【飛行機の燃料】飛行機に搭載される燃料の区分をご存知ですか?
飛行機は燃料がないと飛びません。
また、航空法第73条の二では:
機長は、国土交通省令で定めるところにより、航空機が航行に支障がないことその他運航に必要な準備が整つていることを確認した後でなければ、航空機を出発させてはならない。
航空法第73条の二(出発前の確認)
具体的には、施工規則に記載があります。
法第七十三条の二の規定により機長が確認しなければならない事項は、次に掲げるものとする。
航空法施工規則第百六十四条の十五(出発前の確認)
一 当該航空機及びこれに装備すべきものの整備状況
二 離陸重量、着陸重量、重心位置及び重量分布
三 法第九十九条の規定により国土交通大臣が提供する情報(以下「航空情報」という。)
四 当該航行に必要な気象情報
五 燃料及び滑油の搭載量及びその品質
六 積載物の安全性
そのフライトに必要な燃料を計算して、しっかりと必要な量が搭載されていることを確認する必要があります。
必要な燃料はどのように確認すればいいのでしょうか?
小型機のパイロットやパイロット訓練生は、自分でその日のフライトに必要な燃料を計算します。
しかし、エアラインではディスパッチャーが予め飛行ルートと飛行高度を算出し、そのルートと飛行高度で消費する燃料を割り出し、フライトプランに記載しておいてくれます。
パイロットはショーアップしたら、フライトプランを確認するときにその日のフライトで必要な燃料を二人で話し合い、必要だと思うなら追加で燃料を足してもらう流れになっています。(フライトプランより燃料を少なくすることは滅多にありません)
フライトプランに記載されている必要搭載燃料は、大きく分けて9つに区分されています。
それぞれが、どういった目的の燃料なのか見ていきましょう。
燃料搭載区分
1. Flight Fuel
- 離陸開始〜目的地に到着するまでの燃料
2. Alternate Fuel
- 目的地で進入復行をして、代替空港に向かい着陸するまでに必要な燃料
- 代替空港が2箇所以上の時は、最も遠い空港に着陸するまでの燃料
3. Fixed Reserve Fuel
- 代替空港上空1,500ftで30分上空待機できる分の燃料
4. Variable Reserve Fuel
- 何か不測な事態に備えた燃料で次のどちらか多い方
- 目的地に着陸するまでに必要な燃料の5%相当量
- 目的地上空1,500ftで、5分上空待機できる分の燃料
- 代替空港を選定できない時:上記の多い方+巡航高度で2時間で消費する燃料量
5. ETP Build Up Fuel
- 出発空港〜ETP (Equal Time Point)
- ETPで不測の事態(1発動機不作動もしくは与圧機能が使えなくなる事態)が発生し、最寄りの着陸できる空港もしくは、目的地まで飛行するのに必要な燃料で最も多い量
- 当該空港上空1,500ftの高さで15分間上空待機できる燃料
- 上記の①〜③を合計した燃料量が、上記の1〜4の燃料の合計より多い場合、不足分を搭載する
6. Weather / Traffic Fuel
- 天候や交通流を考量して搭載する燃料
7. Taxi Fuel
- ゲートから離陸までに使用する燃料
8. Tankering Fuel
- 目的地の燃料価格が高いなどの理由で余分に搭載する燃料
9. Extra Fuel
- 1〜8の項目以外で、操縦士が必要だと判断したら搭載する燃料
まとめ
ひとえに搭載燃料といっても、このようにいくつかに区分分けされています。
離陸前に順番待ちが長くなりそうな時などは、TAXI FUELを余計に搭載していくなど、天気や状況を見て、どのフェーズの燃料が余分にかかりそうか判断して、搭載燃料を決めていきます。
そして、それが実際に搭載されているのかコックピットで確認できないと出発させてはいけないと決められているのです。