867時間)
- 副操縦士:30歳男性(総飛行時間5,176時間)
- 乗客:64名
- 犠牲者:68名(全員)
- 出発地:インディアナポリス国際空港(インディアナ州)
- 目的地:シカゴ・オヘア国際空港(イリノイ州)
アメリカン・イーグル航空4184便は、インディアナポリス国際空港からシカゴ・オヘア国際空港に向かう便で、特に問題もなく準備がかととのい、シカゴ・オヘア国際空港に向け離陸しました。
アメリカン・イーグル航空4184便は、LUCITで10nmの右旋回のホールディングをATCに命じられました。
この時のEFC:Expect Further Claranceは15:45(21:45Z)と告げられ、到着が遅れる事が予想されました。
15:24 4184便はホールディングポイントに到着し、ホールディングを開始した旨をATCに伝えました。
また、カンパニーにACARSでEFC が15:45とATCに言われて遅れる旨を伝えました。
この時、10,000ftでホールディングが行われており、ホールディングに入ったので、プロペラ速度は77%まで絞られ175ktでFlapはUpの状態で飛行しておりました。
15:33 キャプテンが旋回中にAOA: Angle of Attackが通常よりも大きく、約5度になっていることに気がつきました。
操縦士達は、機首を下げようとの狙いでFlapを15°にセットしました。
15:38 ATCからEFCが16:00に変更になった旨が伝えられました。
この時機体への着氷が進んで抵抗が増えたのか、パワーセッティングを77%から86%へ増加されました。
15:42 4184便は3周目のホールディング中、副操縦士がEFCの変更と燃料データをACARSでカンパニーに送信していました。
15:48 操縦士達はアイシングができ始めていることを、認識しておりました。
15:49 キャプテンはトイレに行くためコックピットをでて、使用中だった為15:54まで帰ってきませんでした。
キャプテンが戻ると、キャプテンがいなかった間に起きた、カンパニーやATCとのコミュニケーションの伝達を副操縦士が行いました。
また、副操縦士がいまだに着氷状態であることを口に出しましたが、キャプテンの返答はありませんでした。
その後も、二人の間で着氷状態の話題が出てくることはありませんでした。
15:56 ATCから8,000ftまで降下の指示が来ました。ボイスレコーダーには、この時TCASのアラートが録音されておりましがた、コックピットではこの音には一切触れられておりませんでした。
更にATCから後10分ほどで、アプローチクリアランスが出そうな旨が伝えられました。
「Vertical Speed」と「Heading SEL」モードで降下を開始しました。
15:57:33 15度バンクで旋回降下中、機速は186ktで、フラップのオーバースピード警報がコックピットに鳴り響きました。
操縦士がフラップを上げると、機首が再び上がり始めました。
9,130ftを切った地点で、機首は5度を超えました。
急にエルロンが右の翼を下げる位置にたわみました。
その1/2秒後、右に13.43°機体は傾き、オートパイロットが切れる音がなりました。
そして、更に右にロールをし、AOA角度が下がっていき3.5°程度になりました。
右に77°ロールしたところで、エルロンがニュートラルポジションになり、傾きの増加がとまりました。
そして、レベル状態に戻すために左に傾けられ始めました。
それと同時に、エレベーターがピッチアップ方向に動き、AOAが再び大きくなり始めました。
15:57:38 AOAが再び5°になり、エルロンが再び右翼を下げる方向にたわみました。
キャプテンが機首上げのためエレベーターを引いておりましたが、そのインプットは22lbs(9.97kg)を超えていました。
その直後、機体が秒速50°という勢いで右に傾きました。
15:57:45 機首上げのエレベーターとAOAが急激に下がり始めました。
エルロンは6°左翼を下げる方向にたわみ、約1°右に傾いたところで落ち着きました。
15:57:48 機体は左にロールし始め、機速は260ktまで増加し、60°機首下げ状態になり6,000ftの高度を切り始め、加速度は2.0~2.5G程度でした。
15:57:51 エレベーターの角度が3°機首上げ方向になった時は、機首は73°ピッチダウンした状態でした。
速度は、300ktを超え、依然として2Gの加速度を保ち、4,900ftを切っていました。
15:57:55 機体の加速度は3.0Gに達し、GPWSが発動し”Terrain Whoop Whoop”と警報が鳴り響き始めました。
機体は1,700ftを切り、更に加速レートが増大していきました。
1,682ftを切るころには:
- 昇降計:500ft/sec(30,000fpm)
- 機速:375kt
- ピッチ:38°ピッチダウン
- エレベーター:5°アップ
- 垂直加速度:3.6G
でした。その0.4秒後に、大豆畑(41°5’40″N, 87°19’20″W|Elevation: 675ft)に激突した音がレコードされておりました。
ピッチダウンで、左の翼の方から激突し大破してしまい、乗員乗客全員が犠牲となってしまいました。
事故原因
NTSBの見解によると、アイシングコンディションで長時間飛行することにより、ディアイシングブーツの効果が発揮できないエリアまで着氷が進み、エルロンヒンジのリバーサルが一時的に引きおこり、コントロールを失い墜落してしまいました。
まとめ
キャプテンは、いつもよりピッチアップしていることに気がつきましたが、アイシングコンディションから一刻も早く抜け出すなど、最善の手立てが取れませんでした。
また、いくら防除氷装置が装備されていても、取り除けない場所に着氷をしてしまうと手立てがなくなります。
アイシングはとても怖いものである事がわかる、事故ではないでしょうか。
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