【C172S】セスナのエンジンはどんなのが付いているの?
概要
- Lycoming Model IO-360-L2A
- Direct Drive
- Horizontally Opposed
- 4 Cylinder
- Overhead Valve
- Air Cooled
- Fuel Injected
- Wet Sump
- 2700RPMの時180馬力
【アクセサリー類】
- Starter
- Belt Driven Alternator
- Dual Magnetos
- Vacuum Pump
- Engine Driven Fuel Pump
- Full flow oil filter(エンジンのアクセサリーケースの後ろの方)
エンジンコントロール
スロットル
スロットルが1本取り付けられており、前後にするとパワーの調整が可能。
一番後ろでアイドル、いちばん前でフルスロットル
フリクションロックがついており、時計回りに回すとスロットル操作がキツくなり、反時計回りに回すと緩くなる。
ミクスチャー
スロットルの右側の赤いノブがミクスチャー。
ノブにロックボタンがついている。
いちばん奥に押し込むとフルリッチで、手前だとアイドルカットオフの状態
小さい調整は、ミクスチャーをねじることで行える。時計回りにねじると、リッチ側に動き、反時計回りにねじると、リーン側に動く。
大きく動かすときは、ロックボタンを押して前後に動かすことが可能。ロックボタンを離すと、その位置で固定される。
エンジン計器類
EIS:Engine Indication System
Cessna 172Sモデルは、G1000 EISが搭載されており、電気システム、燃料、エンジンの状態をグラフィカル(図画)に表示してくれます。
エンジンスタート時はPFDに、それ以外の通常オペレーション時にはMFDにエンジン計器は表示されます。
PFDやMFDのどちらかが故障してしまった場合は、もう一方にエンジン計器は表示されます。
①RPM|タコメーター
エンジン回転数はRPMでEISページに表示されます。
RPMの値は、円弧状に配置され、現在の値を白色矢印で示してくれます。
値の幅は、0〜3,000 RPMまであります。
矢印の根本に、10 RPM単位で具体的な数値で表示されます。
通常使用される回転数は緑色で塗られたエリアですが、上限値は飛行高度によって前後します。
例えば(標準大気の状態):
- 2,500RPM:海面〜5,000ftの間
- 2,600RPM:5,000ft〜10,000ft
- 2,700RPM:10,000ft以上
回転数が2,780 RPMを超えると、白色の矢印が赤色に変わり、エンジンの回転リミットを超えてると教えてくれます。
エンジンに取り付けられたスピードセンサーが、「Engine and Airframeユニット」にデジタル信号を送り、そこからEISにRPMデーターを送信します。
表示システムが使えない時は、タコメーターに赤色のバツ印が表示されます。
②燃料流量計
エンジンページに、燃料流量計が組み込まれています。
「GPH:Gallon Per Hour」で表記され、0〜20のレンジがあります、2ガロンずつメモリがふられています。
現在の流量は、白色の三角印が左右に動くことで表示されます。
デジタルで数字表記が見たい時は、EIS LEANページかSYSTEMページ内で表示されています。
燃料流量系の変換器は、燃料噴射システムの中に組み込まれ、Fuel/Air ControlユニットとFuel Distribution Manifoldの間にあります。
センサーからの情報を一度変換器を通して、EISのEngine Pageに燃料流量を表示しています。
この計器が使えない時は、赤色のバツ印が燃料流量計のところに表示されています。
燃料圧力計
燃料圧力計も、 EISのエンジンページに表示されています。
- 幅:0〜120 PSI
- 赤色(低):0〜20 PSI
- 緑色(通常時):50〜90 PSI
- 赤色(高):115〜120 PSI
となっています。
白色の三角印で現在の圧力がわかります。
システムページに行くと、デジタル表記で表示されています。
③油圧計
0~20 PSI, 115〜120 PSIのエリアに入ると、ラベル(OIL PRES)と値が赤色に変わります。
普通ならば、RPMがグリーンバンド内であれば、エンジンオイルも通常の値に収まるはずです。
もし、油圧ががグリーンバンドを切ったり超えるようなら、エンジン回転数を調節して油圧を戻してあげましょう。
エンジンがアイドルやそれに近い時でも、油圧はクリーンバンドを切ることがあっても、20 PSI(下方のレッドバンド)を切ることはありません。
冬の寒い時、エンジンスタート時では油圧が上方のレッドバンド近くまで上がることがありますが、エンジンが暖まりオイルも温まってくると、その値は下がって来てグリーンバンドに入るでしょう。
エンジン前方の圧力孔に、エンジン圧力の変換器が取り付けられ、センサーの値を変換してくれています。
が0〜20 PSIになったときに、パイロットに「OIL PRESSURE」警報機、先ほどの変換器のラインとは別系統で用意されています。
油圧計が使えない時は、赤色のバツ印が表示されます。
④油温計
エンジンページにある油温計は:
- レンジ:75℉〜250℉
- グリーンバンド(通常時):100℉〜245℉
- レッドバンド(高すぎる):245℉〜250℉
で示し、現在の温度は白色三角印で表示されます。
システムページで、デジタル表記の油温を確認することができます。
油温計の変換器は、オイルフィルターのアダプターに取り付けられています。
油温計が使えない時は、赤色のバツ印が表示されます。
⑤CHT:Cylinder Head Temperature
LEANページで、シリンダー4つ全ての温度を確認することができます。
その中で一番熱いシリンダーは、青緑色のバーグラフで表示されます。
- レンジ:100℉〜500℉
- 通常:200℉〜500℉
- 警戒線(赤色):500℉
CHTが限界温度を超えると、赤色で表示されます。
