【タービンエンジンに使われる計器】EPR/N1/N2とは?
タービンエンジンとレシプロエンジンに共通するエンジン計器は、「オイルプレッシャー計」「オイル温度計」「エンジン速度計」「排気ガス温度計」「燃料流量計」などがあります。
タービンエンジン機に特有の計器は「エンジンプレッシャー比」「タービンの排気プレッシャー」「トルク」を表記するものがあります。
また、「熱電対」と呼ばれる、タービン周りの温度を測るセンサーがいくつか付いています。
レシプロエンジン機ではあまり馴染みない、「EPR」「N1」「N2」など、タービンエンジン機に取り付けられる計器を見ていきましょう。
EPRゲージ(イーパーゲージ)
全てのタービンエンジン機ではありませんが、一部のターボジェットエンジンやターボファンエンジンに「EPR:Engine Pressure Ratio」ゲージと呼ばれる計器が取り付けられている事があります。
EPRはコンプレッサーに入る空気の圧力と、排気される空気の圧力の差を計測しています。
エンジンの吸気口と排気口に、それぞれセンサーが取り付けれています。
センサーで集められたデータは、コンピューターに送られ、変換器によって高度計や速度計などに対応するように補正されます。
飛行機は上下するので、気温の変化が厳しいです。
この気温の変化などに対しても補正が行われ、エンジンのパワーセッティングに使われます。
国内で飛行しているA320のエンジンは大きく分けて、「CFMインターナショナル56」と「IAE V2500」エンジンに分けれられます。
CFM系(ピーチ航空が採用)では、N1がメインでパワーセッティングに用いられるのに対して、IAE系(ジェットスタージャパンが採用)ではEPRがメインで使用されています。
EGTゲージ
EGTゲージはレシプロエンジン機でもおなじみですが、タービンエンジン機もで大切なゲージの1つです。
なぜなら、タービンエンジンの制限要件の1つが、タービンエリアの温度管理だからです。
特に熱くなるタービンセクションは、オーバーヒートをしやすいので注意深くモニターしてあげる必要があります。
その際に使用されるのが「EGT:Exhaust Gas Temperature」ゲージです。
EGTは、エンジンのコンディションを見張ってくれていています。
レシプロエンジンでは、EGTゲージ1つでエンジンの温度管理する事が多いかもしれませんが、タービンエンジン機はいくつかEGTゲージのようなものが、それぞれ違うエリアに取り付けられています。
どのエリアを見張っているかによって、名称が変わります。
例えば、タービンの吸気口の温度を測っているゲージは、「TIT:Turbine Inlet Temperature」ゲージと呼ばれ、出口に取り付けられているものは「TOT:Turbine Outlet Temperature」ゲージと呼ばれます。
そのほかにも、「ITT:Interstage Turbine Temperature」ゲージや「TGT:Turbine Gas Temperature」ゲージもあります。
トルク計
ターボプロップエンジンやターボシャフトエンジンの出力は、トルク計で測られます。
トルク計は、どのぐらいシャフトにねじる力が加わっているのか計測しています。
ターボプロップやターボシャフトは、作り出されたエネルギーをシャフトを使って伝達します。
そのシャフトにかかっている力を計測し、「psi」や「foot-pounds」表記でパイロットに知らせます。
N1 Indicator
N1は、低圧コンプレッサーのrpmをパーセンテージで表示したものです。
低圧コンプレッサーとN1タービンは、同心シャフトによってつながっています。
エンジンスタートしたら、N1タービンが徐々に回転数を増していき、それに連動して低圧コンプレッサーの回転数も増していきます。
N2 Indicator
N2は、高圧コンプレッサーのrpmをパーセンテージで表示したものです。
高圧コンプレッサーとN2タービンは同心シャフトでつながっています。
【参考文献】
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