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【エアバス】安全に飛行機を飛ばすためのゴールデンルールについて!

ゴールデンルールと聞いてピンと来る人はいますか?
これは、エアバス社が安全運航を行う上で大切な4つをあげています。
それが、ゴールデンルール(Golden Rules for Pilots)という形で提供されているのです。
今回はそれぞれの内容を1つずつ見ていきましょう。
1. Fly, navigate and communicate: in this order and with appropriate tasksharing
- 飛行機を飛ばす(Fly)事が一番大切で、その後にナビゲーションやコミュニケーションが来ます。
- もし、アブノーマルな出来事が起きたらオートパイロットの力を借りたり、クルー同士間で役割分担をしたほうが良い結果が生まれます
- Fly:
- FlyはPFの最も大切な仕事です。どんなときも、ただFlyに集中して飛行機を操縦しましょう。そのほかのことは二の次です。
- 具体的には、ヘディング、サイドスリップ、スラストセッティング、対気速度、バンク角度、ピッチ角度などを適切な範囲に保つことです。
- PMはPFがしっかりFlyできているかモニターする事が仕事です。もし、ずれているのであれば指摘して戻すように促しましょう。
- どちらともに言えることは、自分の仕事に集中して、状況認識を怠らないことです。
PFとは、Pilot Flyingの略で、飛行機を飛ばす人のことを指します。飛行機をどのように操って、安全に着陸まで持っていくかを考えます。天気や他の機体の状況で思い通りに飛べないとき、どうするか考えます。
PMとは、Pilot Monitoringの略で、正しくPFが操縦しているかモニターしたり、ATCやチェックリストの読み上げなどのPFのサポート役です。必ずしも、機長がPFというわけではなく、1回のフライトで何回もこの役を入れ替えたりします。
- Navigate:
- 状況認識を確保するために、自分達が今「どこにいるのか」、「どこにいるべきなのか」、「どこに行くべきなのか」、「天気や高い建物や山はどこにあるのか」などを明確にしましょう。
- Communicate:
- コミュニケーションは、「PFとPM」、「クルーとATC」、「運航乗務員と客室乗務員」、「運航乗務員と地上職員」間の事をさします。
- 正しいコミュニケーションは状況認識力をあげてくれ、安全性を高めてくれます。
- 正しいコミュニケーションは、「決められたフレーズを使う」「適切な読み上げ」などで確立されます。
- 緊急事態発生時は、まずPFが飛行機を安全なコースや高度に戻し飛行機を安定させます。その後、キャビンクルーやATCに状況説明やこれからどうするかなどの意思疎通を図ります。
- まず何よりも大切なのはFlyであることを忘れないようにしましょう。飛行機が安定してからコミュニケーションを取っても遅すぎることはありません。
2. Use the appropriate level of automation at all times
- 旅客機には色々なレベルのオートパイロットがついており、それぞれの役割があります。
- 例えば、「フライトのコース維持」「高度維持」「昇降率を維持」してくれるものなどがあります。
- オートパイロットを使うことで得られるものは、クルーのワークロードを適切に保ってくれ、状況認識力を高めてくれます。
- クルーはいつでもどのレベルのオートパイロットを使用するか選んで決めましょう。なんとなくではなく、どういう理由で今それを使っているのかが大切です。
- オートパイロットを使わずにマニュアルフライトする際には、両パイロットの同意を得てから行いましょう。
- さらに、「PFはその地域に慣れているのか」「トラフィック状況」「天気」「疲労」「飛行機の状態(飛行機の不具合も含める)」などを考慮してから、マニュアルフライトに切り替えましょう。
- マニュアルでもオートパイロットでも、どのような影響が出るのか考えて行動しましょう。
3. Understand the FMA at all times

- エアバスにはFMA(Flight Mode Annunciator)と呼ばれる、今どういう状況で飛行機が飛んでいるのか教えてくれる機能がついています。
- 例えば「MAN FLX 60」「SRS」「CLB」「RWY」「NAV」「1FD2」「A/THR」などがディスプレイの上の方に表示されるので、この意味を理解していないと、飛行機が今どういう状態で、これからどう動こうとしているのかわからないです。
- パイロットはオートパイロットのそれぞれのモードが「今アクティブなのか」「これからアクティブになろうとしているのか」「オートパイロットは何を守ろうとしているのか」「飛行機の反応:軌跡、速度、高度」「オートパイロットの切り替わり」を、いつでも把握していないといけないです。
- FMAをモニターし、変化があったらその都度アナウンスし、今このFMAが出ていていいのか、そもそもFMAの意味を理解しているのか、など状況認識のために必要です。
4. Take action if things do not go as expected
- 1〜3を順番にやってきて、もし、予想していた通りに飛行できていないのであれば、なんらかの行動を取って対処しましょう。
- 例えば、「降下パスがずれている」「飛行ルートからそれている」「オートパイロットがパイロットの入力を読み取っていない」などです。
- このような時にPFは、オートパイロットの段階を変更します。例えば「Managed ModeからSelected Mode」「Selected Modeからマニュアルフライト」への変更など行動をとりましょう。
- PMは、「PFとコミュニケーションを図る」「PFが忘れていたり、間違っていないか挑戦して聞いてみる」「必要ならばPFを交代して自分が操縦する」ことが必要です。
まとめ
いかがだったでしょうか。オートパイロットをいれたらただ座っていればいいという考えだった人は、意外だったのではないでしょうか?
飛行機を安全に運航するには色々な知識が必要です。
A320は離陸後5秒か100ftを超えたら、すぐにでもオートパイロットを入れることができます。
まず、オートパイロットを入れる前にFMAを確認して、どういう状況で飛行機が今飛行しているのか確認しましょう。
そして、オートパイロットをいれたらどういうFMAに変わって、飛行機はどのように動き出すのか想像しておけば、1手も2手も先が読めるでしょう。
先を読めるということは、落ち着いて最善の手を選択できることにつながります。行き当たりばったりで、飛行機に振り回されずに済みます。
今回はエアバスを飛ばすパイロットは、このゴールデンルールを頭に入れ安全運航を心がけているというお話でした。