風が強くても正面からの風なら、ある程度の速度まで対応する事が可能です。
しかし、横風の要素が大きくなると、多少の風速でも着陸の難易度を上げてしまう事でしょう。
今回は、横風制限について見ていきたいと思います。
風の分類
ある程度以上の横風になると、着陸や離陸を断念するべきときがやってきます。
自分の中でその横風制限の値を持っていますか?
横風が強くなると、風に対してクラブしてアプローチしてくる機体は、進行方向と機首の向いている方向が大きくずれて降下してくることでしょう。
そしてウィングローに変更するときに、機首を大きく動かさなければならなくなり、横風が強ければ強いほど危険です。
また、ウィングローで対応しきれない横風のときは、滑走路と機首を並行にして飛行する事ができなくなってしまいます。
飛行機が出荷される前に、どのぐらいの横風に耐えられるのかテストが行われます。
テストパイロットが試験を行い、風向は真横(90°)からで、風速はVsoの0.2倍まで試されます。
1962年5月3日以来テストされた機体では、テストフライトされた横風成分をプラカードなどに記載し、分かるようになっています。
これを「Maximum Demonstrated Crosswind Component」といいます。
ちなみに、これは制限速度ではなく、検証結果の速度です。
速度制限ではないからといって、この速度を無視することはできません。
なぜなら、航空機製造会社が検証していない横風で着陸を試みることが、安全であるという保証がどこにもないからです。
この図の横軸に「風向角度|Wind Angle」を表し、縦軸に「風速|Wind Velocity」を表しています。
赤色のエリアは、離着陸するには危険とされるエリアです。
例えば、もし真正面から風が吹いてくるときは、60ノット以上の強風が吹いても安全に離着陸できまが、風向が真横からだと約15ノット程度で限界を迎えてしまいます。
このように風は、「向かい風成分|Headwind Component」と「横風成分|Crosswind Component」に分けられます。
横風成分の計算
角度にすると、真正面の0度から真横の90度まであります。(上図参照)
横風制限が28ノットの機体があるとします。
この時、滑走路に対して真横から30ノットの風が吹いていたら、横風制限でその滑走路から離着陸することはできません。
しかし、滑走路に対して30度ずれた方向から30ノット吹いていると、横風成分は15ノット程度になるので、安全に離着陸ができると判断できるでしょう。
何度の方向から何ノット吹いていたら、自分の横風制限をオーバーしてしまうのかまとめておくといいでしょう。
横風でのアプローチ/着陸でのエラー
- 実証済み最大横風を超えて着陸を試みてしまう
- ベースからファイナルへ旋回する際、横風を考慮せずオーバーシュートやアンダーシュートしてしまう
- ファイナルアプローチ中に風への対応が十分でない
- アプローチが安定しない
- ウィングローで横風に対応するとき、ドラッグが増えるのを考慮せず速度が落ちすぎたり、パスが低くなりすぎる
- 風に流されドリフトしているときにタッチダウンしてしまう
- タッチダウン速度まで減速できていない
- ロールアウトのとき、フライトコントロールのインプットができていない
- ブレーキを過剰にかけてしまう
- 機体のコントロールを失う
まとめ
飛行機は横風に弱く、横風での着陸はリスクが伴います。
どの程度の横風成分なら安全に着陸できそうなのか確認をし、飛行機の性能上問題ない横風成分でも、自分スキルが足りていないと判断したのであればその滑走路には着陸しない方がいいでしょう。
クラブやウィングローの技術も磨き、安全に着陸できるよう技術向上していきたいものですね。
【参考文献】