地球上にいる限り、重力から逃れることはできません。
ウエイトの力は、CGとCPのどちらにかかっているか知っていますか?
今回は、生まれたときから当たり前のようにある、重力と飛行機の関係性について見ていきたいと思います。
飛行機に関係するウエイトとは
飛行機の重量、クルー、燃料、荷物や貨物の総合的な重さをさします。
地球に対して垂直に働く力で、重力により地球の中心に向かって引っ張られる力です。
飛行機も重力の影響を受け、地球の真ん中へと引き付けられています。
この力は目には見えませんが、人間が理解しやすいようにベクトルで力を表現します。
ウエイトのベクトルは飛行機のバランスが取れたを所(CG: Center of Gravity)を中心に、下向きに描かれます。
上の図のように、ウエイトはリフトは逆の方向に働く力です。
CGが飛行機のどこの位置に来るかは、飛行機の設計により変わります。
定速水平飛行をしているとき、リフトとウエイトは釣り合っています。
どちからかの力が上回ると、機体は上昇や降下をしてしまいます。
そして、力が上回った分だけ垂直方向への加速がつき、VSI:Vertical Speed Indicatorが大きく動きます。
飛行機のCGとCP
デザイナーは、翼のデザインで、リフトの中心(CP:Center of Pressure)がどのぐらい移動するかにより、CGの場所を決定します。
注意点として、リフトの中心はCPで上向きの力、ウエイトの中心はCGで下向きの力です。
CGが真ん中に描かれ、上下にリフトとウエイトが描かれている図が多いですが、これはCGとCPがほぼ一緒の位置にあるためです。
飛行中は、姿勢の変化や燃料の消費などに伴い、CGとCPの位置は絶えず変化しています。
このCGとCPのバランスが崩れた時に、飛行機は違った反応を見せます。
CPよりも前側にCGが移動した時、機体はピッチダウンの傾向を見せ、後ろに移動しているときはピッチアップの傾向が出ます。
CGが前に移動しすぎたり、後ろに移動しすぎたりすると、ピッチが上がりすぎたり下がりすぎたりして、リカバリーができないところまでいってしまい、とても危険です。
なので、デザイナーはCGが移動する範囲を限定します。
前側に設定された限界を「Forward limit|前方限界」といい、後ろ側に設定された限界を「Aft limit|後方限界」と言います。
まとめ
今回は、ウエイトの力について見てきました。
CGとCPは違うものであることを知っていましたか?
上空で燃料はどんどんと減っていきます。
それによりCGの位置が変わり、CPとの関係性も変わります。
燃料タンクは、CGより前側にあるのか後ろ側にあるのかによって、燃料が減るとCGが移動する方向が変わります。
また、CGよりもタンクの位置が遠いと、燃料の減少によるCGの移動幅も大きくなります。
よって、離陸時と着陸時には燃料の残量が大きく違うので、飛行機の反応が変わることを覚えておきましょう。
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