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【飛行機の離陸】ショートフィールドテイクオフとその注意点

使用する機体のパフォーマンスに対して、滑走路の長さがギリギリのときがあります。

また、滑走路のすぐそばに木が生えており、滑走路を最大限まで使って離陸滑走できない空港もあるでしょう。

そんなときは、機体が発揮できる最大限の力をパイロットが引き出してあげないと、最悪障害物に衝突してしまいます。

そんな障害物を超えるためにできることは、できるだけ短い滑走距離で離陸速度まで加速し、機体の上昇角度を最大限にすることでしょう。

今回は機体の最大限のパフォーマンスが求められる、ショートフィールドテイクオフについて見ていきましょう。

テイクオフロール|Takeoff Roll

まず何より大事なのは、機体のAFMやPOHのパフォーマンスセクションをしっかり読み、離陸パフォーマンスの計算や、離陸のセッティングを整えることです。

 AFM/POHには、機体製造会社が導き出した「必要なパワーセッティング」「フラップセッティング」「対気速度」「離陸手順」などが記されています。

ショートフィールドテイクオフをする上で、知らなければいけない速度が2つあります。

「Vxスピード」と「Vyスピード」です。

  • Vxは、水平距離で見たとき、一番短い距離でより高い高度を獲得できる速度です。
  • Vyは、時間軸で見たとき、一番早く所定の高度に達することができる速度です。

