【事故から学ぶ】機内が与圧された飛行機を見分ける方法!

【事故から学ぶ】機内が与圧された飛行機を見分ける方法!

1903年にアメリカのライト兄弟が初フライトを成功させ、それから100年以上が経ちました。

航空業界の進歩は著しいものがあり、当時と比べて飛行速度、高度、航続距離、安全性など全てが桁違いに発展しています。

そして、無人航空機や電気航空機などの開発も着々と進んでおります。

航空機はより高いところを飛行するようになりました。

これは、高高度の方が気圧が低く空気の抵抗が少なかったり、燃費が向上したりとメリットがあるからです。

しかし、人間は大気を海と例えるならば、山岳民族を除けば多くの人は大気の底に住んでいるので、まるで深海魚のようなものです。

深海魚も水圧がかかっていないと体に異常が発生してしまいますが、人間も大気圧がある程度ないと生活ができないです。

なので、高高度を飛行する航空機に乗るには、一人一人与圧スーツを着るか、機内全体を与圧してあげる必要があるのです。

コストや便利さから、現在多くの旅客機は後者のシステムを導入しています。

現在世界で人気のエアバス社のA320という機体は、機内の与圧システムを搭載しており、最大39,800ftまで上昇することができますが、機内の空気圧は約8,000ftと同じぐらいまで高めることができるようになっているのです。

飛行機は風船と同じようなものです。

地上では外の気圧が十分であるため機内の気圧を高めてあげる必要はありませんが、空の遥か上を飛行する時には機内の気圧を高めてあげないといけないので、風船がパンパンに膨らんだようになっています。

あまりにもパンパンに膨らんでしまった風船は、割れてしまいます。

A320が上空で破裂してしまっては悲惨ですので、ある一定異常の圧力が機体にかかったら空気を抜いてあげて、爆発を防いでくれる装置があります。

それは、「Safety valve」が担っているのです。

A320では、8.6PSI以上の気圧差が発生した際には、Safety Valveが自動的にオープンして、機体が空気圧で爆発したり破損しないようにしてくれているのです。

ちなみに、飛行機の取扱説明書には最大与圧9.0PSI以上は超えてはならないと記されています。

飛行機と言っても旅客機だけではありません。

遊覧飛行やトレーニングに使われている、セスナ172モデルなど小型機も活躍してくれています。

また、近距離の離島を結んでいるプロペラ機も活躍しています。

これらの小型機(プロペラ機)は比較的低い高度を飛行することが多いです。

あまり高いところを飛ばなければ、機内を与圧してあげなくてもいいのです。

なので、飛行機の設計の段階から、機内を与圧しない設計で作られている機体も多いのです。

では、機内が与圧できるかどうか、外観で判断する事はできますか?

正解は…

正解は、飛行機の窓やドアの形を見ればすぐにわかります。

まず、こちらの窓をみてください。

与圧される機体の窓

これは、高高度を飛行する旅客機の窓です。

窓の四隅をみてみると、丸みがかっているのがわかると思います。

では次に、こちらの飛行機の窓やドアの形はどうなっていますか?

与圧されない飛行機の窓とドア1
与圧されない飛行機の窓とドア2

こちらの飛行機の窓やドアは、先ほどのと比べて角があると思いませんか?

なので、まとめると:

  • 窓が丸い:与圧される=高高度飛行
  • 窓が四角い:与圧されない=低高度飛行

となります。

なんで与圧される機体は窓が丸いの?

飛行機の窓が丸くなったのは1950年代後半からで、これは過去の悲しい悲惨な事故から学んだ結果なのです。

現在では、飛行機製造メーカーといえば米国の「ボーイング」や、ヨーロッパの「エアバス」が有名ですが、1950年代にはイギリスのデ・ハビランド社の「コメットMk.I」という機体も量産されていました。

しかし、1953年〜1954年にかけて、このコメットMk.Iが立て続けに墜落してしまったのです。

事故当時は、原因がわからずに海に沈んでしまったりしたので、テロの標的になってしまったと考えられたり、未確認飛行物体に襲撃されたなど噂も広がっていました。

しかし、飛行機を回収してみると機体の一部に亀裂が入っているのが確認されました。

この亀裂は、金属疲労によって引き起こされたものであると断定されました。

製造会社によると、コメットは約54,000回気圧の変化に耐えられるとしておりましたが、事故とに実験をしてみると実際のところ3060回で金属疲労で機体に今回の事故原因と同様の亀裂が入ってしまったのでした。

この実験からわかった事は、家などでは四角い窓が当たり前となっていますが、与圧される飛行機の窓ガラスの形としては、四角い形はよくないとわかったのです。

こちらの写真は、コメットの窓ガラスです。

コメットに使われていた四角い窓:By Krelnik

現在の旅客機のものと比べて、四角く角があるのがわかると思います。

この角の部分には、与圧されると他の場所よりも数倍力がかかる事が実験からわかったのです。

このことにより、1950年後半以降に製造される航空機で、機内を与圧する機体に取り付ける窓は、力がより分散される楕円形が採用されるようになったのです。

ちなみに、窓の素材の強度も増してきたので、現在最新鋭のボーイングB787の窓は、それ以前のタイプのものと比べて30%程大きいものが採用されるようになってきたそうです。

 

【参考】