自分が操縦する機体のプロペラが、突然オーバースピード。どうする?

自分が操縦する機体のプロペラが、突然オーバースピード。どうする?

あるAdjustable-Pitchプロペラを搭載した、小型単発機が7,000ftでクルーズをしていると、プロペラの回転数が突然オーバースピードしてしまいました。

パイロットは、スロットルを少し動かしただけなのにも関わらず、オーバースピードしてしまったと証言しています。

その後、滑空して最寄りの空港に着陸しようと思い、「Best Glide Speed」の110ノットにしました。

しかし、空港までの滑空距離が足りず、緊急場外着陸をしてしまいました。

もし、この機体のパイロットがあなただったらどうしますか?

その後の展開

緊急着陸後に、この機体のトラブル原因はなんなのか、詳しく調べられました。

プロペラの突然のオーバースピードを引き起こした原因は、プロペラのピッチ角が「Low Position」から動かなくなってしまった事だとされました。

まるで、突然この機体に「Fixed-PitchのClimbプロペラ」を取り付けたのと同じようになってしまいます。

Low PitchのClimbプロペラは、上昇中などにに最大限のパワーを発揮するのに有利なプロペラです。

なので、クルーズ飛行で飛行速度が速い時に、急にプロペラの角度がHigh PitchからLow Pitchになってしまっては、プロペラがオーバースピードしてしまいます。

検証がさらに進められ、この現象に対する対処方法が考えられました。

プロペラがLow Pitchになってしまった時は、Best Glide Speed以下に飛行速度を落としてあげると、プロペラがオーバースピードすることなくレベルフライトを続けることが可能だそうです。

いろいろなタイプの機体があり、取り付けられているエンジンやプロペラによって状況は変わります。

ある飛行機では、Best Glide Speedでは、まだレベルフライトをするには速すぎるという結果も出ています。

Adjustable-Pitchプロペラで、プロペラがオーバースピードになる現象が発生してしまった時に、レベルフライトをするために維持すべき飛行速度は、エンジンが故障してしまったときに使うBest Glide Speedよりも、維持するのが難しいです。

何ノットだったらオーバースピードしないか目安がないので、自分で速度を落として探る必要があります。

パイロットは、プロペラがオーバースピードしてしまったときは、最寄りの空港に着陸するなど緊急手順を取ることももちろん大事ですが、飛行速度をBest Glide Speed以下にすることにより、レベルフライトを維持することができることを知っておくと、パニックに陥らずに済むでしょう。

Best Glide Speed以下の速度を探る時は、リカバリーできる高度が十分になり、時間的余裕もある時に行いましょう。

低速飛行をするということは、失速へのマージンが減るので、それだけリスクが増していることを忘れないようにしましょう。

まとめ

自分が操縦する機体が、急にうなりを上げてプロペラrpmがオーバースピードしてしまったら、とても焦ると思います。

エンジンrpmもオーバースピードを引き起こし、1発しか積んでいないエンジンが壊れ、緊急着陸することを予期してしまうことでしょう。

その先に、機体が大破する事もあると思うと、このパイロットは、とても恐ろしい体験をしたと思います。

今回は、飛行速度を落とすと、プロペラのオーバースピードを抑えることができることがある、という知識を得ることができました。

 

【参考文献】

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