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【飛行機の燃料の分類 】ケロシン?アブガス?

車はエンジンの違いで、「ガソリン」や「軽油」を使い分けています。

飛行機でも同じように、「ピストンエンジン用」と「タービンエンジン用 」とで使用する燃料を使い分けています。

それぞれのエンジンに、どのような燃料が用いられているのかご存知ですか?

今回は、飛行機に使用する燃料について見ていきたいと思います。

AVGASとケロシン

ピストンエンジンに使われる燃料は、「AVGAS(アブガス)|Avition Gasoline」とよばれる燃料が使われています。

タービンエンジンには、「ジェット燃料」が使われています。

それぞれの特徴を見ていきましょう。

ピストンエンジン用の燃料の分類

AVGASは、「AVGAS80」「AVGAS100」「AVGAS100LL」「AVGAS100VLL」と4つに分類することができます。

それぞれの数字はガソリンに含まれるオクタン価やアンチノッキング性を表しています。

エンジンは、シリンダー内で空気と燃料の混合物を圧縮します。

圧縮したところに火をつけると、より強くピストンを押し返そうとする力が得られます。

しかし圧縮すると、シリンダー内の温度が高くなり、デトネーションを引き起こしてしまう可能性が高くなります。

なので、より高温でも決められたタイミングで発火するように、燃料の安定性が求められます。

AVGASの数字が大きい方が、より高い圧力まで圧縮してもデトネーションを引き起こしにくいです。

小さい数字のAVGASはより低圧縮率のピストンエンジンに採用され、より数字が大きいAVGASは、より高温で発火する特性があるので、より高圧に圧縮するピストンエンジンに使われます。

違うグレードの燃料の使用

もし、通常使用している燃料のグレードが品切れになってしまっていたらどうしますか?

AVGASのグレード番号が、今より大きいものが利用可能ならその燃料で代用が可能です。

大きい数字のAVGASなら、代わりに使用しても問題ないのです。

例えば、通常AVGAS80を使用している機体に、AVGAS100やAVGAS100LLを給油しても問題は起こりにくいです。

なぜなら、低圧縮率のエンジンに、より高温まで発火しない燃料を入れてもデトネーションは引き起こりにくいからです。

逆に、通常AVGAS100を使用している機体に、AVGAS80を給油することはできません。

この場合は、シリンダーヘッドの温度やエンジンオイル の温度が規定値をオーバーしてしまい、デトネーションを引き起こしやすいからです。

どの燃料を使用するのかは、AFMやPOHを参考にしましょう。

さらに、飛行機用ピストエンジンに、車用のガソリンを入れることはできません。

両方のエンジンはほぼ同じような構造をしていますが、航空機用のエンジンには航空機用の燃料をしようしなければいけません。

車用のガソリンを使用する場合には、安全性を確認してSTCタイプ証明書(Supplemental Type Certificate)を取得しなければいけないと決まっています。

AVGAS100とAVGAS100LLの違いは?

AVGAS100とAVGAS100LLはほぼ同じ燃料です。

LLの意味は、「Low Lead」の頭文字をとったもので、燃料に含まれる鉛の含有量が少ない事を表しています。

鉛が燃料に含まれると、それが燃焼され空気中に放出されます。

それが、空気や環境汚染となってしまうので、より多くの機体が飛行する国や地域では被害が大きくなるので、なるべく燃料の鉛の含有量を少なくしたものを使った方がいいのです。

AVGAS100VLLってどんな燃料?

AVGAS100VLLは、あまり知られていない燃料ではないでしょうか。

AVGAS100でも100LLでもありません。

先ほど、燃料グレードは数字が大きい方なら代用が可能である事に触れました。

しかし、AVGAS100VLLは、数字が小さいグレードから大きいグレードまで、全てのグレードの燃料と置き換えることが可能です。

その性質は、ほぼAVGAS 100LLと同じで、青色の着色がされており、見た目でこの2つを識別することはできないでしょう。

さらに、AVGAS 100LLと比べAVGAS 100VLLの方が、燃料内の鉛の含有率が19%も低くなりました。

タービンエンジン用燃料の分類

民間旅客機に使われているタービンエンジン用燃料は、「Jet A」「Jet A-1」「Jet B」とが主流です。

Jet A-1は、「無鉛ケロシン」で作られており、Jet Bは、「ナフサ」と「ケロシン」の混合物となっています。

ジェット燃料は、灯油のような独特な匂いがあるのが特徴です。

AVGASとは違う性質のものなので、二つ違う種類の燃料を代用したり混ぜ合わせることはできません。

AVGASと比べて、ジェット燃料の方が引火点が高いのも特徴の一つです。

燃料と着色

燃料のグレードを間違えると、最悪デトネーションなどを引き起こし、上空で火災や爆発を引き起こしてしまいます。

なので、燃料に着色をして間違えにくくしています。

上図のように、色分けされており:

  • 赤色:AVGAS 80
  • 緑色:AVGAS 100
  • 青色:AVGAS 100LL, 100VLL
  • 無色透明or薄い麦わら色:Jet A

燃料に着色する以外にも、給油システムの色分けも決められています。

AVGASの給油システムには、「赤色」の背景に、「白字」でAVGASの名前が記載されています。

一方、ジェット燃料の給油システムには、「黒色」の背景に、「白字」で名前が書かれています。

まとめ

飛行機の燃料は、1種類ではないことがわかりました。

まず、「ピストンエンジン」と「タービンエンジン」とで分けられ、その先でさらに細かく分類されています。

デトネーションを引き起こしてしまうので、AVGASの数字が大きい方しか代用することができません。

特別な燃料として、AVGAS 100VLLは、どのタイプのエンジンにも代用することができる上、鉛の含有率が低くなりました。

今度空港に行った際に、燃料車に記載されている燃料のグレードを表しているプレートを探して、今回の知識の確認をしてみるといいかもしれないですね。

 

【参考文献】

>飛行機パイロットTV

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