あなたは集中力がありますか?今からでも伸ばせるの?

あなたは集中力がありますか?今からでも伸ばせるの?

パイロットにとって、集中力は欠かすことができないものです。

特に離着陸時など、一瞬の判断が求められるフェーズで、最大限の集中力を発揮しなければなりません。

また、地上でも一生勉強の職業なので、学ぶことや調べることは多くあるでしょう。

そんな中で、だらだらとしていては山積みの課題は、なかなか前には進まないでしょう。

今回は、パイロットだけでなく、誰にでもあったほうがいい集中力について見ていきましょう。

集中力とは?

自分の中で、集中力は何か定義してみたことはありますか?

なんとなく、テスト勉強中にスマホをいじってみたり、漫画を読み始めていて、自分は集中力がないなと感じるのではないでしょうか。

人間は、知識を言葉にできて初めて理解できたと言えるレベルになるそうです。

日本航空に勤められていた、小林さんはご自身の著書の中で集中力は何かを定義されています。

目的を実現するためには、自分が好きなこと、やりたいこと、やるべきことに集中し、その時、その場で必要のないもの、今一番大切なもの以外のもの、今やろうとすること以外のことは、すべて捨ててしまう。その思い切りの良さに他なりません。

出典:機長の「集中術」小林宏之

年も明け、自分はこうなりたいとか、このような仕事をしたいという目標や、やりたい事はありますか?

目指すものがなければ、だらだらと時間が過ぎていってしまうでしょう。

遊ぶときは一生懸命遊んで、仕事や勉強をするときは一生懸命それを行うといいと、分かっていてもなかなかできないものですね。

私も学生の頃は、テスト前になると部屋の掃除を始めたり、自分は集中力がないなと感じていました。

いい点数を取るためには、集中して勉強することが大切なのに、机の掃除に逃げてしまっていたのでしょう。

自分の普段の生活の中で、ただなんとなく継続してしまっている無駄なことはありませんか?

そして、明るい未来のために、今本当にやるべきことが明確になっていますか?

去年や一昨年からの惰性で、生活してしまっていませんか?

パイロットの世界では、”優先順位をつけろ”と口すっぱく言われます。

いろいろな計器があり、ATCや機械操作など、パイロットはマルチタスクを行っているように見えますが、実はそうではありません。

1つ1つに優先順位を決めて、それを順番に確実にこなしているだけなのです。

計器のスキャンニングの方法とその大切さ」の中で、スキャンニングの方法を3点ご紹介しました。

高度計を見ながら、速度計を見て、進路はどうなっていて、クルー間でコミュニケーションをとったり、全てを同時に行うことはできないでしょう。

計器一つずつ確実に見て判断することを高速回転させると、マルチタスクをしているように見えるかもしれないです。

しかし、今必要な計器は何か優先順位を考え、それ以外のいらないことを排除して集中しています。

このように、やるべきことの優先順位をつけ、その順位の高い順番に行うと、良い結果が生まれやすくなるでしょう。

集中力は今からでも伸ばせるの?

小林さんによると、集中力は生まれ持った才能ではなく、スキルなので後からでも伸ばすことができるそうです。

著書の中で、このように語られています:

集中力がスキルである以上、テクニカルスキルと同様に、目的意識の強さ、教育、訓練、努力、工夫、習慣などによって、いくらでも、何歳になっても伸ばすことができるのです。

