【ASAS】アジア太平洋地上天気図の見方

【ASAS】アジア太平洋地上天気図の見方

ASAS カラー(出典:気象庁)
ASAS 白黒 (出典:気象庁)

何に使うの?

ASASは、「地上実況天気図」「アジア地上解析図」「アジア太平洋実況天気図」とも呼ばれております。

カバーしている範囲は、アジア大陸から北西太平洋までです。

この天気図は、「航空機の運航」だけに向けて作成されているのではなく、「船舶の航行」や「海外の気象機関」にも向けられています。なので、洋上を航行する船舶のために「海上警報」も付属され発表されているのです。

また、一般的なテレビなどの天気予報は、このASASを元に作成されることが多いです。この天気図に使用されている記号は、世界で共通となっています。

ASASは2種類提供され、「カラーのもの」と「白黒のもの」です。カラーがあれば十分だと思うかもしれませんが、白黒のASASは、FAXで送信したときに、カラーのものよりも見やすいというメリットがあるため、現在でも白黒のASASも作成されているのです。

ASASに引かれている線は、等圧線と言います。この間隔が込み合っている場所は、強風が予想されます。逆に、等圧線が離れているとことは、穏やかな風や無風状態の可能性があります。

ASASは地上天気図なので、上空の情報は高層天気図などを組み合わせて天気の確認をするようにしましょう。

いつ発表されるの?

天気の観測は1日4回行われ、発表は観測時刻の2時間30分後になります。

  •  【発表時刻】1日4回
    • 05:30 JST (20:30 UTC)
    • 11:30 JST (02:30 UTC)
    • 17:30 JST (08:30 UTC)
    • 23:30 JST (14:30 UTC)
  •  【観測時刻】1日4回
    • 03:00 JST (18:00 UTC)
    • 09:00 JST (00:00 UTC)
    • 15:00 JST (06:00 UTC)
    • 21:00 JST (12:00 UTC)

ASASに記載されている事とその意味

記号内容
ASAS・初めのAS:Analysis Surface(地上解析)
・後半のAS:Asia(アジア)
JMH気象無線模写通報(JMH)のことで、船舶向け無線FAXのこと
261800UTC MAY 2019・観測日時:(UTC=世界標準時)2019年5月26日18時00分
※日本時間に変換するには、9時間を足すので、「2019年5月27日03時00分」となる。
「January=1月」「February=2月」「March=3月」「April=4月」「May=5月」「June=6月」「July=7月」「August=8月」「September=9月」「October=10月」「November=11月」「December=12月」
高気圧
低気圧または低圧部
熱帯低気圧
X高気圧や低気圧などの中心位置
気圧(1018などの数字)大きい高気圧や低気圧などの中心気圧(hPa)
ただし、等圧線(太線)に沿った数字はその等圧線が示す気圧(hPa)
速度(20KTなどの数字)高気圧や低気圧などの速度(ノット)
高気圧や低気圧などの移動方向
寒冷前線
温暖前線
停滞前線
閉塞前線
FOG WARNING(海上濃霧警報)
視程(水平方向に見通せる距離)0.3海里(約500m)以下
WARNING(海上風警報)
熱帯低気圧による風が最大風速28ノット以上34ノット未満
GALE WARNING(海上強風警報)
最大風速34ノット以上48ノット未満
STORM WARNING(海上暴風警報)
最大風速48ノット以上
TYPHOON WARNING(海上台風警報)
台風による風が最大風速64ノット以上
TDTROPICAL DEPRESSION
熱帯低気圧(最大風速34ノット未満)
TSTROPICAL STORM
台風(最大風速34ノット以上48ノット未満)
STSSEVERE TROPICAL STORM
台風(最大風速48ノット以上64ノット未満)
TTYPHOON
台風(最大風速64ノット以上)
KTKNOTS
ノット(速度、風速に用いる)
SLWSLOWLY
ゆっくり(速度5ノット以下で進行方向が定まっている)
ALMOST STNRALMOST STATIONARY
ほとんど停滞(速度5ノット以下で進行方向が定まっていない)
MAXMAXIMUM
最大
NMNAUTICAL MILES
海里(カイリ)
PSNPOSITION
位置

どうやってアクセスするの?

パイロットとASAS

天気を確認する上で、ASASは基本といえるでしょう。「航空従事者等学科試験解答及び過去問」でも、ASASに関する知識が問われているので、確認してみましょう。

【過去問】令和4年7月期/自家用操縦士/航空気象/学科試験問題5

等圧線の感覚が混んでいる所は、強い風が予想されます。よって、(3)の選択肢が正しいと言えるでしょう。

【過去問】令和3年11月期/自家用操縦士/航空気象/学科試験問題19

「141800UTC」は世界標準時で「14日18時00分」です。日本の日時に変更するには、9時間を足せばいいので日付が変わって、「15日03時00分」となり、正答は「(1)15日03時00分」です。

【過去問】令和4年11月期/事業用操縦士/航空気象/学科試験問題18

正答は(4)です。

参考文献