
そもそも前線とは?
天気予報を見ていると、前線の話になったりします。
日本語では前線ですが、英語では「Front:フロント」と呼びます。
この前線は全部で4種類あります。
それぞれの特徴が違うので、区分されています。
そもそも「前線」とはなんなのでしょうか?
前線とは、違う性質の気団と気団がぶつかり合って、それが地面に接したところです。
気団とは簡単に言うと、空気の塊です。
もし地面に接していなくても、気団と気団がぶつかっているのであれば、空気の性質が違う所が面で分かれます。
なので、この場合は「前線面」と呼びます。
気団と気団がぶつかるところなので、前線付近を飛行しているととても揺れます。
冷たい空気が温かい空気の下に勢いよく潜り込むことで、比較的暖かく湿った空気が一気に上空に持ち上げられます。
高度が上がれば、気圧は低くなり空気は膨張します。
膨張すれば、気温が下がります。
そうすれば、水蒸気が空気中に留まっていられずに、水滴として目に見える形になります。
これが、雲の誕生です。
ある一定以上水滴が集まると、重たくなり雨として振り始めます。
雨として振り始めれば、水滴と一緒に周りの空気も下に持って行かれてしまいます。
これにより、降水エリアでは下降気流が発生します。
気団により持ち上げられる空気と、下降気流が入り乱れてこの中を飛ぶと揺れないはずがありません。
また、違う気団同士がぶつかっているので、前線では水平方向でも風向きは変化しますし、気温差も気団間であります。
なので、パイロットは出来るだけ前線のある所を避けたいのです。
もし前線を通過しなければならないのであれば、なるべく前線に対して垂直に突っ切ることで、比較的短時間で揺れるエリアを抜け出す工夫をします。
温暖前線(Warm Front)

英語で「Warm Front」といいます。
比較的温暖な気団が移動しているため、前方に寒冷前線があると、その上を斜めに登っていきます。
温暖前線通過後は気温が高くなることが多いです。
【特徴】
- 範囲:比較的幅が広い
- 降水:弱く長く降る
- 移動速度:遅い
寒冷前線(Cold Front)

英語で「Cold Front」といいます。
比較的冷たく重たい空気が移動しているので、前方に温暖な気団があると、その気団を上に跳ね飛ばして進んでいきます。
前線の前方側は比較的水蒸気が多く、後方は少ない傾向があります。
夏の風物詩でもある、積乱雲のように高くそびえ立った雲ができます。
前線通過後は、カラッと晴れて比較的気温が下がります。
【特徴】
- 範囲:比較的狭い
- 降水:激しく短時間に降る
- 移動速度:比較的速い
停滞前線(Stationary Front)

英語で「Stationary Front」といいます。
停滞前線は、「温暖前線」と「寒冷前線」の力が拮抗している状態です。
その場に長く留まるので、停滞前線のエリアは降水量が多くなる傾向があります。
梅雨や秋雨などもこの影響で、雨が長い期間降ります。
梅雨のように最大1ヶ月程度止まることもあります。
ちなみに、梅雨の時期にできる停滞前線を「梅雨前線」と呼び、夏から秋に変わる頃にできる停滞前線を「秋雨前線」と呼びます。
風向きが前線同士を押し合うように吹いているので、前線通過前は「背風」だったのが、通過後は「正面風」に変わります。
【特徴】
- 範囲:ケースバイケース
- 移動速度:その場に停滞
- 降水:比較的少ないが、一部に留まるためそこだけ多い
閉塞前線(Occluded Front)

英語で「Occluded Front」といいます。
先をゆく温暖前線に、比較的移動速度の速い寒冷前線が追いついた形が閉塞前線です。
「冷たい気団」と「温かい気団」が混じり合ったら、閉塞前線はすぐに消えてしまい、その後は比較的晴れるでしょう。
更に気団の温度により比較的温かいものを「 Warm Occlusion」と、比較的冷たいものを「Cold Occlusion」と分類がされます。
【特徴】
- 範囲:ケースバイケース
- 移動速度:比較的速い
- 降水:「温暖前線」「寒冷前線」どちらの影響が強いかにより変わる