出典:機長の「集中術」小林宏之

これを聞いて、少し安心したのではないでしょうか。

多くの子供は、遊びに没頭しています。

ゲームを何時間もやったり、同じ遊びを毎日繰り返したり、集中力がない人間はいないのではないでしょうか。

しかし、大人になり周りの状況がわかるようになってくると、あれもこれも気になり、集中することができなくなってしまう人が多いと思います。

しかし、目標を再確認して、毎日コツコツと短い時間でも集中する努力を積み重ねていけば、集中力を伸ばすことができるそうです。

自分が本当にやりたい事なら、何時間でもできる事でしょう。

初めは、自分がやりたいことをやればいいのではないでしょうか。

そして、昨日よりも今日、今日よりも明日、何か新しくできることが増えていったら、人は楽しくなってくることでしょう。

例えば、初めはパソコンやゲームでできるフライトシミュレーターなどを、ゲーム感覚で飛ばしてみるのもいいと思います。

その中で、このスイッチはなんだろうとか、この機体はどのぐらいの力が加わったら壊れてしまうのか、降下計画はどう組み立てたらうまく着陸できるのか、などと好奇心が派生していくことで、どんどんやる気と集中力が育っていくことでしょう。

「あれを覚えろ」とか「〜をしなければいけない」など、やらされて得た知識よりも、確実に楽しいはずです。

また、自分の好奇心から来ることなので、言われたことをやるだけの人以上に、深く物事を調べることができます。

その1つ1つの知識が自分の血となり肉となり、将来その知識で自分と多くの乗客を救えるかもしれません。

なぜ今それをするのか、目的意識を忘れずに日々暮らすと、必然的にやるときはやれる、集中力がついていくのではないでしょうか。

効果的なイメージが集中力発揮につながる

イメージトレーニングをしないで、フライトに望むパイロットはいないでしょう。

地上で準備してきたことの6割が、上空で発揮できればいい方だと言われています。

もし、イメトレをしないでフライト訓練などに臨むと、行き当たりばったりになってしまいます。

あらかじめ準備できている人と比べると、失敗する確率がとても高くなります。

また、技術の習得に時間がかかってしまうことでしょう。

小林さんは、効果的なイメージをするための3原則を語られています。

1.目標達成(ゴール)の姿を、より具体的にイメージする。

2.開始時点(出発点)から目的達成(ゴール)までの過程を、連続的にイメージする。その際、起こり得るイレギュラー(予期しない不足の事態)が発生した場合に備えて、複数の対処法もイメージする。

3.イメージは複数回、少なくとも2回以上は繰り返す。

出典:機長の「集中術」小林宏之

だそうです。

フライトなら、A空港からB空港まで、誰も怪我することなく飛んでいくことが目標でしょう。

プロであるならば、「安全性」はもちろんのこと、「定時性」「経済性」「快適性」も最大限まで求めます。

明日のフライトが何時からだから、ブリーフィングは何時ごろから始め、今のところ天気はどうなりそうだから何に注意して、どの滑走路から出発をして、その滑走路から離陸する時の注意点を洗い出して、出発と到着の時間帯には他の機体はどのぐらい予想され、夏休みの時期だから乗客は子供たちが多いとか、細かいところまでイメトレに入れていくといいでしょう。

そして、それを最初から最後まで通してイメトレを行うことで、当日はそれ通りにできるか試すのみです。

事前にイメトレでしっかりフライトが細かいところまで詰めれられていると、当日は心に余裕が生まれることでしょう。

それでも、凡ミスをしたり、予想外の出来事が起こるのがフライトです。

最初は、地上での準備に何時間もかかりますが、やることは毎回同じなので、どんどんイメトレを素早くできるようになっていくことでしょう。

SOP(Standard Operating Procedure)などを間違わないでできるようになったら、不足の事態が発生したらどう対処するのか、準備をするといいでしょう。

上空では、何が起こっても不思議ではないので、準備するネタとしては尽きることがないでしょう。

先輩パイロットたちが起こしてしまった、過去の事故を勉強することでもケーススタディができることでしょう。

まとめ

集中力は、「自分がやろうとしていること以外を切り捨てる覚悟である」という言葉が印象的です。

集中力がないと思う時は、どこか覚悟が決まっていなかった気がします。

何かに迷っていたり、できればやりたくないなと心のどこかで覚悟が決まっていないです。

本当に追い込まれ、覚悟が決まっている人が強いというのは、こういう覚悟から来るのかもしれないですね。

今回は、小林さんの著書の中の集中力についてご紹介したいと思ったので、このトピックを取り上げました。

【参考文献】