【FADEC】エンジンはパイロットではなく、コンピューター制御の時代
FADEC(ファデック)をご存知ですか?
FADECは、「Full Authority Digital Engine Control」の頭文字をとってできた言葉です。
一言で言うと、コンピューターなどにより、エンジンをコントロールするシステムです。
今回は、エンジンコントールについて見ていきたいと思います。
ピストンエンジンのFADEC
FADECは多くの旅客機にとってなくてはならないものとなっておりますが、意外にもピストンエンジンのプロペラ機にも採用されています。
プロペラ機に採用されている場合は、エンジンのコントロールだけでなくプロペラも一緒にコントロールする仕組みになっています。
ピストンエンジンのFADECは、エンジンの「回転速度」「温度」「圧力」などの情報を、各シリンダーごとにモニターしています。
その情報をもとに、いつ燃料をシリンダーに噴射して、いつのタイミングで点火するのがベストか計算します。
FADECによる進化
FADECが開発されたことにより、従来使用していた「マグニート」「キャブレターヒート」「ミクスチャー調整」「エンジンプライミング」が必要なくなりました。
なので、FADECがついている飛行機のエンジンでは、パイロットはスロットルを前後に動かすだけで済むようになり、ワークロードが劇的に減りました。
出力増減に対する、エンジンやプロペラの調整は全てコンピューターが行なってくれるからです。
FADECによる調整
エンジンスタート時、FADECは燃料をプライミングし、ミクスチャーのセッティングを行ってくれます。
クルーズフライト中は、常にエンジンをモニターしており、必要があれば燃料流量を調整したり、点火のタイミングを各シリンダーごとに調整してくれます。
これにより、燃費の向上や馬力の向上につながります。
FADECの電源
FADECシステムは、メイン電源から電気の供給を受けています。
多くのFADECシステムは、FADEC用のジェネレーターが用意されており、通常の電気回路とは区別されています。
FADECへの電気が遮断されてしまっては、エンジンのコントロールができなくなってしまい、完全にエンジン出力失われてしまいます。
なので、電源のバックアップシステムが用意されています。
エンジンをコントロールするFADECのチャンネルも2系統用意されており、リダンダンシーが保たれています。
もちろんどちらのチャンネルを使用しても、完全に「エンジンコントロール」や「プロペラコントロール」を条件なしに行う事ができます。
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【参考文献】