【航空機事故】チャイナエアライン120便炎上事故

概要

  • 日付:2007年8月20日
  • 航空会社: 中華航空公司(台湾)
  • 使用機材:ボーイング式737-800型(機番:B18616)
  • 乗員:7名
    • 機長:47歳男性(総飛行時間:7,941時間)
    • 副操縦士:26歳男性(総飛行時間:890時間)
  • 乗客:157名
  • 犠牲者:0名
  • 出発地:台湾桃園国際空港
  • 目的地:那覇空港

チャイナエアライン120便は、台湾桃園国際空港を出発し那覇空港のRWY18に日本時間10時26分頃に着陸しました。

10時30分頃の那覇空港の気象は、Wind 160/9kt, VISI 10km以上、29℃/25℃と、着陸には支障ない状況でした。

上図のように、RWY18からE6誘導路に入りA5誘導路に入りスポットに向かいました。

10時32分頃、両エンジンの停止操作を行った異彩に、地上係員も管制塔もエンジン後方付近において火災が発生していることを確認しました。

地上係員は、キャプテンにインターホンで「Cockpit, Ground, Number Two Engine Fire!」と火災発生を伝え、それを受け取ったキャプテンは客室乗務員に緊急事態であると「Attention! Crew On Station!」と伝えました。

10時33分頃、機長は客室乗務員に脱出準備を指示して、10時34分頃1L, 1R, 3L, 3Rから次々と緊急脱出を行い、消防車2台及び給水車1台が駆けつけました。

搭乗者全員が非常脱出を行い、41番スポットにて10時33分ごろ出火しました。

10時36分には全員が脱出を終え、副操縦士と機長はそれぞれ前方の窓から非常用ロープを使い脱出を行いました。

機長によると、飛行中や着陸後も火災等の警報はコックピットでは鳴っておらず、事故発生まで正常だったそうです。

後に乗客にアンケート調査を行ったところ、乗務員から緊急脱出開始の指示がある前に機体の異常に気がついていた人は約70%ほどいたそうです。

気がついた原因は、匂いや黒煙があったからだとのことです。

客室乗務員が緊急脱出の指示を出す前に座席を離れていた人は約74%ほどいて、そのうち47%の乗客は手荷物を抱えている状態でした。

トータルでは、 約60%の乗客が手荷物を抱えて緊急脱出をしたとアンケートに答えています。

緊急脱出時では、エスケープスライドに穴があいたり混乱を避けるため、ハイヒールを脱いで手荷物は置いていくように指示されることでしょう。

しかし、脱出の際に荷物を置いていくように制止された乗客はいなかったそうです。

事故原因

那覇空港のRWY18に着陸後、E6誘導路に入るところでストラットとフラップが収納され始めました。

主翼のストラットを格納した際、右主翼第5ストラットの内側のトラック・カンにダメージが与えられ、そこから燃料が漏れ出し、右エンジンの高温部に燃料が触れ、火災が発生したと推定されています。

まとめ

パイロットの世界では「停止してエンジンを切るまで油断してはならない」と言われておりますが、エンジンシャットダウン後にも火災が発生してしまうことがあることを学びました。

チャイナエアライン120便に使用されていたボーイング737型機も含め、現在多くの旅客機の燃料はJet-A1が使われています。

Jet-A1の自然着火温度は240℃前後と言われており、エンジンシャットダウン直後のエンジン内部では、楽に超えてしまう温度でしょう。

機体で着陸後に高温になるところといえば、エンジンやブレーキでしょう。

それらが十分に冷えるまで、どこから燃料が漏れ出しているかわかないので、油断は許されないことでしょう。


【参考文献】