【飛行機のエンジン】排気システムってどうなっているの?

【飛行機のエンジン】排気システムってどうなっているの?

エンジンが燃焼して、いらなくなったガスをそのまま機外に捨てていると思っていませんか?

一見臭くて汚い排気ガスの中にも、エネルギーがたくさん詰まっているのです。

今回は、排気システムについて見ていきましょう。

排気システム

セスナ172モデルのシュラウド(熱交換器)

排気システムは、排気ガスを機外に出すだけでなく、機内の暖房やデフロスターに使用するために、排気ガスの暖かい温度を取り出します。

シリンダーに排気用のパイプが取り付けられ、燃えたガスはそのパイプを通って、マフラーやシュラウドにつながっています。

そして、必要な暖房用の熱やターボチャージャー用のエネルギーを再利用の為に取り出し、残りを排気口から大気に放出されます。

排気ガスは体に悪いものなので、機内の暖房に使うと言っても、排気ガスを機内に導いているわけではありません。

シュラウドと呼ばれる小部屋のようなところで、排気ガスから熱だけを取り出して、外から取り込んだ新鮮な空気に熱だけを伝達させ、暖かくなった新鮮な空気を機内に提供します。

また、デフロスターにも熱を提供しています。

多くの飛行機は、機内の温度調整をすることができます。

排気ガスから取り出した熱に、どのぐらいの冷たい外気を混ぜるかによって、送り出される空気の温度が変わります。

このように、室温の調整がされています。

一酸化炭素中毒

排気ガスの中には、一酸化炭素が多く含まれています。

排気ガスは黒い煙で鼻につく匂いのイメージですが、一酸化炭素自体は、無色透明で無臭が特徴です。

なので、一酸化炭素ディテクターなどを使わないと、人間の見た目や匂いで一酸化炭素を検知するのは難しいです。

【一酸化炭素中毒】の症状とフライト中に起きた時の対処方法

また、ある一定以上一酸化炭素を吸い込んでしまうと、一酸化炭素中毒にかかってしまい、最悪死にいたるとても怖いものです。

通常では、一酸化炭素を含んだ排気ガスは、機内に入ることはありませんが、シュラウド内の熱交換システムのパイプなどが、劣化などによりヒビが入ると、排気ガスと新鮮な空気が混ざってしまう可能性もあります。

EGTと燃費向上

排気システムの中には、EGT:Exhaust Gas Temperatureセンサーが、取り付けられているものがあります。

センサーが排気マニフォールド辺りの温度を検知して、コックピットに取り付けられているEGTゲージに表示をします。

排気ガスの温度は、エンジン出力の割合や、空気と燃料の混合比によって変ります。

EGTの値は、ミクスチャーの調整にも使われます。

温度が下がり過ぎれば、入ってくる空気に対して、燃料が過剰に供給されている状態であることがわかります。

必要のない燃料をセーブしてあげることで、オペレーションコストも削減してあげることができるでしょう。

毎度のことですが、EGTの許容範囲などはAFMやPOHを参考にしましょう。

まとめ

一酸化炭素中毒はとても怖いです。

気がついたら、気を失っているかもしれません。

しかし、一酸化炭素中毒を怖がって、とても寒い機内で暖房なしで飛行するのは辛いです。

特に、小型プロペラ機など与圧しない飛行機は、隙間風が差し込むこともあるでしょう。

一酸化炭素は無色・無臭でも、排気ガスには匂いがついています。

多くの場合、一酸化炭素だけ機内に入ってくることはないので、排気ガスの匂いで気がつくことができるでしょう。

暖房を使用したときに、少しでも機内が臭いと思ったら暖房の使用を中止し、排気ガスを機外に出し、すぐに着陸し、病院に向かうと良いでしょう。

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