飛行機にとって横風は天敵と言えるでしょう。
横風着陸は得意ですか?
滑走路にいつでも正面からの風が吹いているわけではないので、パイロットとして飛行機を操縦するのであれば、クロスウィンドランディングの準備・練習をしておかなければなりません。
今回は、そんな苦手意識を持たれる方も多い横風での着陸ですが、横風に対応する技術2つを見ていきましょう。
横風に対応する2つの方法
クロスウィンドランディングは、クロスウィンドテイクオフに比べて難しいでしょう。
なぜなら、離陸の際には加速していくのに対して、着陸は速度を落としていくので、風に対しての対応が難しくなるからです。
そんな速度が落ちた状況でも、横風に対応する方法が2つ残されています。
その手法は、
- クラブする方法
- ウィングローする方法(サイドスリップ )
です。
どちらかだけの方法を使用するのではなく、多くのパイロットはクラブからウィングローへと使い分けています。
それぞれの違いについて見ていきましょう。
クラブアプローチ

クラブを使ったアプローチでは、上図のように機首を風向きの方向にふってあげて、風下に流されないようにする方法です。
接地間際まで機首を風向き側に向けておきます。
しかし、クラブしたまま接地してしまうと、ランディングギアが斜めに接地してしまうため、ダメージを受ける可能性があります。
B747などの旅客機では、クラブしていてもギアが滑走路方向に合わせてくれるシステムもありますが、小型機のメインギアの向きは固定なので、いつでも機首と同じ方向を向いています。
なので小型練習機などでは接地間近に、クラブからウィングローへと変更しなければならないのです。
ウィングローアプローチ(サイドスリップアプローチ )
ウィングローアプローチは、
の回でもご紹介した、サイドスリップを使用する方法です。
片方の翼を下げることにより、下げられた翼の方向に機体はサイドスリップ をしようとします。
この力を使い、横風の力に対抗するのです。
先ほどのクラブとは違い、機軸が滑走路中心線と並行になります。
しかし、バンクをとっているので横風の影響が強いときは、メインギアが接地するタイミングが左右で違います。
風上側が先に接地をして、風下側、ノーズギアの順番で接地することになります。
バンクが入ったまま地面に近づいたりメインギアが同時に接地しないので、恐怖心が芽生えるかもしれませんが、クラブで斜めに接地するより安全なのです。
どの程度横風が強いかによって、どのぐらいのバンクが必要なのかが変わります。
より強い横風が吹くときは、よりバンク角を大きくしてあげる必要があります。
ただバンクを入れると旋回を始めようとするので、機首が滑走路と並行になるようにラダーでコントロールしてあげます。
横風が強くなると、バンク角よりも先にラダーの最大踏み込み量に達してしまいます。
もし、ラダーを最大限まで踏み込んでも滑走路と並行に飛行できないほどバンクを入れなければいけないときは、その滑走路における横風が安全に着陸する上で許容範囲を超えています。
他の向きの滑走路に変更するか、他の空港にダイバートしたり上空待機で時間をおくなど、その状態での着陸を中止しましょう。
まとめ
横風に対応する方法を2種類ご紹介しました。
通常は、クラブからウィングローへ移行します。
また、機体はフラップをおろすとより安定する傾向があります。
しかし、どのぐらいのフラップをおろすかによって、機体の取り扱い特性が変わるので注意が必要です。
【参考文献】