【エンジンオイル】オイルシステムって何のためにあるの?
飛行機はなぜ、エンジンオイルを積んでいるのでしょうか?
何個理由をあげられますか?
今回は、エンジンオイルとそのシステムについて見ていきましょう。
エンジンオイルの役目
エンジンオイルの大きな役目は、次の5点です:
- エンジンの可動パーツの潤滑
- 摩擦熱の軽減による冷却
- シリンダーの冷却
- ピストンとシリンダーの内壁のシールドの役目
- 汚染物質を運び去る
2種類の油だめ|Dry-Sump と Wet-Sump
レシプロエンジンのオイルシステムは、「Dry-Sump Oil System」と「Wet-Sump Oil System」の2つに分けることができます。
エンジンオイルは、配管にぴったりの量が入っているのではなく、多少の余裕を持たせて搭載されています。
その中で、余ったオイルがどこにあるのかによってDry-SumpとWet-Sumpが分類されています。
【Dry-Sump方式】
Dry-Sumpは、オイルタンクを有しており、その中に余ったオイルが貯蔵されています。
Wet-Sumpと比べて、オイルの貯蔵が多くできるので、より大きいレシプロエンジンに向いている方式です。
【Wet-Sump方式】
一方、Wet-Sumpは、エンジンの中に油だめが組み込まれています。
通常、エンジンの一番下の方に空洞が作られており、そのエリアにエンジンオイルが溜まる仕組みになっています。
オイルシステムは、Sumpから油をポンプでエンジンなど必要な箇所に循環させ、最後にSumpに戻ってくる仕組みになっています。
エンジンオイルの一部は、クランクシャフトの潤滑のために使われます。
エンジンオイルが定期的にシャフトの擦れる部分にスプレーされます。
必要な計器類
エンジンオイルの潤滑にあたり、加圧されたり温度変化が起こるので、それらの影響と状態を知るために、いくつか計器ががつけられており、パイロットはそれをもとにモニターすることが可能です。
【オイル圧力計】
名前の通り、オイルの圧力をはかるゲージです。
単位は「psi|Pounds per Square Inch」を使用し、緑色の範囲に針が位置していれば、問題ないことを表しています。
赤色は、最低と最高の圧力を表します。
それぞれの詳しい情報や温度はAFMやPOHを参考にしましょう。
【オイル温度計】
オイルの温度を知るための計器で、こちらも緑色がエンジンオイルの許容範囲を示しています。
赤色は、オイルの最高温度です。
オイルプレッシャー計は変化にすぐ反応するのに対して、オイル温度計は徐々に変化するので注意が必要です。
特に寒い冬のエンジンスタートした後に、オイル温度計がなかなか上昇しないので、反応の遅さを感じることができます。
しばらく暖機運転をしておくと、徐々にオイル温度計が上昇してくるのが分かります。
オイル温度計がとても高い値を示すとき考えられる原因は:
- オイルの配管が詰まった
- オイルの残量が少ない
- オイルクーラーが詰まった
- 温度計の故障
です。
逆に、オイル温度計がとても低い値を示すとき考えられる原因は:
- 冬季運行でオイルの粘度を間違えている
です。
上の写真のように、エンジンオイルは20W-50など、オイルの粘度などで分類されています。
エンジンオイルの点検
小型機のエンジンオイルの残量は、「Dipstick|ディップスティック」と呼ばれる棒状のもので計測ができます。
Dipstickもオイルフィルターも、エンジンカウリングの一部を開くことにより確認することができます。
出発前にオイルの残量を確認し、少なければ足しましょう。
オイルはエンジンを使うと、減る傾向にあります。
どのタイプのエンジンオイルをどのぐらい入れるべきかは、AFMやPOHに記載がありますし、アクセスパネルの近くにも記載されていることでしょう。
また、写真のようにオペレーターが、窓ガラスにどのようなタイプのオイルを使っているか書いてあるところもあります。
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【参考文献】