【飛行機の離陸】ソフトフィールドテイクオフとその注意点

今までに、芝生の滑走路から離陸をしたことがありますか?

滑走路は、通常コンクリートやアスファルトで舗装されているところがほとんどです。

しかし、場所によっては芝生や土が剥き出しの滑走路があります。

このような空港には、旅客機はまず乗り入れないので、芝生や土の滑走路に馴染みがない人が多いかもしれません。

しかし、舗装されていない滑走路は世界に実在します。

あなたが機長なら、この柔らかい滑走路から安全に離陸することができますか?

今回は、ソフトフィールドテイクオフのやり方とその注意点について見ていきましょう。

テイクオフロール|Takeoff Roll

滑走路の安全確認を行ったら、滑走路に進入します。

滑走路に入り、離陸経路に機首を向けることができたら、パワーをなるべく素早くスムーズに足していきます。

不必要に機体の動きを止めてしまってはいけません。

舗装されている滑走路ではスタンディングテイクオフを行うことが多いですが、滑走路が柔らかい滑走路ではローリングテイクオフを行うことがスタンダードです。

なぜなら、柔らかい土の上で機体が動きを止めてしまうと、次に動き出すときに大きな抵抗がかかります。車輪が土のくぼみにひっかがってしまったら、抜け出せなくなってしまうからです。

離陸パワーをセットしたら、エンジン計器で異常がないかを確認して、操縦桿を手前に引きエレベーターをあげておきます。

これにより、前輪にかかる機体重量を軽減することができることに加え、メインギアで小石を巻き上げエレベーターを傷つけることを防止できます。

雨の後の土を自転車で走行することを想像するとわかりやすいと思いますが、地面が凸凹していたり、わだちに車輪が取られやすいです。

また、離陸滑走中に前輪が溝にはまってしまったら、機体は前につんのめってしまいまうでしょう。

なので、ノーズギアはなるべく中に浮かせ、メインギアにかかる重量もリフトで減らすようにします。

離陸滑走速度が増速するにつれ、より翼がリフトを生み出し機体重量がギアから翼にシフトしていきます。

よって、タイヤと地面の摩擦が減っていきます。

通常の離陸やショートフィールドテイクオフは、離陸速度に達するまで地面から離れないように操縦しますが、ソフトフィールドテイクオフは少しでも早くガタガタする滑走路から離れたいのです。

リフトオフ|Lift-Off

飛行機が加速していくと、いずれかリフトオフを迎えます。

しかし多くの場合、リフトオフはできても、上昇するには速度が足りなさすぎます。

なので、グラウンドエフェクトの範囲内で加速をしてあげる必要があるのです。

パイロットはリフトオフをしたら、ピッチを下げて滑走路と並行になるように、超低空飛行を行います。

リフトオフの速度から、VxやVyスピードまで加速してあげる必要があるのです。

十分に加速しないまま、グラウンドエフェクトのエリアから出ようとすると、リフトが足りずにドラッグが増えてしまうので、どんなにフルパワーにしても地面に叩きつけられてしまいます。

なので、最低限Vxスピードまでグラウンドエフェクトの範囲内で加速してあげる必要があるのです。

これを実現するには、しっかりと外部監視をしながら速度計を確認して、地面と一定の距離を保つための操縦技術が求められます。

地面ギリギリで飛行しているので、いつ滑走路に接地してしまうか分からないので、ランディングギアは収納せず、おろしたままにしておきます。

初期上昇|Initial Climb

VxやVyスピードまで加速できると、上昇を開始することができます。

ソフトフィールドテイクオフを行うときでも、滑走エンドに何か障害物があるときは、ショートフィールドテイクオフと組み合わせて行います。

障害物を飛び越えるまでは、Vx速度で上昇を行い、その後はVyスピードまで加速する流れは同じです。

十分に加速して上昇開始したら、ランディングギアやテイクオフフラップを収納していきましょう。

もし寒い地域での離陸で、濡れた雪やスラッシュが混ざった滑走路コンディションであった場合は、ランディングギアをすぐに収納してはいけません。

少しの間風で乾燥させてあげてから収納しないと、目的地で氷が溶けるまでランディングギアが出てこないトラブルに発展してしまうからです。

ギアやフラップを収納したら、あとは通常の上昇と同じように、テイクオフパワーからクライムパワーに絞ったり、必要ならばクルーズクライムスピードまで加速してあげるといいでしょう。

よく起きるエラー

  • AFMやPOHでパフォーマンスの確認ミス
  • 滑走路や離陸経路の安全確認忘れ
  • テイクオフロール時に、操縦桿を十分に引けていない
  • テイクオフパワーを入れた後、エンジン計器の確認ミス
  • 方向維持が下手
  • リフトオフ後のレベルフライトが高すぎる
  • リフトオフ後のレベルフライトに入る時のエレベーター操作が過剰
  • リフトオフ後に滑走路に再接地してしまう
  • 十分に加速する前に、上昇しようとしてしまう
  • グラウンドエフェクトのエリアから出るときに、ピッチアップがうまくできない

まとめ

離陸滑走中に、操縦桿を最大限まで引いてリフトオフに備えます。

だんだんと加速してくると、前輪が浮き上がり飛行機がウィーリーしていきます。

機首が上がることで前方の視界も悪くなってきます。

ここで怖いからといって操縦桿を前に戻すと、前輪が地面に強打してしまいます。

また、ピッチをうまく調整してあげないと、機首が上がりすぎテイルを地面にぶつけてしまいます。

前輪を空中に浮かせ、尾翼を地面にぶつけないピッチ角を維持して、デコボコ道を加速していくのは初めは難しいと感じるかもしれないでしょう。

うまく上達するには、自分が操縦する機体が何度ピッチアップしたら、テイルヒットしてしまうのか事前に確認しておく必要があります。

AFMやPOHにも書いてありますが、実機で確認するともっといでしょう。

小型機なら駐機してある機体に自分が乗り込み、同僚などに機体の後部が地面に着くギリギリまで押してもらい、コックピットからどの程度地平線や滑走路の先が見えるのか確認することもできるでしょう。

実際にソフトフィールドテイクオフをおこなった経験として、地面の凹凸がコックピットに振動として伝わり、どこかが壊れてしまいそうなぐらい揺れました。

すぐにでもリフトオフしたい気持ちがすごくわかりました。

また、タクシングも通常より多くパワーを出し入れしてあげないと、抵抗が多い分前に進みにくいです。特に一度停止してしまうと、動き出しのパワーがとても多く必要です。

今回の知識が、少しでも役立てられたら幸いです。

【参考文献】