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【生理学】パイロットの疲労とパフォーマンスの関係について③

【生理学】パイロットの疲労とパフォーマンスの関係について③

パイロットと疲労の元

早朝出勤のシフトで、フライトが長引いてしまった時に、疲れのレベルが上がります。

多くの航空会社では、朝の7:00よりも前にデューティーが始まることは、決して珍しくありません。

多くの人は、出勤時間や準備があるので、それよりも早い時間に起きることになります。

そうすると、まだ体の芯の体温が低いままです。

誰しも経験があると思いますが、朝早く起きるとまだ眠気が勝っており、全くやる気が出ません。

いくら次の日が朝早いからといって、8時間逆算して早く寝たとてしても眠くならない人が多いです。

それは、サーカディアン•リズムに逆らって早く寝ようとしているためです。

人間は体内時計を元に生活をしているので、そう簡単にはその時計を変化させることはできないのです。

何人かのパイロットを対象に睡眠の実験が行われました。

実験は、15日間以上にわたって行われ、どのぐらい毎日寝れているのかを計測するものです。

その結果は、個人差はあるものの、仕事の前日の睡眠は通常より概ね2時間ほど短かったそうです。

このようなパイロットは、睡眠負債を抱えており、仕事が何日間か続くと睡眠負債の累計がとても多くなってしまいます。

また、睡眠負債は飛行機の延着やナイトシフトなどにより、本来寝る時間までフライトをしないといけない時などにも引き起こされます。

多くの航空会社は、運用する空港のオペレーション時間に合わせているので、早朝から深夜遅くまで運航を行なっております。

24時間離着陸が可能な空港もあり、パイロットのスケジュールでは、決まった時間に寝たり起きたりすることが難しいのが現実です。

それによって、睡眠により活気やパフォーマンスの回復が損なわれているのです。

第2回でご紹介しましたが、いくら寝ても睡眠負債があると本来持っているパフォーマンスが出せなくなってしまいます。

【生理学】パイロットの疲労とパフォーマンスの関係について②

海外便を担当する時など、20時間以上拘束されることもあります。

ちなみに、20時間以上拘束されるシフトのことを、英語で「ULR: Ultra Long-Range」と読んでいるそうです。

逆に短時間勤務の国内線では、ターンアラウンドを極力短くして、1レグでも多く飛行機を飛ばそうとする傾向があります。

便間で時間に追われたり、海外線より多い離着陸頻度は多くのストレスを生みます。

多くのパイロットは、1日4〜5レグあるスケジュールが一番疲れると答えているそうです。

睡眠負債と回復

仕事前日のちょっとした寝不足が積み重なると、とんでもなく多いな睡眠負債に膨れ上がってしまうこともあります。

実験では、1週間1時間の睡眠を削った人は、睡眠時間を元に戻しても反応時間の低下が数日間も続いたそうです。

そのような睡眠負債が溜まってしまった人は、睡眠時間を約8時間に戻しても元に戻りません。

元のパフォーマンスレベルに戻すには1日9時間以上の睡眠を何日間も取らなければいけないです。

拘束時間

デューティー時間の長さよりも、その人が何時間起き続けているのかが大切です。

仕事の準備段階から、その人のデューティーは始まっており、疲労も蓄積しております。

20時間にも及ぶオペレーションなど、何時間その人が起きているかは、クルーの疲労と密接な関係があります。

夜中出発の便で、目的地に早朝に到着するまで、約13.5時間以上睡眠をとらない状態だったパイロットの反応時間は、早朝に出発して3.5時間程度フライトをしたパイロットの反応時間と比べると、とても遅かったそうです。

深夜便を担当するパイロットは、出発して初めの30分で眠気とサーカディアン•リズムの乱れで、活気をなくしてしまう傾向にあります。

深夜便担当者と早朝便担当者両方ともに言えることは、仕事の終盤ではパフォーマンスが下がっています。

早朝便であれば、出勤前までギリギリまで睡眠をとる方が多いかもしれませんが、ナイトフライト前はそうはいかない人が多いようです。

21:00ショーアップの便の担当であれば、ギリギリの19:00や20:00まで睡眠をとっている人は稀ではないでしょうか?

通常通り、朝に目覚めたり、寝れたとしても午後ぐらいには目が覚めてしまい、もうねれなくなってしまうのではないでしょうか?

