【航空機事故】第一航空101便着陸失敗事故

概要

  • 日付:2015年8月28日
  • 航空会社:第一航空株式会社
  • 使用機材:バイキング式DHC-4006ツインオッター400(機番:JA201D)
  • 乗員:2名
    • 機長:57歳男性(総飛行時間:5,685時間)
    • 副操縦士:62歳男性(総飛行時間:16,323時間)
  • 乗客:12名
  • 犠牲者:0名(負傷者:11名)
  • 出発地:那覇空港
  • 目的地:粟国空港

第一航空101便は、12名の乗客を那覇空港から所要時間約25分で粟国空港まで運ぶため、日本時間午前8時38分頃に離陸をしました。

8時53分頃、フラップを20°にして、着陸前のアナウンスを機長がおこないました。

8時54分頃、RWY19の進入端を75ktで通過し、RWY19にタッチダウンしました。

タッチダウン直後に、タイヤがきしむような音が記録されており、機首が189°、対地速度は76ノット程度でした。

機体が右にずれ始め、機長は副操縦士が右側のブレーキを踏んでいるのかと思い、ブレーキを踏まないように注意するため「踏んじゃだめ」と発言しました。

しかし、機体は滑走路を右側から逸脱し、空港のフェンスへ衝突しとまりました。

フェンスに激突したため、機長はエンジンを停止し客室を見ると、搭乗していた会社職員が乗客を機外へ誘導していたそうです。

事故原因

事故調査委員会の見解によると、副操縦士がPF(操縦)業務を行なっており、接地後に機体のふらつきを制御できず、フェンスに激突したものと推定されました。

通常チェックリストで前輪が中央になっているのを確認する手順になっています。

しかし、このときはチェックリストを行うことを失念し、PM業務を行なっていた機長も指摘できませんでした。

そして、前輪が右側を向いた状態で接地してしまったため、右側に大きくずれてしまったものと考えられます。

さらに、機体が右に流された際に正しい対処ができなかったのは、副操縦士の航空機システムに関する知識が不十分であったため、接地後の状況をよく理解できなかったことによる可能性が高いと結論づけられました。

操縦をしていた副操縦士によると、急に右側にそれ始める機体に対処するための余裕はなく、左ラダーを踏んだが状況は変わらなかったそうです。

機長からブレーキを踏むように言われたので、最終的には両方のブレーキを踏んだが止まりきれず、フェンスに激突してしまったと証言しております。

NWS(Nose Wheel Steering)のコントロールレバーが中央位置にあることを確認する手順があるので、その後に前輪の向きが変わることはないと思っていたそうです。

しかし、過去に離陸後にはマーキングが中央にあったはずのコントロールレバーの位置が、着陸前の点検では中央から移動していたことがあったので、今回も同様に着陸前の点検から接地までの間に少し移動していたのかもしれないと思ったそうです。

まとめ

この事故で副操縦士の航空機システムに関する知識不足が事故発生の一因として考えられております。

また、機長も異変を感じたら、声で伝えるだけでなくすぐにテイクオーバーをすることもできました。

これらにより、この事故の要因はヒューマンエラー だといえるでしょう。

 

【参考文献】