【Induction System Icing】吸気に関する着氷

【Induction System Icing】吸気に関する着氷

着氷するのは、翼やプロペラだけではありません。

エンジンや吸気口にも着氷する事により、最悪エンジンが止まってしまい墜落してしまうでしょう。

この現象を英語で、「Induction System Icing」と分類されています。

「Induction System Icing」は、今挙げた通り2つに分類されます:

  • エンジン内部で氷ができる(キャブレターアイシング)
  • エンジンへの吸気口が氷で塞がる

の2つがあります。

ピストンエンジンへの燃料供給の方法は大きく分けて、「キャブレターシステム」と「フューエルインジェクションシステム」の2つがあります。

このうち、キャブレーターシステムを使用しているエンジンは、キャブレターアイシングという、着氷をエンジン内で引き起こしやすくなります。

上図がキャブレターの概要です。

燃料タンクから管をつたって燃料が届けられます。

そして、キャブレターの中で、取り込まれた空気と混合されます。

このシステムは、ベンチュリ効果を利用するために、キャブレターの一部の圧力が低くなっているところがあります。

圧力が低くなるという事は、温度も低くなってしまいます。

なので、燃料の中に含まれる水分が、氷点下以下になると凍ってしまいます。

この氷が吸引口を塞いだり、スロットルプレートの動きを妨げて、燃料をエンジンに届けるのを妨げてしまうのです。

結果、酸欠や燃料供給不足により、パワーが減ったり最悪エンジン停止をまねきかねないのです。

他の着氷と異なり、キャブレターアイシングは雲中飛行でない快晴の中での飛行でも引き起こる事です。

キャブレターアイシングに必要な要素は、氷点下以下の温度と燃料ないなどからの水分です。

キャブレターアイシングが起こりやすい環境

キャブレターアイシングが引き起こりやすい環境は、湿度が「60〜100%」で、気温が「-6.6℃〜21.1℃(20〜70℉)」の間にある時です。

キャブヒート

キャブレターアイシングから、エンジンを守る方法は、キャブレターを温める事です。

多くのキャブレターシステムには、キャブレターヒート(キャブヒート)というものが取り付けられており、コックピットでオンオフを操作する事ができます。

オンにすると、一度温められた空気がエンジンに供給され、氷をできないように、また一度できた氷も溶かしてくれるのです。

キャブヒートの使い方は、エンジン計器のRPMが下がってきたと思ったら、キャブヒートをオンにセットします。

そして、しばらくそのまま置いておきます。

この時、キャブレター内には暖かい空気が流れ始めるので、エンジンがラフになる事があります。

そして、氷が溶け始め完全に亡くなるまで、エンジンのラフさは少し続きますが、そのようなものなので心配にはなりますが、問題はありません。

キャブレター内の氷が溶けると、エンジンがまたスムーズに動くようになります。

エンジンがスムーズに回り始めたら、キャブヒートのスイッチをオフにします。

また、RPMが下がってきたら、同じ操作を繰り返します。

キャブヒートを入れたら、取り込まれる空気の密度が小さくなるので、出力が少し下がる事に注意しましょう。

ミクスチャーセッティングが手動でできる機体なら、ミクスチャーを少し絞ってあげる事でRPMが上がります。

吸気口への着氷

「フューエルインジェクションシステム」では、キャブレターアイシングの問題は発生しません。

しかし、どちらのタイプでも、吸気口への着氷は発生します。

セスナなどの小型機では、機体の前方にエンジンへの吸気口がついています。

ここから取り込まれた空気は、フィルターを通してエンジンへ新鮮な空気を送り込みますが、この取り込み口とフィルターが氷で詰まってしまうと、エンジンは酸素を受け取る事ができなくなってしまうのです。

この取り込み口はキャブヒートのように温める事はできないので、機体のノーズギアのあたりの凍りづらいところに、別の吸気口が取り付けられています。

なので、メインの吸気口が詰まってしまった時は、自動的にバックアップの旧機構が開き、酸素を取り込んでくれるシステムです。

自動的に吸引口が開くので、コックピットで特に操作してあげる必要はないです。

エンジン計器で見られる兆候は、吸引口が入れ替わる瞬間にRPMが若干下がることぐらいです。

セスナ172モデル:エンジンへの吸気口

【関連記事:着氷】

【関連記事:エンジン】

【参考文献】