【METAR、METAR AUTO、SPECI、SCAN、TAF】各気象通報式の見方とその意味

METAR(定時飛行場実況気象通報式)

METARは「メター」や「ミーター」と呼ばれており、日本語で「定時飛行場実況気象通報式」、英語で「Aviation Routine Weather Report 」です。

METARを初めて見る方には暗号のように見えるかもしれませんが、パイロットにとっての商売道具の一つといってもいいでしょう。

「METAR RJTT 232300Z 14002KT 9999 FEW030 BKN/// 17/16 Q1004 NOSIG RMK
1CU030 A2966=」

これは、2023年3月24日午前8:00に発表された羽田空港のMETARです。このような天気に関する通報が、空港により30分か1時間毎に発表されて、現在のその空港付近の天候を人々に伝えてくれています。

METARの構成

出典:気象庁

上記METARサンプルのように、METARはいくつかのパーツに分けられております。このパーツの記載されている順番は、毎回ほぼ同じです(該当する天候がない場合は省略されることもある)。その構成と内容についてみていきましょう。

METAR-SPECI

①通報の種類

通報の種類が「METAR」と「SPECI」の2種類あるので、そのどちらであるのかを表示しています。名前の通り、「定時に発表」されたものか「特別に発表」されたものかの違いです。定時に発表だと、上記の通り空港により30分か1時間毎に発表ですが、その間に何か大きな天候の変化が起きた際に、「SPECI」が発表されます。また、訂正報が発表されることもあり、その際には「correction(訂正)」の頭文字をとり「COR」と、通報の種類の欄に記載されます。

  • METAR:定時飛行場実況気象通報式
  • SPECI:特別飛行場実況気象通報式
  • COR:訂正報

②地点略語

ICAOが定めた国際基準の空港コード(4レターコード)が表記されます。地点略語を知らなければ、どこの空港の気象通報式かわからないので、離着陸空港、代替空港、エンルート中の最寄り空港などの空港コードを覚えたり、メモを取っておくとよいでしょう。上記のサンプルは、「RJTT」なので「東京国際空港(羽田空港)」と判別できます。ちなみに、3レーターコードもあり、こちらはIATA(国際航空運送協会)により定められているもので、こちらも世界標準ですがMETARには使用されておりません(RJTT=HND)。
ICAO空港コード一覧

③観測日時

「日日時時分分」+「Z(世界標準時/Zulu Time)」を付加して表示しています。上記サンプルの「232300Z」は、「世界標準時の23日/23時/00分」なので、日本時間に直すには「+9時間」してあげればいいので日付が変わり「24日/08時/00分」の観測日時のものだとわかります。この観測日時と現在の時刻を見比べて、「1時間以内(30分)のものなのか」「SPECIが発表されていないか」を確認して、最新の観測日時の気象情報を使用するように心がけましょう。

④識別語(AUTO)

METAR AUTOが観測し通報している場合、観測日時の後に「AUTO」という文字が記載されます。名前の通り、自動的に観測・通報してくれるので、その間に人間の介入は一切ありません。観測装置なので、人間のように臨機応変に対応をすることはできないため、決められた場所で決められた要素が観測されない場合は「/(斜線)」で、観測できない旨を表示してくれます。これがMETARとの相違点で、その斜線の本数で、何が観測できなかったのかを示してくれます。

  • //:現在天気
  • ///:視程
  • //// or /////:雲

⑤風向・風速

風向風速計が設置された空港の接地帯付近の「高さ約10±1mの風(水平成分)」「観測時刻前10分間の平均風向」「真方位で3桁(10度単位)」「平均風速は2桁でノット(kt)表記」で表されます。(ロシア・中国はktは使わずm/s表記)その他の表記の際の細かいルールを以下にまとめておきます。
※「METAR・METAR AUTO・SPECI・SCAN」の風は真方位です。「タワー(ATC)・ATIS・レディオ・リモート」で通報される風は磁方位で表されるので注意が必要です。

  • P99:風速100kt以上の時
  • 00000kt:風速0.4kt以下の時
  • VRB+風速:「平均風速が3kt未満で、風向変動幅が60°以上の場合」「平均風速が3kt以上で、風向変動幅が180°以上の場合」「1つの風向を特定できない場合」(VRB03KT)
  • 風向V風向:平均風速3kt以上で、風向変動幅が60°以上180°未満の場合(例. 10005KT 060V140|風向100°から5ktの風であるが、060°~140°の間で変動している)
  • G(Gust):平均風速を10kt以上上回る最大瞬間風速が観測された場合
  • /////kt:風を測定できなかった時

