「ニュートンの運動の法則」と「ベルヌーイの定理」の組み合わせによる航空機の飛行:パイロット必読の基本原理

ニュートンの運動の法則とは

イングランドの自然哲学者・数学者・物理学者・天文学者である「サー・アイザック・ニュートン(Sir Isaac Newton)」さんは、「重力の法則を定式化」しただけでなく、「運動の3つの基本的な法則」を説明してくれました。

ニュートンの第一法則:慣性の法則

“すべての物体は、押された力によってその状態を変更せざるを得ない限り、静止状態または直線的な均一な動きの状態を維持する。”

駐機してある航空機は、外力が加わらない限り静止したままで、いったん移動を始めると、その慣性が働き続け、どこまでも同じ速度で移動を続けます。実際には、「タイヤと地面との摩擦」「風」「ブレーキ」「スラスト」等で飛行機は減速・加速を繰り返しています。

ニュートンの第二法則:運動方程式

“力は時間の変化ごとの運動量の変化に等しい。 一定の質量の場合、「力:Force」は「質量:Mass」と「加速度:Acceleration」の積に等しくなる。(F=ma)”

物体に一定の力が作用すると、その結果生じる加速度は物体の質量に「反比例」し、加えられた力に「比例」します。この法則は、第一法則をカバーするもので、「加速」「減速」「方向」の変化の原理を説明してくれています。

ニュートンの第三法則:作用・反作用の法則

“すべての作用には、対等な反作用がある。”

飛行機では、プロペラで空気を後ろに押し出したり、ジェットエンジンからの排ガスを高速で後ろに排出することで、それと等しい反作用が機体に働き、前に進む力を得られています。

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ベルヌーイの定理とは

スイスの数学者・物理学者の「ダニエル・ベルヌーイ(Daniel Bernoulli)」さんが、流体の「速さ」と「圧力」の関係を表した定理のことを指します。

パイロットとして「ベルヌーイの定理」の抑えておくべきことは以下のことでしょう。

▶動く流体(液体または気体)の移動速度が増加すると、流体内の圧力が減少する
▶静圧と動圧の一定

上図は「ベンチュリ管」というチューブで、ベルヌーイの定理を説明するときによく用いられるものです。このチューブには、「速度計」と「圧力計」が取り付けられており、途中くびれている箇所があるのが特徴です。

このチューブの入り口と出口の直径は同じ中、「動く流体」が移動していく中で、どのように2つの計器が反応したのかを表しております。ご覧の通り入り口と出口では、速度計・圧力計共に同じ値を示しているのに対して、途中のくびれた箇所では「速度は増加」し「圧力は低下」しています。

チューブに入る空気の質量と、チューブから出る空気の質量は同じ量になりますので、チューブがくびれている箇所では、空気は移動速度を上げて通過しなければならなくなります。空気が加速すると、圧力も低下します。

そして、くびれた個所を通過後は、空気の流れが遅くなり、圧力が上がります。

ベルヌーイの定理を応用した計器

航空機に取り付けられた「対気速度計」は、ベルヌーイの定理を応用して作られています。「動圧」と「静圧」とその和「全圧」により、対気速度計は表示されています。

「ニュートンの運動の法則」と「ベルヌーイの定理」と「揚力」

「ニュートンの運動の法則」と「ベルヌーイの定理」により、いかにして「揚力」が生み出されるのか理解できるでしょう。

上図は翼の断面図で、左側に向かって進行します。翼のデザインは、上面側がより湾曲した形となっており、下面側の方がよりフラットに近い形をしています。

翼が空気中を移動しているとき、気流は「前縁:Leading Edge」で上下に分けられ、「後縁:Trailing Edge」で再び合流します。

より湾曲した翼上面を通過する空気の速度は増加し、結果圧力が低くなります(ベルヌーイの定理より)。この低圧領域により、翼が上面側に持ち上げられようとして、「揚力」は生み出されています。

ベルヌーイの定理

【過去問】令和4年11月期/自家用操縦士/学科試験問題1

上記内容を参考にすると、正答は(1)となるでしょう。

【過去問】令和5年1月期/事業用操縦士/学科試験問題1

この問題も上記内容を参考にすると、正答は(1)と言えるでしょう。

【一覧】操縦士学科試験過去出題状況

参考文献