出勤の何時間も前に目が覚めてしまっている状態なので、フライトを終了する頃には目覚めてから15時間以上経ってしまい、パフォーマンスが落ちる傾向にあります。

それに、フライトでの疲労の蓄積もありパフォーマンスは下がってしまう傾向にあります。

長距離便と時差

長距離便を担当後、目的地空港の近くのホテルでクルーは睡眠をとることができます。

しかし、到着した頃には朝方になっていたりと生活リズムと睡眠パターンがずれてしまっています。

これによって睡眠の質が低下してしまいます。

飛行機は世界中を飛び回るのでパイロットのベース空港の時間と、目的地の時差が発生することがよくあります。

パイロットは夜通し飛行するので、同じ時差のエリアに飛んでいくと、目的地に着いた頃には、朝か昼ごろになってしまい、寝るタイミングが失われてしまいます。

逆に、到着した空港が時差で夜であれば、到着後に睡眠をとることは比較的楽なこともあります。

どんなに経験を積んだパイロットでも、時差は厳しいものがあります。

日付変更線を超えた後の体の時間への適応速度は、西向きか東向きのフライとかによって変わってきますし、出発地と到着地では何時間時差があるかによっても変わってきます。

ちなみに、西向きに移動した方が東向きに移動した時よりも、時差に対応しやすいと一般的に言われています。

なぜなら、東向きに移動した場合1日が24時間より短くなってしまい、サーカディアン•リズムが対応しづらいからです。

第1回でもお話ししたとように、サーカディアン•リズムは一人一人違いますが約24〜28時間と長いので、1日を24時間から縮められるより、長くなった方が対応しやすいのです。

【生理学】パイロットの疲労とパフォーマンスの関係について①

時差が違う土地の滞在が、3日以内だとサーカディアン•リズムは崩れにくいそうです。

現地で自分のホーム空港と同じ生活をすれば、時差ボケなど関係ないからです。

しかし、3日以上になると現地での生活に慣れようと体がしてくるので、サーカディアン•リズムが崩れやすくなります。

シフトワーカー

朝の「7:00」から夕方「18:00」まで以外の間に働く人を、「シフトワーカー」と呼びます。

シフトワーカーは「パイロット」だけではなく、「空港関係者」「ATC」「メンテナンス」なども当てはまるでしょう。

ATCが疲労で指示を間違ったり、メンテナンスが飛行機をしっかりとメンテナンスできないと安全の担保はできないです。

このように、睡眠によるパフォーマンスの低下は、パイロットだけの問題ではなくなっています。

そして、そのようなシフトワーカーに分類される人は年々増えてきている傾向にあります。

シフトワーカーには、睡眠困難がつきまといます。

仕事中に急に眠気を感じたり、それにより仕事に集中ができないのは多くのシフトワーカーから報告が上がっています。

シフトワーカーはただ単に睡眠困難に陥りやすいだけではなく、もっと複雑な問題を抱えています。

自分の体内時計を夜に「仕事モード」や「睡眠モード」に変更しなければいけないです。

日によってこのリズムを入れ替えていくうちに、サーカディアン•リズムにズレが生じてしまいます。

サーカディアン•リズムは、現地時刻にぴったりあっているのにも関わらず、夜に眠く無くなったりしてしまうそうです。

これは「睡眠障害」の始まりです。

夜いくら寝ようと努力しても、全く寝付けない状態に陥ってしまいます。

また、仕事中に起きておかなければいけない大事な時に、睡魔に襲われてしまい最悪寝落ちしてしまうかもしれないのです。

こんな状況では、睡眠により「活力」や「パフォーマンス」の回復を見込むことはできないでしょう。

さらなるシフトワークによって、体に限界が来るまで消耗し続けることになってしまいます。

【参考文献】

【次回の記事】

法律などで拘束時間は決まっていますが、何時から拘束されるかによって、その前何時間寝られるかがサーカディアン・リズムによって、変わってきます。

22:00からの夜勤だからといって、その前の12:00から21:00まで、急に寝ろと言われてもねれない人が多いのではないでしょうか?

夜ねれないのであれば、昼寝で補ってあげるなどしてあげればいいのではないでしょうか。

次回は、コックピットでの仮眠のすすめや、カフェイン摂取などについてご紹介します。

【過去の記事】

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