【飛行機の着陸】フレアー時の高さ判断と目線の動きについて

アプローチ、フレアー、タッチダウンを行う際にキーとなるのが、視覚です。

ただ一点を見つめるのではなく、幅広く眺める技術が要求されます。

ファーストソロに出る前の人は、着陸の難しさを痛感しているのではないでしょうか。

離陸前からコックピットに乗っており、コックピットの高さは分かっているはずなのに、接地前のフレアーを行う際に機体の高さが分からなくなり、滑走路に突っ込みかけたり高すぎたり、着陸が思うようにうまくいかないのではないでしょうか。

今回は、フレアーやタッチダウン時のパイロットの視覚について見ていきましょう。

フレアーやタッチダウン時の目線

まず初めに、毎回同じようにものを見るために大切なことは、頭の位置を固定することです。

グレアシールドからの眺めが毎回同じでないと、同じようにフレアーやタッチダウンをすることは難しくなってしまいます。

必ずフライト前に椅子の高さの調整を行い、真っ直ぐ前を向いて毎回同じ位置に目の高さが来るようにしましょう。

旅客機では、毎回同じところに目の高さを合わせられるようにする装置がついています。

しかし、小型プロペラ機などはそのような装置がついていない事が多いので、自分何りに何か基準を持っておく必要があります。

例えば、ダッシュボードがツライチで見えるように椅子の高さを合わせたり、椅子の高さ調整がねじ式の場合、椅子を一番低くした時からハンドルを何回回した高さがちょうどいいのかなどを覚えておくといいでしょう。

体感だけで合わせていると、正確さに欠けてしまいます。

この目線を毎回同じ位置に合わせる事が、着陸を安定させるためにとても重要なのです。

目のフォーカスと速度の関係

フレアーを行う際は、滑走路からの高さの判断が必要です。

滑走路から高すぎるところでフレアーをしてしまうと、落着をしてしまいます。

逆に、高さ判断を低い方に誤ると、フレアーをする前にノーズギアから滑走路に突っ込んでしまい、機体を損傷してしまう事でしょう。

どのぐらいの高さか判断する力は、練習を積み重ねる必要があります。

ただ闇雲に練習しても、うまくなるのに時間がかかってしまいます。

パイロットは前だけを見て操縦をしているかと思うかもしれませんが、フレアーやタッチダウン時など地面に近い時はそうではありません。

真正面を見て機体の進行方向を確認し、周辺視野を使いサイドの窓から機体の高さ判断を行います。

車などで高速道路を走行中、近くのものがぼやけるような体験をした事はありませんか?

速度によって、近くを通り過ぎるものは目の動きがついていけず、ものをはっきりと認識する事ができないでしょう。

逆に遠くの山を見ていると、近づいているのかどうかわかりにくいと思います。

飛行機の操縦でも同じような事が起こっています。

フレアーの際に一番気になるのは、滑走路との距離でしょう。

先ほどのように、遠方だけを見てフレアーをかけていると、滑走路に対してどれぐらいの高さにいるのかわかりにくいです。

また、移動中の機体から真下など近くを見ている、とぼやけてしまいます。

パイロットは接地する時どこを見ているのか?

コックピットの窓から、滑走路エンドを見るなど遠くを眺めていると、ものがはっきり見えるメリットがあります。

しかし、遠くだけを見ていると視界の変化が小さいので、実際にいる高さの変化に気が付きにくくなります。

よって、フレアーを行うタイミングを見失い、滑走路に突っ込んでしまう失敗を犯しやすいです。

逆に、横の窓から地面だけを見ていたら、ぼやけていても地面が近づいてきたことぐらいならわかるでしょう。

しかし、横からだけの眺めだと自分が滑走路に対して真っ直ぐ進入しているのかわかりません。

なので遠くを見ることと、近くを見ること両方のメリットを利用する必要があるのです。

パイロットは真正面の遠くの方を見ることと、周辺視野を使って機体の下方向を見てフレアーしています。

適宜見る方向を切り替え、機体が滑走路のどのぐらいの高さにいるのか判断したり、滑走路に対して真っ直ぐにアプローチできているのか、遠くを見たり近くを見たり切り替えながら判断しています。

この着陸に必要な目線の使い分けができずに、悩む人が多いでしょう。

フレアーはただまっすぐ前を見ていてもダメだし、真下だけを見ていてもダメだということを理解してトレーニングを積み重ねると、フレアーのタイミングのコツを掴みやすくなります。

まとめ

このように、飛行機の着陸は近くを見ているだけでも、遠くを見ているだけでもダメな事がわかりました。

もし、今着陸で苦労しているのであれば:

  • 自分の目線の高さが毎回あっているのか(訓練初期は色々なことに精一杯で、ついつい椅子の高さを合わせ忘れがち)
  • フレアーのタイミングが遅かったら、遠くを見る時間が長すぎなかったか
  • フレアーが高すぎたら、周辺視野で機体横からの高さ判断ができているか

を確認するといいかもしれないですね。

初めの頃の接地作業は、絶望的に難しく感じるかもしれませんが、目線の使い方さえわかれば、感覚的フレアーのタイミングがわかるようになるので、今回のポイントをふまえ練習するのみです。

【参考文献】