【航空機事故】中華航空006便降下事故

【航空機事故】中華航空006便降下事故

概要

  • 日付:1985年2月19日
  • 航空会社:中華航空(チャイナエアライン)
  • 使用機材:B747-SP(機番:N4522V)
  • 乗員:23名(運航乗員:5名|3名の運航乗務員+リリーフキャプテン+フライトエンジニア)
  • 乗客:251名
  • 犠牲者:なし(重症患者:2名)
  • 出発地:台北・台湾桃園国際空港
  • 目的地:ロサンゼルス国際空港(アメリカ)

中華航空006便は、現地時刻16:22分に台北を離陸し、約41,000ftでクルーズ飛行を行なっている際に、急に第4エンジンが故障し、推力低下に陥りました。

第4エンジンを再始動させる手順を行なっている際、飛行機は右へ傾き、コントロールできないほどの効果を始めてしまいました。

キャプテンは機体を元に戻そうと必死に試みましたが、FL410から9,500ftに到達するまで、機体を立て直すことができていませんでした。

水平飛行から急降下までの動き

降下中に、キャプテンはスラストを前後に動かしてみたり、イグニションをいじってみたりしましたが、全てのエンジンの反応がありませんでした。

そして、手や頭を持ち上げるのがとても難しい状態まで、だんだんと遠心力が増してきました。

降下中は雲中で視界が悪い状況で、キャプテンは操縦桿を左右に動かしたり、機体を立て直そうと試みました。

キャプテンが操縦桿を後ろにひいたとい、機体は急激に減速し始めました。

機体が80〜100ktまで減速した際に、加速のために操縦桿を前に倒すと、またVmoを超過してしまいました。

同じく操縦桿を引くと、また機体は減速を見せました。今度は、ゆっくりと操縦桿を前に倒すと、ゆっくりとした加速を見せ、その頃機体は11,000ftを通過し、雲から機体は出ておりました。

約10,000ftでNo.1〜No.3エンジンは再始動されていましたが、エンジンリスタートチェックリスをと一通り行っても、No.4エンジンを復活させることはできませんでした。

そして、9,500ftで機体を安定飛行に立て戻すことができました。

この時の降下速度は180kt程度でした。

後のフライトクルーへのインタビューで、急降下中オーバースピードのワーニングや失速のためのスティックシェイカーは発動しなかったと証言しています。

その後、機体を立て直すとキャプテンはサンフランシスコ国際空港にダイバーとする決断をし、無事着陸することができました。

この、急降下を引き起こした中華航空006便の乗員乗客のダメージは、重症患者が2名(乗員乗客1名ずつ)出ただけで、奇跡的にも犠牲者は出ませんでした。

機体は、翼のオーバーロードが心配されましたが、翼の先端で数インチ上方向に曲げられていましたが、許容範囲内でおさまっていました。

尾翼のダメージは大きく、APUや水平尾翼、エレベーターにメジャーダメージが見られました。

事故原因

NTSBのまとめによると、事故原因はキャプテンの不具合への先入観と、トラブルシューティング中の計器の見張りなどを怠り、結果急降下を招いてしまったとレポートしました。

また、第4エンジンが止まってしまった後も、オートパイロットの能力を過信しすぎていたのも原因です。

まとめ

双発機でもエンジンが1つ止まっただけなら、墜落はしないようにできています。

エンジンが止まっても冷静にさえなれれば、トラブルシューティングする時間は十分に残されています。

また、オートパイロットの処理能力を超えてしまうのであれば、すぐにでも人間がテイクオーバーできるように、いつでも準備しておかなければならないですね。

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【参考文献】

エアラインパイロットのための航空事故防止 1