気流が悪い中でアプローチをしなければいけないこともありますよね。
今回は、乱気流の中でのアプローチについて見ていきたいと思います。
ガストとアプローチフラップ
気流が悪い時は、パワーを通常よりも多く足しておいて、アプローチ速度を少し速くするようにします。
速度が速くなることにより、機体のコントロールがより行いやすくなります。
気流の乱れによりファイナルアプローチで機体が上下左右に揺さぶられたり、速度の変化が大きくなることでしょう。
こんな時も通常のアプローチのように、ピッチの変化と同時にスロットルの調整も行ってあげる必要があります。
また、乱気流の場合はピッチが変化しなくても、速度が変わることがあるのでスロットルで対応してあげる必要があります。
あまりにも横からのガストが強いときは、フラップを最大まで出さないことがうまくいくコツです。
フルフラップにしないことにより、通常よりもピッチが上がった状態になります。
その結果、タッチダウンの際のピッチアップ量が少なくて済むだけでなく、アプローチ速度が比較的速くなるので機体をコントロールしやすくなります。
しかし、アプローチ速度が速い分、フレアーが長くなってしまう可能性が高くなるのが注意点です。
どのぐらいアプローチ速度を足すのか
アプローチ速度を通常よりも速くすると、コントロールしやすくなるのはわかりましたが、実際にどのぐらいアプローチ速度を増やせば良いのか目安は持っていますか?
通常のアプローチ速度にガストの半分の速度を足すと良いです。
例えば、15ノットのガストが吹く中、ノーマルアプローチ速度が70ノットの機体でアプローチしているとき、アプローチ速度を77ノットにするとでしょう。
もちろん、AFMやPOHを参考にし、そちらに記載があるときはその速度を優先しましょう。
乱気流の中のアプローチのときは、フラップのセッティングをどうしたらいいのか記載されていることもあります。
タッチダウンとパワー
通常よりもパワーを多く入れ、アプローチ速度も速い状態でフレアーに入ります。
そして、フレアが伸びすぎないように注意をし、タッチダウンをします。
通常の着陸なら、フレアの際にスロットルをアイドルにし、ゆっくり減速しながら接地をすることでしょう。
しかし、乱気流の中着陸する場合は、メインギアが接地するまではパワーをアイドルにしません。
乱気流の中のフレアでスロットルをアイドルにしてしまうと、急激に降下率が高くなりハードランディングになる可能性が高いからです。
先ほども触れたようにフルフラップにしていないので、ピッチが上がった状態で進入してきています。
なので、フレアで大きくピッチアップしてあげる必要はなく、メインギアが先に接地する為に十分なだけのピッチアップ操作をしてあげれば事足ります。
メインギアが接地した後に、操縦桿を前に倒す行動は絶対にしてはなりません。
前輪が地面に大きく叩きつけられバウンドし、機体がコントロールできない状態に陥ります。
過去に、成田空港でフェデックス80便が気流が悪い中での着陸となり、事故を起こしてしまっております。
ブレーキ操作には細心の注意を払いながら減速をしていきましょう。
強めのブレーキを使うなら十分に減速し、機体のウエイトがリフトからギアに完全に移ってからにしましょう。
まとめ
今回は、乱気流の中でのアプローチからランディングについて見てきました。
機体が上下左右に揺れ速度変化も大きいので、初めの頃はパニック状態になるかもしれないでしょう。
特に訓練初期の頃だと手に追えないと感じるかもしれませんが、練習をし徐々に強めの乱気流を体験していくことにより慣れて来るので心配は入りません。
しかし、冷静に判断をし、自分の手に負えないレベルの乱気流だと判断した場合、速やかに他の空港に向かうといいでしょう。
アプローチフラップで進入し、アプローチ速度は通常のアプローチ速度にガスト成分の半分の速度を足し、タッチダウンの際にピッチを上げすぎないことに注意することを忘れないようにしましょう。
【参考文献】