【ボーイング777】政府専用機の離陸に必要な推力ってどのぐらい?

出典:JASDF 航空自衛隊

【ボーイング777】政府専用機の離陸に必要な推力ってどのぐらい?

2019年4月1日から、新たに政府専用機として導入されたのが、ボーイング777-300ERという機体です。

商業用航空機として、世界で3番目に大きい機体のエンジンはとてもパワフルでなければいけないでしょう。

飛行機は、離陸時に一番大きな出力を必要とします。

その力はどのぐらいなのでしょうか?

今回は、政府専用機と、そのエンジン出力について見ていきましょう。

どうしてB-747からB-777に変わったの?

2019年4月1日より、政府専用機がボーイング747-400から、ボーイング777-300ERに乗り換えられました。

退役した政府専用機は、1992年から約27年間使用されました。

ボーイング747といえばジャンボジェットの名前で親しまれていました。

しかし時が経ち、国内大手のANAやJALもボーイング747型機を全て引退させており、日本で最後に残っていたのが政府専用機でした。

飛行機はメンテナンスが大切です。もちろん、政府専用機にとっても同じことです。

そのメンテナンスは、ANAやJALに委託され行われていました。

なので、ANAやJALが所有していない機体を整備するのは経済的ではありませんし、そろそろ乗り換え時期ではないでしょうか。

政府専用機は、首相だけでなく来賓や多くのスタッフも同行します。

なので、乗り換えるにあたって重要視されたのは、「安全性」と「座席数」でした。

B-747の次に大きいのがB-777で、商業用航空機として、世界で3番目に大きい機体となっています。

最大離陸重量は、351.5トンもあります。

世の中に生まれたての航空機は、「ボーイング787」のリチウムイオン電池からの煙や、「ボーイング737 Max」のシステムトラブルなどリスクがつきものです。

それに比べ、ボーイング777-300ERは、2004年4月29日にエアーフランスが初めて届けられ、15年の歴史と信頼があります。

エアバス機ではないのは、日米関係や日本の会社がボーイング社の機体製造に関わる比率が、ボーイング777が20%台であるのに対して、エアバスA350は一桁台ということもあるそうです。

【出典】

ボーイング777-300ERのスペックは?

出典:JASDF 航空自衛隊

主要スペック

分類

特別輸送機

全幅

64.8m

全長

73.9m

全高

18.5m

エンジン

搭載数

2基

名称

GE90-115BL

出力

52,160kg x 2基

性能

最大速度

マッハ約0.89

巡航速度

890km/h

航続距離

約14,000km
(7,370nm)

政府専用機は特別に改造されていますが、一般的に使用されているボーイング777-300ERでは、396人(2クラス性導入時)搭乗する事ができます。

【出典】

  • 主要装備 B-777
  • ボーイング777-300ER(77W)

離陸するにはどのぐらいの推力がいるの?

先ほども触れましたが、飛行機は離陸時に一番エネルギーを必要とします。

ボーイング777-300ERの最大離陸重量は約351.5トンです。

約350トンの鉄の塊を持ち上げるには、350トン以上の出力を発揮しなければ、機体は持ち上がらないように感じませんか?

しかし、B-777に実際に搭載されているエンジン出力は約52トン×2基で、104トンしか発揮する事ができません。

これはどういうことかか、見ていきましょう。

カラー図解でわかるジェットエンジンの科学“に計算方法が載っていたので、ご紹介します。

まず初めに、離陸に必要な出力を計算するのに必要データを整理しておきます。

  • 機体重量:約350トン
  • 機体が浮き上がるまでの所要時間:42秒27
  • 離陸距離:約2,600m

です。

次に今回使用する計算式がこちらです。

先ほどの必要なデータを当てはめていき、加速度がどのくらいなのか計算します。そうすると:

加速度は2.91である事がわかりました。

次にこちらの2つの公式を使用して、どのぐらいの出力が必要か計算します。

と導く事ができ、約350トンあるボーイング777-300ERに必要な、推力は104トンである事がわかりました。

この機体に取り付けられているエンジン:GE90-115Bは1基で約52トン推力出るので、両方で104トンと丁度です。

逆にいうと、エンジンのパワー次第で最大重量は決まるという事ですね。

豆知識

政府専用機が首相など要人を乗せて飛行するときのコールサインは、「ジャパン エアフォース ワン/ツー」なのに対して、訓練など要人を載せていない時は「シグナス ゼロワン/ゼロツー」と呼ばれています。

出典:飛行機の操縦 機長はコックピットで何を考えているのか

【参考文献】