⑥視程

卓越視程:「有人観測=目視」と「自動観測=RVR観測装置/視程計」の2種類があります。卓越視程は4桁の数字(100m以上10km未満)で表され、単位はメートルが用いられています。(世界標準:メートル、米国:SM、米国NAVY:NM)。METAR/SPECIでは、人による目視で卓越視程が判断されますが、METAR AUTOでは、RVR又は視程計が使用されるため、若干の相違がみられることがあります。

  • 視程:見通しの範囲がどれくらい広いか、つまり先がどの程度見えるか
  • 卓越視程:180°以上の範囲に共通した視程
  • 方向視程:特定の方向だけの視程
  • 9999:視程10km以上の場合
  • 0000:100m未満の場合
  • 観測ステップ
    • 5,000m未満:100m間隔
    • 5,000m以上:1,000m間隔
  • ////:視程を観測できなかった場合

⑦滑走路視距離(RVR:Runway Visual Range)

滑走路の中心線上にいる航空機の操縦士の目線(高さ2.5m)において、滑走路面の標識や灯火を識別できる距離をいい、10分間の平均RVR値を「m」単位で表します。ILS設置空港では、滑走路中心線から120m以内かつ滑走路の末端から中央に向かって約300mの場所に、滑走路視距離観測装置が設置されています(滑走路両端と中心の合計3か所など)。

通報条件:

  • 卓越視程又は方向視程が1,500m以下の場合
  • RVR(全地点)の値のいずれかが1,800m以下の場合

観測単位:

  • ~5,000m:100m単位
  • ~10km:1km単位
  • それ以上:5km単位

その他記号:

  • U:Upward(10分間平均の前半5分と後半5分を比べ、100m以上RVR値が上昇した場合)(例:R34/1400P – RWY34においてRVR値1400m、上昇傾向)
  • D:Downward(10分間平均の前半5分と後半5分を比べ、100m以上RVR値が下降した場合)(例:R34/1400D – RWY34においてRVR値1400m、下降傾向)
  • N:No Change(10分間平均の前半5分と後半5分を比べ、100m未満の変化の場合。変化傾向が不明の際は、Nは表示されない)(例:R34/1400N – RWY34においてRVR値1400m)
  • P:測定範囲上限値を超えている場合(例:R34/P1800 – RWY34においてRVR値1,800mを超えている)
  • M:測定範囲下限値を下回っている場合(例:R34/M0200 – RWY34においてRVR値200m未満)
  • /////:滑走路灯や滑走路中心線灯が消灯し、RVR値が観測できなかった場合(例:R34///// – RWY34において、RVR値不明)

⑧現在天気

現在天気は,飛行場又はその周辺(標点から半径約16km)の運航上重要な天気現象について、必要に応じて「強度」「特性」を付して略語を用いて表されます。また,天気現象は、運航上重要と考えられる現象を優先して、最大3群まで用いて表すことができます。なお、天気現象が天気略語表のいずれにも該当しない場合には、省略されます。

飛行場とその周辺(標点から半径約16km)の安全運航上必要な天気現象について「有人観測」と「自動観測:METAR AUTO」が行われ、定時に通報されています。

以下「天気略語表」に沿って、通報されます。

出典:気象庁

現在天気の注意点:

