前回の「90° Power-Off Approach」に続いて、「180° Power-Off Approach」について見ていきましょう。
「90° Power-Off Approach」と比べて「180° Power-Off Approach」は、距離やエンジン故障の高度が高くなるので難易度が高くなっています。
180° Power-Off Approach

「180° Power-Off Approach」は名前の通り、着陸滑走路に対して180°方向でエンジン故障の想定がされています。
VFRトラフィックパターンを飛行する場合は、ダウンウィンドレグでエンジン出力を絞ります。
「90° Power-Off Approach」と比べて飛行距離が長いので、どのぐらいグライドして飛行できるかの判断がより難しくなるでしょう。
なので、より正確で詳細なプランを事前に準備しておく必要があります。
180° Power-Off Approachの要領
ダウンウィンドレグの飛行高度は、小型プロペラ機では1,000ftを超えないようにセットします。(旅客機では1,500ftを使用することが多い)
エンジン故障の高度が高くなればなるほど、どのぐらい滑空できるか操縦技術が左右します。
なので、より正確な判断と操縦技術の正確さが必要となります。
ダウンウィンドレグでスロットルを絞り、エンジン故障の模擬を行います。
一度エンジンを絞ったら基本的にはエンジンはアイドル状態から動かすことができないと想定して飛行しましょう。
訓練のための訓練をしているのではなく、実際にエンジン故障をした時の対処方法を模擬している事を忘れないようにしましょう。
飛行速度は、航空機製造会社が指定する「Best Glide Speed」にするか、もしそのような速度が指定されていない場合は1.4Vso(ストール速度の1.4倍)に合わせるといいでしょう。
飛行速度が速すぎても遅すぎてもドラッグが増えてしまい、滑空距離が短くなってしまいます。
ダウンウィンドからベースレグへの旋回は、ミディアムから少しきついバンク角で旋回します。
バンク角の調整は、「グライド角」と「ファイナルの風向風速」を見比べて行います。
ベースレグで高度の判断を行い、フラップを出すタイミングや飛行経路を決定します。
ベースレグへの旋回は、エンジンが使えるときと比べて近くで旋回するようにします。
少し近めにいることで、高度を高く維持することができます。
高い分にはスリップなどで高度処理ができますが、低くなりすぎてしまってはどうする事もできません。
自分がどの位置を飛行しているときに、どの程度の高度にいるか目安をいくつか持っていると、自分が今高いのか低いのか判断することができます。
飛行訓練中などまだなれていない人は地面の目標物を事前に見つけ、その上を通過するときはどのぐらいの高度なのか目安を計算しておくとよりうまくいくでしょう。
「90° Power-Off Approach」のキーポイントを通過するときの高度を知っておくと、「180° Power-Off Approach」を行うときでもそのキーポイントまで高度と飛行ルートを調整してしまえば、残りは「90° Power-Off Approach」と同じ要領で飛行するだけです。
なので、訓練初期ではコントロールやプランニングに差が出にくい「90° Power-Off Approach」がうまくいくように練習をしてから「180° Power-Off Approach」に移行するといいかもしれないでしょう。
まとめ
今回は、前回の「90° Power-Off Approach」に引き続き、「180° Power-Off Approach」について見てきました。
飛行ルートが長くなったり、エンジン故障する高度が高くなるのでより正確な操縦技術とプランニングが必要です。
事前に準備しておく事で、実際の操縦ではそれを確認するだけで済むのでより心も落ち着いて成功率を上げることができます。
【参考文献】