【生理学】パイロットを最悪死に追いやる低酸素症の種類4種!
低酸素症のことを英語でHypoxia(ハイポキシア:haɪpɑ́ksiə)と言います。
飛行中に低酸素症になると、脳に酸素がいかなくなってしまうことが、一番の問題です。
頭が正常に機能しなくなり、ミスが増えてしまうからです。
低酸素症と言っても、大きく4種類に分けられることをご存知ですか?
今回は、それぞれの低酸素症を見ていきましょう。
Hypoxic Hypoxia(低酸素性低酸素症)
Hypoxic Hypoxiaは、吸う酸素が足りず結果脳に酸素が送り届けられないという現象です。
海面付近の気圧と、約18,000ftでの気圧を比べると、後者の気圧は約半分になってしまいます。
空気中の窒素や酸素などの混合されている割合は、地上でも上空でも同じです。
しかし、気圧が低くなるにつれて、1回の呼吸で吸い込める分子の量が少なくなってしまいます。なので、高いところに登った際に呼吸が速くなって少しでも多くの酸素を取り入れようとするのです。
高度を上げる以外にも、取り込む酸素の量を減らすものがあります。
それは、ドライアイスです。ドライアイスは二酸化炭素の塊です。
溶け出すとその周りは二酸化炭素で覆われます。これにより、酸素が追い出されて、その中で呼吸をしようとしても息苦しくなってしまうのです。
なので、狭い空間の小型飛行機などに、大量のドライアイスを積んで飛行すると低高度でもHypoxic Hypoxiaになる可能性が高いのです。
また、固体から気体に変化するときに膨張します。なので、密封したコンテナなどに入れてしまうと、上空で爆発してしまう恐れもあるので注意が必要です。
Hypemic Hypoxia
Hypemic Hypoxiaは、吸う酸素の量は十分だけど人間の体内の問題で、酸素が脳に送れない状況です。
酸素は血液を通して、肺から取り込んだ酸素を脳まで送っています。
血液の量が少なかったら、酸素を運ぶものが少なくなってしまうので、脳が酸欠を起こしてしまうのです。
貧血の人や大量に出血した人が当たります。献血に行った後も注意が必要です。
血液を再生するまで数週間かかると言われております。
血液の中にヘモグロビンというものが入っており、それと酸素分子がくっついて脳まで酸素を送ってくれます。
血中ヘモグロビンの数が異常に少なかったら、血液がどんなにあっても酸素を脳まで送ってあげることができないのです。
一酸化炭素中毒もこの分類に入ります
参考|【一酸化炭素中毒】の症状とフライト中に起きた時の対処方法
Stagnant Hypoxia(停滞性低酸素症)
Stagnant Hypoxiaの「Stagnant」という意味は、「停滞」とか「流れていない」という意味です。
血流不全の人が該当します。
今回は、必要な酸素が空間に十分あって、それを血中に取り込んで、それを運ぶためのヘモグロビンも正常な数あるにも関わらず、血液自体が体内を循環していないという現象です。
日常生活で手足が痺れた経験はありませんか?
手足のしびれは、血管を圧迫した体勢を長時間とっていると起こります。この体勢により血液の循環が妨げられてしまうのです。
心臓への負担や血液を細部に送る動脈が圧迫されていることへのショックから、現れる症状だそうです。
この現象は血液の循環がうまく行っていない事によるものなので、Stagnant Hypoxiaの一部と言えます。
そのほかにも、急激なGを感じたときにも引き起こります。
急旋回や急上昇していると、血液はうまく循環せず血液がGがかかっている方に流れようとしてしまいます。
さらに、寒い日など血管が収縮してしまうと血液が流れにくくなってしまいます。
Histotoxic Hypoxia(組織毒性低酸素症)
最後のHistotoxic Hypoxiaは、酸素を受け取っても細胞がうまく酸素を使えない状態です。
「histotoxic」の「histo」は細胞という意味で、「toxic」は有毒という意味です。
この現象は、お酒や薬物の使用によって引き起こされます。
それぞれの成分が、細胞の酸素を使う機能を低下させてしまいます。
まとめ
低酸素症といっても4つに分けられることを学びました。
- 酸素が足りない
- 酸素を運ぶものが少ない
- 血液が循環しない
- 細胞が酸素を受け取れない
少しでもおかしいと思ったら、操縦を代わってもらったり着陸して休んでから飛行を再開するといいでしょう。
酸素が脳に行かないと物事を考えられなくなってしまうので、異変を感じたらすぐにでも対処しなければ、手遅れになってしまうかもしれないとても怖いものです。
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