  1. METAR AUTOの場合、「RA」「SN」のいずれかで表示され、これらに該当しない場合は、この項目は省略されます。
  2. //:測定が出来なかった場合に使用
  3. 「FU」「SA」「HZ」「BLSA」「BLDU」 は、視程 5000m 以下の場合用いられる
  4. 「BR」 は、視程 1000m 以上 5000m 以下の場合に用いられる
  5. 「FG」 は、「MI」「BC」「PR」「VC」 の場合を除き、視程 1000m 未満の場合に用いられる
  6. 降水現象が2種類以上ある場合は、卓越する現象順に同一群にまとめることができるが、同一群にまとめる種類は最大3つまでとされている
  7. 降水現象とそれ以外の現象を同時に観測した場合は,別々の天気現象として表す。(例:-DZ FG)
  8. 現象の強度は、観測時のものであり、降水(SH,TS を特性とする降水を含む)「BLDU」「BLSA」「 BLSN」「DS」「SS」 の各現象に対して用いられる
  9. 「PO」「BLDU」「BLSA」「BLSN」 については、強度は付けられない
  10. 特性は,1つの群に1つだけ用いられる
  11. 特性の「 MI」「BC」「PR」 は、「FG」 とのみ組み合わせて用いられる
  12. 「DR」 は「DU」「SA」「SN」 が風によって2m 未満の高さに吹き上げられている場合に用いられる
  13. 「BL」は、「DU」「SA」「SN」 が風によって2m 以上の高さに吹き上げられている場合に用いられる
  14. 「DR」 及び「BL」 は、「DU」「SA」「SN」 と組み合わせて用いられる
  15. 「BLSN」 と同時に 「SN」 を観測した場合は、両方の現象を別の群として用いられる(例:SN BLSN)ただし,SN を判別できない場合は,BLSN のみとされる
  16. 「SH」 は、観測時にしゅう雨性降水があったとき、「RA」「SN」「GS」「GR」 の内、1つ又は2つ以上と組み合わせて用いられる(例:SHSN)
  17. 「TS」 は、飛行場に雷電があり、かつ降水がある場合に「RA」「SN」「GS」「GR」 の内、1つ又は2つ以上と組み合わせて用いられる。(例:TSSNGS)降水現象を伴わないときは、「TS」 のみとされる
  18. 「FZ」 は、「FG」「DZ」「RA」 と組み合わせて用いられる(例:FZRA)
  19. 「VC」 は、飛行場にはないが飛行場周辺(飛行場の標点から概ね8km 及び 16km の間の区域)に「FG」「VA」「FC」「SH」「PO」「DS」「SS」「BLDU」「BLSA」「BLSN」 が観測された場合に組み合わせて用いられる。なお、ろうと雲(竜巻)については、飛行場周辺以遠の場合も VCFC とされる。飛行場周辺の降水の場合は、その降水の種類(雨か雪)やしゅう雨性か否かに関係なく VCSHとされる。
  20. 「SA」「DU」 に係わる現象については「風じん」、「DS」「SS」 に関わる現象については、「砂じん嵐」とされる
  21. 「ちり煙霧」、「黄砂」及び「降灰」がある場合は、それぞれ「煙霧(HZ)」、「砂(SA)」及び「火山灰(VA)」として扱われる
  22. 「陸上の竜巻」及び「水上の竜巻」については、FC に強度符号を付加し+FC として通報される

⑨雲

「雲」の項目は、雲量及び雲底の高さを表します。

1500m(5000ft)又は最低扇形別高度の最大値のいずれか高い値未満に雲がなく、重要な対流雲
がなく、鉛直視程も良好で、かつ略号 CAVOK が適当でない場合は、略号 NSC(Nil Significant
Cloud)が表記されます。

雲量表

上表のように、空を8分割して、どの程度の雲量があるのかを示しています。

  • FEW(few:少しの):雲量1~2オクタス
  • SCT(scattered:散在している):3~4オクタス
  • BKN(broken:隙間あり):雲量5~7オクタス
  • OVC(overcast:全天を覆う):雲量8オクタス

個々の雲層(雲塊)の量を決定する場合は、その雲層以外には雲は存在しないものとみなして推定されています。雲の群はいくつもの雲層又は雲塊が存在する場合は繰り返して報じられ、この群は最大3群までとされています。ただし、重要な対流雲を観測した場合には必ず通報するものと決められ居るので、この場合は4郡報じることができます。

重要な対流雲:
 ①積乱雲(CB)
 ②塔状積雲(TCU)

雲の群は、高度の低い雲から高い雲の順に報じられます。
雲層又は雲塊の基準:

  1. 第1群:雲量に関係なく最も低い雲層(雲塊)を「FEW」「SCT」「BKN」「OVC」 のいずれかで報じられる
  2. 第 2 群:雲量が3オクタス以上の第1群より上の雲層(雲塊)は、「SCT」「BKN」「OVC」 のいずれかで報じられる
  3. 第3群:雲量が5オクタス以上の第2群よりさらに上の雲層(雲塊)は、「BKN」 又は「 OVC」 で報じられる

「雲」の項目の注意点:

  • ///:雲底高度が不明又は観測できない場合
  • 重要な対流雲以外は雲形は通報されない:重要な対流雲を観測した場合は、雲の群に続けてスペースを置かずに CB(積乱雲)又は TCU(塔状積雲)が付加さる。※雲層又は雲塊が共通の雲底を持つ 「CB」と「TCU」からなる場合、雲量は「CB」と「TCU」の合計雲量が報じられ、雲形は「CB」となる。

