【航空機安全対策】スイスチーズモデルとは?
今回は、航空機の安全対策を話す時に必ず出てくる、「スイスチーズモデル 」についてご紹介します。
スイスチーズじゃなきゃダメなの?
そもそも、なぜ「チェダーチーズモデル」や「カマンベールチーズモデル」ではいけないのでしょうか?
スイスチーズモデルは、チーズの種類を限定しているのではなく、たまたまチーズをスライスしたときに、適度に穴が空いているのが都合が良かったのです。
スイスチーズモデルって何?
イギリスの心理学者ジェイムズ・リーズン(Mr. James Reason)さんが考案したモデルだと言われており、事故のリスクや、リスクマネジメントの話をするときによく耳にします。
飛行機が空を飛ぶということは、毎回リスクが潜んでいます。
しかし、毎回のフライトで事故が起きるわけではありません。
何かの要因が、飛行機を事故から守ってくれているのです。
運輸安全委員会の調査結果では、2018年に発生した大型飛行機(最大離陸重量5,700kg以上)の事故は、2件でした。
【参考】
また、世界で見ても、最大離陸重量5,700kg以上の定期運送便で見ると、100万回の離陸で2.59回事故が発生する結果となりました。
【参考】
どんなに安全が一番大事と言われていても、今までに1度も事故が無くなった年はありません。
逆に、世界中では1日に何万回も飛行機が離着陸しているのにもかかわず、毎日事故は起きていません。
では、事故を防いでいるものはなんなのでしょうか?
それは、スイスチーズモデルのチーズ一枚一枚です。
チーズ1枚1枚が防御壁となって、事故から航空機を守ってくれているのです。
しかし、残念ながらこの防御壁は完璧なものではなく、所々ランダムに穴が空いてしまっているのです。
飛行機の安全対策では、スイスチーズは5枚使われます。
この5枚のチーズの穴が、一直線に揃ってしまったとき、危険因子が防御壁をすり抜け重大な事故は起きてしまうのです。
なので、航空機の安全を考えるときには、この穴をできるだけ小さくして数を減らす、もしくは、それぞれの穴を塞ぐことが大事なのです。
5枚のチーズの意味
【1枚目のチーズ】
- 意思決定
- 整備
【2枚目のチーズ】
- ラインマネジメント
- コミュニケーション
【3枚目のチーズ】
- 現場環境
- 人・協調
【4枚目のチーズ】
- 個人の行為
- 環境
【5枚目のチーズ】
- システムディフェンス
- 機材
※5枚のチーズの意味が、それぞれどんな意味を表しているのかは、書籍によって違います。