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【航空機事故】コルガン・エア3407便墜落事故

【航空機事故】コルガン・エア3407便墜落事故

概要

  • 日付:2009年2月12日
  • 航空会社:コルガン・エア
  • 使用機材:ボンバルディア DHC8-402 Q400(機番:N200WQ)
  • 乗員:4名
    • 機長:47歳男性(Marvin Renslowさん)
    • 副操縦士:24歳女性(Rebecca Lynneさん)
  • 乗客:45名
  • 犠牲者:50名(全員+地上1名)
  • 出発地:ニューアーク・リバティー国際空港(ニュージャージー州)
  • 目的地:バッファロー・ナイアガラ国際空港(ニューヨーク州)

3407便は、予定出発時刻の2時間遅れである、現地時刻9:18にニューアーク・リバティー国際空港を出発し、バッファロー・ナイアガラ国際空港にILS RWY23アプローチ中に失速し、滑走路5nm(8.0km)手前で墜落してしまいました。

目的地の天候は、Light Snow, Fog, 風速15kt程で着陸には支障ない状況でした。

DHC8-400には、INCRスイッチというものがついており、ONとOFFにすることができます。

通常は、OFFの状態で、着氷気象の中の飛行などでONにすることで、通常よりも失速警報とバーバーストリップ(速度計危険領域)が設計上最大の着氷状態に対応したものに切り替わります。

事故当時3407便は、INCRスイッチをONにしており、失速警報の速度が15kt程度増加されていました。

速度増加により、アプローチスピードなどの計算は、運航管理者がコルガン社のデータと操縦士からの関連情報をもとに計算し、操縦士がセットするように決まっていました。

しかし、この流れの手順が明確でなかったため、副操縦士は関連情報で重要な着氷状態を含めずに地上に送信してしまいました。

これにより、アプローチ速度の計算がずれ、失速警報速度よりも13kt低くセットされてしまいました。

そのままFlapを5度、Gear Downを行い、ILSローカライザーコースにアプローチしておりました。

その後、145kt(269km/h|バーバーポールギリギリ)から135kt(250km/h)まで減速している最中に、機長がFlap 15°を要求しました。

副操縦士がFlapレバーを動かしてから6秒後、失速警報であるStick Shakerが作動しました。

このとき、エンジンはフライト・アイドル状態まで絞っており、速度は131kt(243km/h)まで減速しており、すぐに操縦士達はスラストを75%まで増加させ、機首上げ操作を行いました。

副操縦士は、”Gear Up?”と機長に聞くと、機長も同意し副操縦士がGear Up操作を行いました。

また、機長に聞くことなく増速のためにFlapを引き上げる操作を行い、失速からの回復をより難しいものにしてしまいました。

通常失速時の対応としては、「Pitch Down」「Wings Level」「Thrust Increase」「Flight Path Adjust」の手順で、Gear Downのままで対応するはずです。

また、尾翼の失速を懸念した場合、その手順は「Pitch Up」「Power Adjust」「Flapは安全に飛行できてた時に戻す(今回は5度)」となっています。

しかし、今回操縦士達がとった操作は、このどちらにも当てはまりません。

飛行機のシステムとして、Stick Shakerが作動しても正しい反応がないときは、Stick Pusherが発動し自動的に機種を押し下げてくれるシステムが導入されています。

3407便は、Stick Pusherが3回も発動したのにもかかわらず、機長はそれに対抗して操縦感を引き続けており、機体は失速を起こし地面に激突してしまいました。

NTSBが作成した、3407便のアニメーション:こちら

ステライルコックピット

通常10,000ft以下では運航に関係ない話や行動をしないように決まっています。

しかし、3407便の操縦士達はStick Shakerが発動する2分前まで、運航に関係ない会話をしておりました。

また、個人のパソコンを使用していて、到着空港を通り過ぎた事例があることから、FAAは飛行中に個人パソコンや携帯電話の使用も禁止しております。

しかし、副操縦士は離陸約5分前に携帯メールを使用しておりました。

離陸前なので事故に直接は関係ないものの、操縦士の態度や気の緩みが垣間見られる行動です。

休養と疲労

コルガン・エアは賃金が安く、乗員にホテルを提供することができていませんでした。

機長の自宅はフロリダ州タンパにあり、前日と当日の出勤時間が短いときは、自宅には帰らず乗員室で時間を過ごすことが多く、事故前日も乗員室のソファーで過ごしておりました。

副操縦士もシアトルに在住しており、ニュージャージー州まで飛行機を乗り継ぎ通勤をしておりました。

通勤時間が長くなると、休養する時間が削られてしまいます。

この背景をもとに、FAAではパイロットの待遇改善を義務付ける法律が制定されました。

事故原因

NTSBは事故原因を、失速に対するリカバーリー能力不足に加え、操縦士達の疲労が原因だと結論づけました。

まとめ

飛行機の墜落原因で上位を占めているが失速です。

このため、訓練では「失速からの回復」という科目があります。

実際に墜落する可能性が高いので、実機を使っての失速からの回避は行われていません。

実際にはシミュレーターを使っての訓練となります。

また、厳密にはStick Shakerなどは「失速」からの回復操作ではなく、「失速傾向」からの回避操作にあたります。

初期訓練の小型機では、実際に失速させる事はあっても、エアラインなどで採用されている旅客機では、「Stick Shaker」「Stick Pusher」に加え、エアバス機などではプロテクションシステムとして、あらかじめ失速しないようにプログラミングされています。

なので、実際に飛行機が失速することまで放っておく事は、難しいかもしれないです。

また、アメリカのパイロットの通勤環境として:

1,000 マイル (1,600km)以上の遠距離通勤を行うパイロットが 20% にもなっている現実があります。

日乗連ニュースNo.33-45

旅行される方だとわかると思いますが、移動距離や時間が長いと、それだけで疲れてしまいます。

その後、自分が担当する便に乗務して、また長い距離を帰るのはとても疲れる事でしょう。

会社にホテルが提供してもらえなく、自らの給料が安く、ホテルに泊まると出費がかさむとなると、乗員室のソファーなどで数時間を過ごし、お金の節約をしたくなる気持ちもわかりますね。

この事故からパイロットの労働環境の改善に目が向けられた事は、よかったのではないでしょう。

【参考文献】

 

 

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