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【エンジンのブースト機能】スーパーチャージャーの仕組みとは?

図:ラディアルエンジン

【エンジンのブースト機能】スーパーチャージャーの仕組みとは?

エンジン出力をよりパワーアップさせる為に「スーパーチャージャー」と「ターボチャージャー」が生み出されました。

両システムとも吸気した空気を圧縮し、空気密度を高めるためのシステムです。

両システムの大きな違いは、空気密度を高くためにどのような力を利用するかです。

スーパーチャージャーはエンジン駆動の空気ポンプやコンプレッサーを使用します。

一方ターボチャージャーは、排気ガスを利用して空気を圧縮します。

両システムとも、マニフォールドプレッシャーゲージを有しており、吸気地点のMAP:Manifold Air Pressをモニターしています。

標準大気の時、海面の高度でエンジンをシャットダウンしたら、マニフォールドプレッシャーゲージは29.92″Hgを示します。

また、大気圧は約1,000ftで1″Hg減っていくので、5,000ftでは24.92″Hgになるはずです。

このように飛行機が上昇していくと、どんどん大気圧は低下していきます。

上昇していくといずれ大気圧が低くなりすぎて、どんなにエンジンをフルパワーにしても、上昇できなくなる高度に達することでしょう。

高度が上がれば上がるほど気圧は低くなるので、エンジンの出力はだんだんと低下していきます。

もし、吸気する空気を圧縮してシリンダーに提供することができれば、エンジン出力の低下を妨げることができます。

この仕事を、「スーパーチャージャー」や「ターボチャージャー」が行っているのです。

この二つのどちらかのシステムが搭載されていると、先ほどの上昇ができなくなる限界の高度も高くなり、より風向風速や燃費の良い高度を飛行する選択肢が増えることでしょう。

今回は、そんな飛行機のエンジンのブースト機能である「スーパーチャージャー」について見ていきたいと思います。

スーパーチャージャーとは?

スーパーチャージャーはエンジン駆動の空気ポンプやコンプレッサーを利用して、空気を加圧しエンジンのパワー低下を防ぎます。

マニフォールドプレッシャーを増強し、シリンダーに空気と燃料の混合物を送ります。

マニフォールドプレッシャーがより高い値を示すということは、空気密度も高くなるということです。

よって、エンジンもより強い力を発揮することができます。

スーパーチャージャーなどのシステムがついていない通常のピストンエンジンでは、外気圧よりも空気圧を高くすることはできません。(標準大気:29.92″Hg)

スーパーチャージャーでは、マニフォールドプレッシャーを30″Hg以上にブーストすることが可能です。

例えば、8,000ftを飛行している機体のエンジンは、気圧の低下の影響により、そのエンジンが持っている力の約75%しか発揮できていません。

普通のエンジンがこの高度を飛行すると、マニフォールドプレッシャーの値は約22″Hg程度になるのに対して、スーパーチャージャーを使用すると約25″Hgまでブーストすることが可能です。

約18,000ftの高度では、気圧は地上の約半分であると言われています。

この高度でスーパーチャージャーを使用すると、地上と同じ程度の気圧までブーストすることが可能です。(29.92″Hg)

先ほどの8,000ftよりもブーストできていることがわかると思います。

スーパーチャージャーの分類

通常のエンジンシステムでも、スーパーチャージャーが搭載されたシステムでも吸気系統はよく似ています。

後者には「スーパーチャージャー」に加え、「吸気マニフォールド」と「燃料流量計」が新たに付け加えられている違いがあるぐらいです。

スーパーチャージャーはエンジンの駆動をギアをかいして、「1段階」「2段階」「無段階」に分けて、圧力を高めていくシステムがあります。

段階が進むごとに、空気は圧縮されていきます。

何回に分けて空気を圧縮するかによって「1ステージ式」「2ステージ式」「多段式」と分類されています。

1段階シングルスピード式

初期の段階の「1ステージ式」のスーパーチャージャーは、「Sea-level スーパーチャージャー」を参考に作られました。

このようなシステムを持ったエンジンを、「A sea-level エンジン」と呼ばれています。

Sea-level スーパーチャージャーの仕組みは、たった1つのギアで羽根車を回して空気を圧縮します。

ギアが1つしかついていないので、どの高度帯でも同じギアを使用し圧縮します。

なので、高度が高くなるとだんだんと圧縮効率が悪くなり、パワー低下が見られます。

この1段階でシングルスピード式のスーパーチャージャーは、ラディアルエンジンによく取り付けられております。

吸気された空気はキャブレターへのダクトを通りながら、燃料と空気の比率を調整されます。

そして、スーパーチャージャーへのダクトを通り、送風羽根車で押し出し加速されます。

散布機を通過して、送風された空気速度を圧力に変換します。

そして、圧縮されたところでシリンダーに送られ点火される流れになっています。

1段階ダブルスピード式

このタイプでは、第二次世界大戦の時に多く使われていた、大型のラディアルエンジンに採用されていました。

1つの羽根車で2つのスピードに空気を加速させます。

「低速の羽根車」と「高速の羽根車」のセッティングの2つがあります。

このセッティングの切り替えは、コックピットにレバーやスイッチが取り付けられており、パイロットが操作することにより油圧でセッティングが変更できる仕組みになっています。

通常、低速のセッティングで離陸します。

地上でのブースティングモードで、高度が上がると出力の低下が見込まれます。

なのである一定以上の高度になると、スイッチを操作して高速セッティングに切り替えてあげます。

一度セッティングを変更したら、スロットルを調整してマニフォールドプレッシャーをセットし直さなければなりません。

低速側は地上から使うので、「a ground-boosted engine」と呼ばれ、高速側はより高高度で使用するので「an-altitude engine」と呼ばれています。

上図は赤色の線が、ターボチャージャーを使用しないエンジンの曲線で、黒色が2段回式のスーパーチャージャーのパフォーマンスを示しております。

ある一定の気圧以下になると、パイロットが低速から高速に変更することにより、低下していた出力が一度高くなることがわかります。

その後徐々に低下していきますが、低速のセッティングのままオペレーションするより高いパワーが発揮されています。

まとめ

今回は空気の圧縮装置2種類のうち「スーパーチャージャー」についてご紹介しました。

スーパーチャージャーといっても、いくつかに分けられることは知らなかったのではないでしょうか。

次回は、ターボチャージャーについて見ていきたいと思います。

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【参考文献】

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