⑩CAVOK

以下の3つの条件が整ったときに、CAVOKが通報されます(自動観測の場合は除く = AUTOはNG)。

  1. 視程:卓越視程が 10 ㎞以上かつ最低視程が通報されない状態
  2. 雲:1500m(5000ft)又は最低扇形別高度の最大値のいずれか高い値未満に雲がなく、かつ重要な対流雲(積乱雲:CB、塔状積雲:TCU)がないこと
  3. 現在天気:天気略語表に該当する現象がないこと
最低扇形別高度:航行用無線施設を中心とした半径 25 海里の円内の部分に含まれる区域に所在する全ての障害物件から,平野部については 300m(1000ft),山岳部については600m(2000ft)の垂直間隔をもって設定した緊急時用の最低高度。(AIP JAPANより)

⑪気温・露点温度

  • 「気温/露点温度」を摂氏で表記(例:14/10|気温14℃/露点温度10℃)
  • M:0℃未満の温度は M(マイナス)で示される(例:03/M03|気温3℃/露点温度-3℃)
  • 気温及び露点温度が-9℃~+9℃の場合は、「0」が前置される(例:09/05)
  • +0.5℃は 01 と報じられる
  • //:気温又は露点温度が欠測の場合

⑫高度計規正値(QNH)

「本文」と「国内記事」で表記方法が違う点注意。国内飛行を行う際には、国内記事のMETARを使用することが多いでしょう。

  • 本文の場合:Q1006:Qの後にヘクトパスカル(hPa)単位で4桁で表記
  • QNH の値が 1000hPa 未満の場合は 0 が前置される。(例: QNH が 995.6hPa の場合、Q0995)
  • ////:QNH が欠測の場合(例:Q////)
  • 国内記事の場合:A2971:Aの後にインチ(inHg)単位で4桁で表記
  • P/RR:観測時刻前30分間に1hPa(約0.03inHg)を超えて増加した場合(Pressure Rising Rapidly)
  • P/FR:観測時刻前30分間に1hPa(約0.03inHg)を超えて減少した場合(Pressure Falling Rapidly)

⑬低層ウィンドシアー情報

ある滑走路の滑走路面と上空 500m(1600ft)の間の離陸路又は進入路に沿って運航上重要なウィ
ンドシアーがあるという情報が入手され、かつ局地状況がこれを裏づけるような場合は、観測時
刻の前 30 分以内に観測されたものについて、「WS滑走路番号」を最大5群まで繰り返して報じられます。(例:WS R16R WS R16L……)

低層ウィンドシアー情報:観測時刻前の30分以内に「滑走路面上1,600ft以下の進入域」か「離陸域」に低層ウィンドシアーが観測された場合に、WSに続いて滑走路番号で表示されます。

WS ALL RWY:その離陸路又は進入路に沿ったウィンドシアーが飛行場の全滑走路に影響する場合

⑭TREND(着陸用飛行場予報気象通報式)

出典:気象庁
TREND

着陸用飛行場予報(TREND)は、航空気象定時観測気象報(METAR)に付加して通報されます。

観測したいくつかの要素(風、卓越視程、現在天気、雲又は鉛直視程)に重要な変化の適用基準に一致するような変化が予想される場合、変化指示符「BECMG(※1)」又は「TEMPO」のいずれか1つが報じられます。また、いずれも重要な変化がなく、変化を報じる必要はないと予想する場合「NOSIG(no significant change)」と報じられます。

※1.変化指示符「BECMG」は、気象状態が規則的又は不規則に変化して、決められた基準未満になるか又は基準以上になると予想されたときに用いられます。

時刻群 GGgg の前にスペースを置かずに指示文字 TT=FM(~から)、TT=TL(~まで)、又
は TT=AT(~に)を前置し、予報の変化の始まり(FM)又は終わり(TL)の時刻、又は予報
すべき状態の発生予想時刻(AT)を示すのに用いられます。

気象状態が変化し、着陸用飛行場予報の決められた基準未満になるか又は基準以上になると予想さ
れる場合、その変化を次のように示されます:

