日本の周りをグルグル回る気象衛星ひまわりから「可視画像」「水蒸気画像」「赤外線画像」が約2分30秒に1回送られてきます。日本(日本とその周辺)を遠いところから眺めることで、今後どのように天気が変化するのか、予想を立てやすくなります。
気象衛星からの情報は、誰でも気象庁のウェブサイトで入手可能ですので、興味のある方は下記リンクから現在の衛星からの画像を見てみてください。
今回は、
②水蒸気画像
③赤外線画像
④雲頂強調画像
についてみていきましょう。
可視画像
まず初めに、「可視画像」ですが、名前の通り人間の目で見たように衛星から撮影した画像です。太陽からの光を地上や雲が反射した様子が映し出されています。太陽光をより反射している箇所は「白っぽく」移り、太陽光を吸収している箇所は「黒っぽく」移る特徴があります。
降水をもたらすような水蒸気をより多く含んだ雲は、より多くの光を反射するので、白くはっきりと映ります。
可視画像の欠点として、太陽光の反射を利用しているので、夜間には十分な光が降り注がないため、雲の位置を把握することが難しくなります。
赤外画像
赤外画像は、「雲」「地表面」「大気」などから放射される赤外線を捉えた画像です。雲から放たれる赤外線の強さは、雲の温度により変化する傾向があります。より「低温の雲」は、より「白っぽく」映し出されます。
「地表面」や「海面」は、「黒っぽく」映し出されます。また、「低層の雲」や「霧」は温度が高いことが多いので、赤外画像では地表面や海面とほぼ区別がつかないです。
雲の温度が低いということは、「高高度に位置する雲」といえるでしょう。空気塊は高度が上がるほど、空気密度が小さくなります。上昇の際の減圧により、より空気塊の温度は下がっていきます。
という法則が成り立ちますが、可視画像とは違い、白いく映し出されている雲が必ずしも降水を伴うとは限りません。
なぜなら、高高度に位置する雲というのは、いろいろな種類があるからです。
例えば、夏に発生する「積乱雲」の雲頂は、とても高高度になります。積乱雲は、夕立などを引き起こす雲として知られていることは間違いありません。また、「巻雲(Ci)」「巻積雲(Cc)」「巻層雲(Cs)」などは、通常降水をもたらさない雲ですが、高高度に存在しています。
なので、「可視画像」ではより水蒸気を多く含んだエリアが白く映るが、「赤外画像」はより低温の雲が白く映し出されるという特徴を押さえておかなければなりません。
水蒸気画像
水蒸気画像は、赤外画像の一種として分類されています。大気中の「水蒸気」と「雲」から赤外放射(6.2μm帯)を観測した画像です。
「6.2μm帯」の波長が利用される理由は、「水蒸気によく吸収され・放射される」特徴があるからです。この特徴を利用して、人間の目には見えない対流圏内の上層・中層内の水蒸気を観測することが出来るようになります。この技術により、上空の大気の湿り具合を分かりやすく画像(動画)で確認することが出来ます。
気象衛星からの画像を「パラパラ漫画」のように動かしてみると、水蒸気の移動を介して上空の気流を映像としてとらえることも出来るようになりました。
④雲頂強調画像
雲頂強調画像は、雲頂高度が高い雲に色付けをした画像です。雲の高度により温度が変わるので、放出される赤外線の強さも変わります。この放出される赤外線の強さを衛星がキャッチすることで、その雲の大体の温度を算出し、更にその雲の高度を導き出すことが出来ます。
そして、より高高度の雲頂を分かりやすく赤色で着色しています。この着色パターンは、レーダーなどによるの降水強度を示したものにとても似ていますが、全くの別物であることに留意しましょう。
この画像の特徴として、日が出ているときは「可視画像」を利用し、日が沈むと「赤外画像」を利用している事です。
この画像を利用することで、「積乱雲」の存在を把握することが容易になりました。
共通の注意事項
- 「2月〜4月」「8月〜10月」の一部時間帯では、太陽の影響で画像に一部かけるところが出るので注意
パイロットとして知っておくべき気象衛星からの画像
【過去問】令和5年1月期/事業用操縦士/航空気象/学科試験問題20
上記(a)~(d)までの記載すべて正しいと言えるので、正答は(4)であると言えるでしょう。