多くの機体では、Vxスピードの方がVyスピードよりも遅いです。

今回は、滑走路端に木が生えていると想定します。

なので、滑走路終端よりも手前でリフトオフをし、上昇しなければ木を避けられません。

滑走路の長さが限られているので、離陸開始地点もできるだけ滑走路のギリギリから始めたいです。

まず飛行機に向かう前に、機体の離陸滑走距離をその日の条件で計算し、離陸しようとしている滑走路の有効距離と見比べて、滑走路の方がなくないと出発はできません。

それがクリアできたなら、タイヤの空気圧やエンジンの調子を確認し、離陸のフラップセッティングなどAFM/POHに書かれていた通りにセットします。

安全を確認して滑走路に進入したら、少しでも離陸滑走距離が残るようにタクシングを心がけます。

必要ならば、離陸する方向とは逆方向にタクシングを行い、1cmでも離陸滑走できる距離を稼ぎます。

また、滑走路にアラインする際のターンもだらだら曲がるのではなく、なるべくシャープに行います。

そこで稼げた1cmの差が、ランウェイエンドにある木にぶつかるのか、回避できるかの瀬戸際かもしれません。

滑走路にアラインしたら、次はフラップ位置を最終確認します。

AFMやPOHに、離陸フラップを使用することとなっているのであれば、離陸フラップになっているのか。

フラップアップとなっているのであれば、フラップは下がっていないか確認します。

通常離陸ではなく、ショートフィールドテイクオフをするということをもう一度自分に言い聞かせます。

ここまで準備できたら、あとは心を決めて離陸するのみです。

パワーをスムーズに最大限まで足し、エンジン計器を確認します。

異常がなければ、rpmの値が最大になったのを確認して、ブレーキから足を離し離陸滑走を行います。

ここまでが、通常知られているショートフィールドテイクオフの手順になります。

このように、滑走路に入って一度停止するテイクオフのやり方を「スタンディングテイクオフ|Standing Takeoff」といいます。

一方、一度も止まらず離陸していく方法を「ローリングテイクオフ|Rolling Takeoff」
といいます。

一部の離陸重量限界の単発ピストン機では、ローリングテイクオフをした方が離陸距離が短くなる機体もあるのです。

全ての鍵はAFMやPOHなので、穴が開くほど熟読するといいでしょう。

離陸滑走を開始したら、加速中に誤ってブレーキを踏んでしまわないように、つま先はブレーキから下ろして、ラダーだけを踏むようにしておくと思わぬミスを防げます。

リフトオフ|Lift-Off

離陸速度が速くなるにつれ、目の前に障害物が近づいてきていますが焦りは禁物です。

恐怖に負け、あまりにも早く操縦桿を引いてリフトオフしまうと、その代償にドラッグが増えて加速が妨げられます。

Vxスピードまでリフトオフを我慢し、Vxスピードに達したら操縦桿を引きリフトオフします。

リフトオフ後は、タイヤと滑走路の摩擦がなくなるので対気速度が増加しようとします。

その速度の増加分も高度に変換したいので、操縦桿を少し引きVxスピードを維持することを心がけましょう。

リフトオフ直後は失速速度への余分なマージンが欲しいのではなく、一番欲しいのは障害物を避けるための高度です。

注意点としていくつかの機体では、速度がたった5ノットずれるだけで、パフォーマンスが大きく低下してしまうものもあります。

加えて、機体が左右に傾くと、リフトの力が多少なりとも左右に逃げてしまうので、翼はできるだけ地面と水平を保つようコントロールします。

そして、障害物を超えることができたら、ピッチを落としてあげその後はVy速度で上昇を継続します。

また、Vx前にリフトオフしてしまった場合も、グラウンドエフェクトの範囲内で地面と水平飛行をし加速してから上昇することが大切です。

この場合の加速は、一度操縦桿を前に倒すかたちになるので恐怖を感じるかもしれませんが、加速をしてから上昇しないと十分に障害物を超えることはできません。

また、絶対にVxまでリフトオフしないように、あらかじめ操縦桿を前に倒しておくことも、地面とタイヤの摩擦が大きくなりうまく加速できない原因になります。

初期上昇|Initial Climb

通常離陸の場合、機体が上昇し始めたらギアを格納します。

しかし、ショートフィールドテイクオフでは、障害物を超え加速するまでギアはおろしたままにします。

ギアを引き上げるときに、ギア収納のためのドアが開き、そこに風が当たることで大きな抵抗を生みます。

ギアを出したままにしておくよりも抵抗を生むので、障害物を超えるまでギアは出したままにしておきます。

フラップも同様に、障害物を超えるまで出したまま形態を変えることはしません。

フラップを上げた際に、急激にリフトが減ってしまい、障害物目がけ高度が落ちてしまっては危険です。

障害物を超えるまでは、「外部監視」「Vxを維持」「ウィングレベル」に専念し、ギアとフラップの収納は後回しにします。

障害物を飛び越え、Vy速度に達したらギアやフラップを収納します

必要なら、マックスパワーからクライムパワーにエンジン出力を絞ってあげます。

ショートフィールドテイクオフで見られるエラー

  • AFMやPOHでパフォーマンスを確認できていない
  • 離陸滑走前の安全確認忘れ
  • 滑走路を端から使えていない
  • トリムがテイクオフ位置にあっていない
  • リフトオフが早すぎてドラッグが増してしまう
  • 機体を地面に押しつけるように離陸滑走をし、大きなドラッグを生んでしまう
  • リフトオフ後、無駄に加速してしまう
  • Vxスピードを維持できない
  • 対気速度計にのみ注意がいってしまう
  • フラップやギアの収納操作を、障害物を超える前におこなってしまう

まとめ

滑走路は長ければ長いほどいいかもしれませんが、島や街の真ん中に建設された空港では滑走路に使用できる土地が限られています。

今回のテクニックを使用する前に、プランニングの段階で離陸距離が滑走路長より長ければ、荷物や乗客を減らしたり、燃料を減らし他の空港で給油の1ストップを追加するなどの対応をしなければなりません。

ショートフィールドテイクオフの技術を使えば、どんな障害物も飛び越えられるというものではないのです。

離陸失敗してしまったら最悪命に関わることなので、少しでも不安要素が残るのであれば、離陸を中断をして状況を立て直したり、離陸中止しするのも必要でしょう。

VxスピードからVyスピードに加速する意味は、エンジンが壊れる前に安全な高度にいち早く辿り着く目的もありますが、エンジンの冷却もかねています。

多くの小型ピストン機は、空冷却が主流です。

Vxスピードのように速度が遅くて、しかもピッチがとても上がっている状態でエンジンが高出力状態を続けると、エンジンがうまく冷却されなくなってしまいます。

なので、障害物をこえたら不必要なピッチアップをやめ、Vyまで加速をしてあげましょう。

 

【参考文献】

>飛行機パイロットTV

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