  1. その変化が着陸用飛行場予報の期間内の途中で始まり途中で終わると予報する場合、変化指示符 「BECMG」 の次に指示文字「FM」及び「TL」とそれぞれの時刻群を続け、変化の始まりと終わりを示す(例:BECMG FM1030 TL1130)
  2. その変化が着陸用飛行場予報の期間の開始時に発生し、その期間の終了する前に終息すると予報する場合、変化指示符「BECMG」の次に指示文字「TL」とその時刻群を続け、変化の終わりを示す(指示文字 FM とその時刻群は省略する)。(例:BECMG TL1100)
  3. その変化が着陸用飛行場予報の期間内の途中で始まり、その期間の終了時に終息すると予報する場合、変化指示符「BECMG」の次に指示文字「FM」とその時刻群を続け、変化の始まりを示す(指示文字 TL とその時刻群は省略される)。(例:BECMG FM1100)
  4. その変化が着陸用飛行場予報の期間内のある特定の時刻に発生すると予報する場合、変化指示符「BECMG」の次に指示文字「AT」とその時刻群を続け、変化の時刻を示す。(例:BECMG AT1100)
  5. その変化が 00UTC(24UTC)に起こると予報する場合、その時刻を次のように示す:
    1. 「FM」及び「AT」に関するときは「0000」とする
    2. 「TL」に関するときは「2400」とする
  6. その変化が着陸用飛行場予報の期間の開始時に始まり、その期間の終了時に終息すると予報する場合、又はその変化が着陸用飛行場予報の期間内のある時刻に発生するが、その変化の時刻が(予報期間の開始後すぐか、中ほどか、又は終了時近くかが)不確かな場合、変化指示符「BECMG」のみを用いてその変化が示される(指示文字「FM」と「TL」又は「AT」及び時刻群は省略する)。
  7. 気象状態が一時的に変動して、決められた基準未満になるか又は基準以上になり、それぞれの一時的変動が1時間以上続かず、全体としては一時的変動が生じていると予想される期間が全予報期間の 1/2 未満である場合、変化指示符 TEMPO を用いて報じられる。
  8. 気象状態が一時的に変動して、決められた基準未満になるか又は基準以上になる場合、その期間を次により示される:
    1. 一時的な変動の期間が着陸用飛行場予報の期間内の途中で始まり、途中で終わると予報する場合、変化指示符「TEMPO」の次に指示文字「FM」及び「TL」とそれぞれの時刻群を続け、変化の始まりと終わりを示す。(例:TEMPO FM1030 TL1130)
    2. 一時的な変動の期間が着陸用飛行場予報の期間の開始時に発生し、その期間の終了時には終息していると予報する場合、変化指示符「TEMPO」の次に指示文字「TL」とその時刻群を続け、変化の終わりを示す(指示文字「FM」とその時刻群は省略する)。(例:TEMPO TL1130)
    3. 一時的な変動の期間が着陸用飛行場予報の期間内の途中で始まり、その期間の終了時に終息すると予報する場合、変化指示符「TEMPO」の次に指示文字「FM」とその時刻群を続け、変化の始まりが示す(指示文字「TL」とその時刻群は省略する)。(例:TEMPO FM1030)
  9. 気象状態の一時的な変動の期間が着陸用飛行場予報の期間の開始時に始まり終了時に終わると予報する場合、一時的な変動は TEMPO のみを用いて示す(指示文字 FM と TL 及び時刻群は省略る)。
  10. 変化群 TTTTT(TTGGgg)の次には重要な変化をすると予報する要素群だけを報ずる。ただし、雲が重要な変化をする場合は、変化が予想されない他の重要な雲層又は雲塊も含め、すべての雲の群を報じられる。
  11. 予報する各気象要素は、定時飛行場実況気象通報式に準じて報じられる。
  12. 重要な予報天気 w´w´は,以下の場合に限り,天気略語表にある適切な略語を用いて報じられる
    1. 以下の天気現象の発生,終息又は強度の変化
      • 「着氷性の降水」「並又は強い降水(しゅう雨性降水を含む)」「砂じん嵐(duststorm,sandstorm)」「雷電(降水を伴う)」「その他視程の重要な変化の原因になると予想される天気現象」
    2. 以下の天気現象の発生又は終息
      • 「着氷性の霧」「低い風じん(low drifting dust,low drifting sand),低い地ふぶき」「高い風じん(blowing dust,blowing sand),高い地ふぶき」「雷電(降水を伴わない)」「スコール」「ろうと雲(竜巻)」
  13. 重要な天気現象 w´w´が終息することを予報する場合は、w´w´に代えて略語 NSW(nil significant weather)が報じられる。
  14. 1500m(5000ft)又は最低扇形別高度の最大値のいずれか高い値未満に雲がなく、重要な対流雲が予想されず、かつ CAVOK を適用することが適当でない場合は、略語 NSC(nil significant cloud)が報じられる。

