概要
- 日付:2017年6月3日 14時50分ごろ
- 航空会社:新中央航空株式会社
- 使用機材:セスナ式172P型(機番:JA3989)
- 乗員:2名
- 機長:57歳男性(総飛行時間:約17,127時間)
- 操縦士A:48歳男性(総飛行時間:245時間)
- 乗客:2名
- 犠牲者:4名(全員)
- 出発地:富山空港
- 目的地:松本空港
JA3989は、14時23分ごろに富山空港を出発し、飛行時間約1時間の所要時間の見込みで有視界飛行方式で松本空港へ向け飛行していました。
4人乗りの小型飛行機であるセスナ172Pモデルを使用しており、左席に機長、右席に操縦士A、後部座席に2名搭乗しておりました。
このフライトは、航空機使用事業の訓練飛行としてスケジュールされたものでした。
機長は、操縦教育証明を有しているだけでなく、特定操縦技能審査員も務めるだけでなく、セスナ172Pモデルで写真撮影のための飛行や遊覧飛行を担当したり、運航課長の併任しておりました。
また、計器飛行証明も取得しておりました。
しかし、日本時間14時50分ごろ、立山連峰獅子岳の山頂付近(標高約2,700m | 8,860ft)に激突しました。
事故原因
JA3989は、有視界飛行方式で飛行している中雲中飛行になり、機体の位置把握が難しくなったものと考えられます。
そんな中、立山連峰獅子岳に近づき、激突してしまったものと考えられます。
そのほかにも、着氷気象状態で高度の維持ができなくなってしまったり、失速を引き起こした、または強い乱気流に遭遇したことも懸念されています。
雲中飛行になってしまった原因は、操縦士達が事前に山岳地帯の気象予測が不十分であったことが原因だとされております。
また、途中で引き返すこともできたはずですが、その決断の遅れも指摘されています。
まとめ
有視界飛行方式で飛行しているときに、雲に入ってしまっては自機の位置把握をすることが困難になってしまいます。
山の天候は変わりやすいですし山岳波も発生するので、山岳地帯を低高度で飛行する時は細心の注意を払わなければなりません。
また小型単発機で、大人4名の体重と燃料を積み込んで、約10,000ft以上の山を越えるのは、飛行機のパフォーマンス能力的にもとても難しいでしょう。
雲中飛行で気温が0℃を下回っていたことも考えられ、機体に着氷を引き起こしリフトが減るだけでなく、重量も増えてしまっていたことも予想されます。
さらに、右席の操縦士Aは飛行中ショルダーハーネスを着用しておらず、墜落の衝撃で脳挫傷を引き起こしております。
VFRでの雲中飛行、山岳地帯を飛行することの難しさ、ショルダーハーネスの着用の重要性がわかる事故ではないでしょうか。
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