それぞれのシリンダーに熱電対でモニターしており、EISのLEANページで表示することができます。
それぞれのシリンダーのCHTが使えない時は、赤色のバツ印がそれぞれに表示されます。
⑥EGT:Exhaust Gas Temperature
EGTはエンジンページにて確認することができます。
- レンジ:1,250℉〜1,650℉
50℉毎にメモリがふられており、白色の三角印で現在の温度を指し示しています。
三角印の中の数字は、どのシリンダーが一番温度が高いのか表している数字です。
もし、一番熱いシリンダーの配線トラブルや温度計のトラブルが発生した場合には、次に一番熱いシリンダーを代わりに表示します。
4つ全てのEGTを見るには、EISのLeanページに表示されています。
一番熱いシリンダーを青緑色のバーで表示しています。
それぞれのシリンダーを、ディスプレー の「CYL SLCT」キーで選択して、個別に選択することが可能です。
個別のシリンダーを選択しているときには、一番熱いシリンダーの自動表記は停止されます。
シリンダー表示に問題が発生した際には、赤色のバツ印がEGTの場所に表示されます。
排気ガスの管にEGTセンサーが取り付けられ、EIS LeanページにEGTを表示しています。
⑦燃料計
左右のタンクに、どのぐらいの燃料残量がわかる。
新しいエンジンの慣らし運転
出荷工場で慣らし運転は終えているので、購入者が行う必要はありません。
ピストンリングを安定させるために、潤滑油が馴染むか、約50時間程度まではクルーズパワーは、75%程度に保つことがおすすめされています。
エンジンの潤滑システム
Wet Sumpで加圧方式の潤滑システムが取り付けられています。
エンジンの底に取り付けられた油溜めの容量は、8クオーツ(qrts)で、エンジンオイルフィルターにもう1クオーツの容量があります。
エンジン駆動のオイルポンプで、油溜めからオイルが汲み上げられ、フィルターに送られ、オイルクーラーへと運ばれます。
冷やされたオイルは、左のオイル回廊へと運ばれ、エンジンを潤滑します。
使用済みのエンジンオイルは、重力によりまた油溜めに落下していきます。
エンジンオイルの量を計るためのディップスティックは、エンジン右側の後ろ側に取り付けられています。
エンジンオイルが5qrts以下でのオペレーションは避けましょう。
3時間以内のフライトであれば、8qrts程度エンジンオイルを搭載すると、ブリーザーからエンジンオイルの消費を最低限にすることが可能です。
エンジンオイルのグレードや詳細については、POHのSection 8を参考にしましょう。
イグニションとスターターシステム
エンジンの点火は、エンジン駆動のマグニート2つから提供される電気を、各シリンダーに2つずつ取り付けられたスパークプラグに送り点火します。
左側にあるマグニートは左上と右下のスパークプラグ、右側にあるマグニートは、左下と右上のスパークプラグに送電します。
通常、各シリンダーに取り付けられた2本のスパークプラグが火花を飛ばし、これによりより完全に燃焼することが可能です。
イグニションやスターターを作動させる時は、コックピットの左下にある回転式のスイッチを時計回りに回します。
スイッチのポジションはそれぞれ、「OFF」「R」「L」「Both」「Start」の5ポジションです。
マグニートチェックの時以外は、Bothポジションで使用します。
RやLはマグニートチェックや緊急時のみで、使用するモードです。
マスタースイッチがオンで、イグニションをスタートにするとエンジンクランキングが始まります。
エンジンがかかりイグニションスイッチから手を離すと、バネの力でBothの所まで自動的に戻ります。
空気誘導システム
エンジンカウリング前方のやや下に取り付けられた吸気口から、エンジンへ送るための空気が取り込まれます。
吸気口にはフィルターが取り付けられ、ホコリやその他のゴミの侵入を防いでいます。
フィルターを通過した空気は、エアーボックスに送られます。
この箱には、バネで自動開閉するサブの吸気口も付けられています。
もし、フィルターが氷や火山灰などで詰まってしまった際には、エンジンから吸気されバネに力がかかり、サブの吸気口が自動で開き、エンジンに酸素を送ります。
このサブの吸気口を使用した際、フルスロットル時、約10%のパワーロスが見込まれます。
エアーボックス通過後は、Fuel/Airコントロールユニットへ空気がおくられ、マニホールドチューブを伝ってシリンダーへ空気が送られます。
排気システム
それぞれのシリンダーから排出されがガスは、エンジンの下の方にあるマフラーへと導かれます。
4本のシリンダーから伸びている4本のパイプは、最終的に1本にまとめられ排気します。
排熱もシュラウドで回収して、キャビンの暖房に利用します。
Fuel Injection System
燃料噴射システムが搭載されている機体です。
このシステムは「Air-bleedタイプ噴射ノズル」「燃料流量計」「燃料マニホールド」「Fuel/Airコントロールユニット」「エンジン駆動燃料ポンプ」によって構成されています。
エンジン駆動燃料ポンプによって燃料がFuel/Airコントロールユニットに運ばれ、燃料と空気の混合比が決められます。
そこを超えると、吸気された空気がシリンダーへと運ばれ、比率が決められた燃料が燃料マニホールドへ送られます。
そして、決められた分量を噴射ノズルによってシリンダー内に送られ、点火されます。
Fuel/Airコントロールユニットと燃料分配装置の間に、タービン式の燃料流量変換器が取り付けられ、EISページで燃料流量を表示することが可能となっています。
冷却システム
機体前方の2つの吸気口から外気が取り入れられ、エンジンの冷却に使われます。
空気がシリンダーの周りを通過し熱を奪い、カウリングの下に開けられた隙間から機外に排出されます。
ウィンタライゼイションキットもあります。
【参考文献】
- C172S SKYHAWK SP Information Manual
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