【パイロット】試験官(DPE)の役割

最近、”試験” 受けましたか?

「知識面」や「技術面」でしっかりと準備できていない人が緊張しやすいとのことですけど、私は試験が始まるまではとても緊張するタイプです。

「もし不合格だったら……」「○○の知識は何だったかな……」「今まで考えもしなかったことを聞かれたらどうしよう……」など、いろいろと考えてしまいます。

パイロットにとって、最も大事な試験の一つが「実技試験」ではないでしょうか。

「自家用操縦士」「事業用操縦士」「計器飛行証明」「入社試験」「限定変更試験」「定期審査」など、のりこえなければならない実技試験が山ほどあります。

「免許が取得できるかできないか」「社内審査が通過できるかできないか」でその後の人生を大きく左右することでしょう。

今回は、そんな一人の人生を左右してしまうかもしれない「試験官の役割(米国編)」についてみていきましょう。

試験管(DPE)の役割

FAAでは、必要な知識と実技試験を満たした場合に、パイロット免許証と飛行教官免許証を発行します。実技試験の実施は、FSDOレベルで行われることがありますが、公共の需要に応えるため、必要に応じてFAAが一般人に実技試験を委任することがあります。

指定パイロット試験官(DPE)は、FAA Administratorの代表として、特定のパイロット認定タスクを実行するように指定された一般のパイロットであり、その代償として合理的な料金を請求することができます。

一般的に、DPEの権限は、特定のパイロット免許証やレーティングの発行につながる実技試験の申請を受け入れ、実施することに限定されます。

DPEは、FSDOの直接監督下で運営し、FSDOの査定官がDPEの認定活動を監視します。FAAは、資質の高いパイロットをDPEとして選択します。これらの方々は、職業的な信頼性、高い誠実性、公共への奉仕意欲があること、また認定問題においてFAAのポリシーと手順に従うことが求められます。

DPEは、FAAの実施要領と同じ方法、手順、基準を使用して実技試験を実施することが期待されています。ただし、DPEはFAA航空安全検査官(FAA ASI)ではありません。

なのでDPEは、FAAの代わりに執行行為を行ったり、事故の調査を行ったり、監視活動を行ったりすることはできません。

しかし、レクリエーショナル、プライベート、商業パイロットレベルのFAAの実技試験の大部分は、DPEによって実施されます。

まとめ

私が通っていた大学には、DPEが1人所属しておりました。

なので、実技試験はそのDPEとのフライトでした。アメリカではエリアごとにDPEがいるので、あるDPEが都合悪い時は、別のDPEの所に行き実技試験を受けたりしていました。

DPEごとに相場が違うので、それも”アメリカらしいな”と思いました。

私の学校のDPEは、宗教上の理由で日曜日は絶対に飛ばないと決めておられたので、実技試験は平日の授業がかぶらない時間帯か土曜日に受けていました。

学生もある程度の数おりましたので、いち早く試験を受けたい場合は、別のDPEの本拠地空港まで学校の飛行機をレンタルして、試験を受けにいく生徒もいました。

アメリカでは飛行機の免許を取得する人が多いので、FAAから派遣させる試験官だけでは、全ての人のニーズにこたえるのは難しいので、このようなシステムが導入されているのだと思います。

FAA試験官だけが実地試験を行うシステムを導入していたら、FAA試験官のスケジュール待ちで数か月も待つことになるでしょう。

その間にフライトの感覚も忘れていってしまったり、せっかちなアメリカ人には受け入れられない事でしょう。

残念ながら日本では、国土交通省航空局から毎回試験官が来られるので、訓練項目を完了させ、実技試験へ申し込み、込み具合でスケジュールされるのが数か月先になってしまうこともあります。

さらに、その試験にフェイル(不合格)してしまった際には、追加訓練を完了させ、そこから再度再試験の申込、スケジュール待ちとなります。なので、数か月~半年などあっという間に過ぎてしまうでしょう。

その点、臨機応変なシステムを導入しているアメリカは航空業界で日本より進んでいると感じました。

参考:Airplane Flying Handbook CH1 (FAA-H-8083-3C)