⑮国内記事

出典:気象庁
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指示符「 RMK」 は、国内記事の始まりを示します。

次の条件のとき雲の群れを報じます:

  1. 「METAR/SPECI」の本文の「NsNsNshshshs」で報じた中層雲・下層雲について雲量・雲底の高さ及び雲形を報ずる。
  2. NSC を報じた場合。(NSC の気象状態で中層雲,下層雲が存在する場合は,その雲量,雲底の高さ及び雲形を報ずる。)
  3. CAVOK を報じた場合。(CAVOK の気象状態で 3000m(10000ft)未満に雲量5オクタス以上の雲が存在する場合は,そのうち雲量5オクタス以上の最低の雲についてのみ雲量,雲底の高さ及び雲形を報ずる。)

雲量(Ns):上記⑨内「雲量表」参照

雲形(CC):下記「雲形表」参照

雲形表(出典:気象庁)

雲底の高さ(hshshs)

AP´HP´HP´HP´H:アルティメーター・セッティング[QNH (inHg)]

QNH の値に水銀柱のインチを使用する。この群は指示文字 A を前置し、続けて 10 位、1位、10分位及び 100 分位の値を小数点を付けずに報ずる。(例:QNH29.91 インチはA2991、QNH30.27 インチは A3027)QNH が水銀柱のインチで報じられるときは,指示文字 A のすぐ後の数字は2か3である。

QNH が欠測の場合には、「A////」が報じられる。

VDVDVDVDDv 群:方向視程

METAR/SPECI 本文の卓越視程が5000m以下で他の方向の視程が卓越視程の2倍以上又は 1/2 以下のとき,または卓越視程が 5000m を超え他の方向の視程が卓越視程の 1/2 以下かつ 5000m 以下であるとき,この視程の値を VDVDVDVDに報じ、スペースを置かずに続けて Dvを報ずる。その方向は8方位(N,NE 等1~2文字)で表す。

卓越視程が 5000m 以下で、卓越視程の2倍以上及び 1/2 以下の視程がともに観測された場合には、
方向視程として卓越視程の1/2 以下の値のみを報ずる。

方向視程が2方向にわたる場合には、その方向を時計回りの順に並べ、“-”でつないで示す(例:N-NE)。同じ値の方向視程が2つ以上の別々の方向で観測された場合には、航空機の運航上もっとも重要と考えられる方向を Dvに報ずる。

METAR AUTO(自動飛行場実況気象通報式)

出典:気象庁
METAR-AUTO

METAR AUTOは、空港等に設置された気象観測装置が、定時に自動的に天候を観測し、約10分毎に自動的に通報してくれるシステムです。

上記METAR 4. 識別語内で、「AUTO」と記載されていたら「METAR AUTO」であると判断でき、「METAR/SPECI」と区別できます。

現在多くの空港で運用されていますが、機械の為融通が利かない点や、若干有人観察との違いもあるので、VMCとIMCの判断をする際など、天気がきわどい時は「METAR AUTO」だけではなく、「METAR/SPECI」も組み合わせて参考にするとよいでしょう。

NIL:欠測報に対して適宜使用

天気現象は「雨(RA)」又は「雪(SN)」のいずれか1つの現象に限り通報され、これらの天気現象に該当しない場合には省略される。また、強度・周辺現象及び特性は付加されない。

SPECI(特別飛行場実況気象通報式)

出典:気象庁
METAR-SPECI

通報内容はMETARと同じですが、ある気象要素の悪化と他の要素の好転が同時に起こった場合はSPECI報として報じられます。(例):雲底の低下と視程の好転など)

SCAN(航空気象観測所実況気象通報式)

出典:気象庁
SCAN

一部の空港では、METARの簡略版として「SCAN(スキャン)」が発表されます。「METAR」や「SPECI」とは一部異なるところもあるので、解読する際には注意をする必要があります。

TAF(運航用飛行場予報気象通報式)

出典:気象庁
TAF

TAF は、運航用飛行場予報の通報に用いられます。

METARの関連動画

参考文献