
世界の2大航空機メーカーといえば、米国のボーイング社と、ヨーロッパのエアバス社ではないでしょうか。
その中の小型機市場では、ボーイング737とエアバスA320の戦いが繰り広げられています。
残念ながらボーイング737Maxは、システム上の不具合で今は飛んでおりません。
そんな事もあり、日本のLCCや世界でベストセラーになっているエアバスA320に、さらなるニーズが集まってっています。
エアバスA320の歴史は古く、1987年に誕生しました。
それから、進化と改修を続け、最新のエアバスA320neoは1,000機以上も売れています。
Business Insiderの記事によると、エアバスA320ファミリー全て合わせると、世界中で15,000機弱も売れているそうです。
そんな人気がある、エアバスA320の重量について見ていきましょう。
エアバスA320の重量
空港で見るととても小さく感じるエアバスA320ですが、実際にどのぐらいの重さがあるのか想像がつきますか?
ちなみに、エアバスA320の大きさは、
- 全長:37.57m
- 全幅:34.1m〜35.80m
- 全高:11.755m
となっています。
全てエコノミークラスにすると、180名の乗客を乗せる事ができます。
ちなみに、街中でひときは巨大に見える大型トラックの大きさと比べて見ましょう。
「トラック王国ジャーナル」によると、街中で走っている大型トラックの条件は、
- 全長:12m以内
- 全幅:2.5m以内
- 全高:3.8m以内
- 車両総重量:11トン以上
だそうです。
いくら空港では小さく見えるエアバスA320ですが、全長で比べると大型トラックの約3倍もあります。
なので、33トンぐらいなのでしょうか?
それでは、答えを発表します。
正解は……

となっています。
上の表は、次世代の飛行機エアバスA320neoの「ランプ重量」「最大離陸重量」「最大着陸重量」「無燃料重量」の値です。
意外だったのではないのでしょうか。
運用方法によって、重さが8つの種類があるのです。
航空会社は、自分達の運航に最適な重量を選択して使います。
一番重たいのは、出発前のランプにいる時の重さなので、エアバスA320neoの最大の重さは「79.4トン」にもなるのです。
大型トラック7〜8台分というところでしょうか。
最大離陸重量と着陸料金の関係性
飛行機の最大離陸重量によって、着陸料が違います。
着陸量の算出方法は、「航空機の騒音区分×最大離陸重量」の式になっているため、最大離陸重量が小さい方が着陸料は安くなる計算になります。
よって、より重たい飛行機であればあるほど、着陸料は高くなります。
成田空港を管理しているNAAのウェブサイトによると、
国際便を飛行しているエアバスA320(最大離陸重量:74トン)の着陸量は、「122,100円」となっています。
一方、世界最大の旅客機であるエアバスA380(最大離陸重量:569トン)の着陸量は、「881,950円」となっており、1回着陸するだけで90万円近くも着陸量として支払うことになるのです。
ちなみに、ボーイング737の場合、最大離陸重量がエアバスA320と比べて、5トン程重たくなっている(最大離陸重量:79トン)ので、着陸量は「138,250円」となっており、エアバスA320より「14,150円」高くなっています。
飛行機を国際線運航するときは、国内線と比べて食事を積み込んだり、トイレ用の水などをより多く搭載しなければいけません。
その際、最大離陸重量は重たい値のものを使います。
逆に、国内線では、水や搭載物が軽くできるので、軽い値の最大離陸重量を使うことにより、着陸料を安く抑える事ができます。
このように、最大離陸重量を変更する事はよくある事です。
変更する際には、コックピットの中に「MTOWプラカード」というものがネジで止められているので、それを入れ替え今どの重さでオペレーションしているのかわかりやすくしています。
ちなみに、このプラカードの付け替えの際、左右のネジ2本で止まっていますが、うっかりネジを1本でもなくしてしまっては、見つかるまでその飛行機は飛べなくなるので慎重に作業をしなければなりません。
最大離陸重量による他の影響は?
その他に、最大離陸重量が影響するものは、「後方乱気流区分」です。
後方乱気流区分は、「Light」「Medium」「Heavy」と3つに分けられています。
それぞれの重さは:
区分 |
最大離陸重量 |
Heavy |
136,000kg (300,000lb) 以上 |
Medium |
7,000kg(15,500lbs)を超え136,000kg (300,000lbs)未満 |
Light |
7,000kg (15,500lbs) 以下 |
となっております。
エアバスA320の最大離陸重量は、先ほどの図の通り70トン〜79トンとなっているので、どちらに転んでも結局Medium機に分類されますね。
まとめ
今回は、エアバスA320の重量について見てきました
「ランプ重量」「最大離陸重量」「最大着陸重量」「無燃料重量」の4つがあるだけでなく、最大8つから選ぶ事ができます。
航空会社によって、どれを使用するかが違ってくるので、一概にエアバスA320の重さは言い表せないでしょう。
エアバスA380の着陸量と比べてしまうと、エアバスA320の着陸量は安く感じてしまうものですね。
【参考文献】
- Aircraft Characteristics Airport and Maintenance Planning 2-1-1 (59p.g.)|Airbus
- The amazing story of how the Airbus A320 became the Boeing 737’s greatest rival|Business Insider
- トラックの種類・サイズ・形状・寸法、小型・中型・大型の違い|トラック王国ジャーナル
- 料金(着陸料・停留料・BHS使用料・PBB使用料)|NAA
- 「エアバスA320」(2020年1月8日 (水) 05:28)『ウィキペディア日本語版』
- AIM-J 304 【フライトプランの作成】
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