【ICAO】どういう組織?何をしているの?目的は?

【ICAO】どういう組織?何をしているの?目的は?

ICAOって聞いたことありますか?

「世界的なつながりを持つ、航空系の何か〜」など、ボヤ〜っとしていませんか?

今回は、ICAOはどういう組織で、何を目的に作られ、何をしているのか見ていきたいと思います。

ICAOとは?

ICAOとは:

  • 英語:International Civil Aviation Organization
  • 日本語:国際民間航空機関

といい、国連の専門機関という位置づけです。

英語の頭文字をとって、「ICAO」と書かれますが、読み方は「イカオ」や「アイカオ」と呼ぶことが多いですし、英語圏では「アイケーオー」と呼びます。

1944年に採択されたシカゴ条約に基づき、”世界の民間航空システムの持続可能な成長を達成する”目的で、設置されました。

2019年10月現在で、世界193カ国が加盟しております。

日本は、「航空安全」「航空保安」「航空運送」「出入国円滑化」「ICAO財政・予算」「環境問題」等の専門家の会議に積極的に参加して活動に貢献しています。

会議に参加だけでなく、日本はアメリカに次ぐ第2位(8.07%)の通常予算分担率を受け入れ、財政的にもICAOの活動をサポートしております。

さらに、「航空安全」や「航空保安」の分野においても、任意拠出も行なっております。

どこにあるの?

ICAOの本部・事務所・支所は、世界中で合計8箇所にあります。
本部は、カナダのモントリオールにあります。

ICAO総会

3年に1度、ICAOの全加盟国が参加する、総会が行われます。

この総会はICAOの最高意思決定機関で、「ICAOの政策方針について審議・承認」などを行います。

そのほかにも総会では、「理事会メンバー国の選挙」「3か年通常予算の採択」など行われます。

日本は、約9年後の1953年からICAOに加盟し、1956年以降から今日まで「第1カテゴリー理事国」に立候補し、選出さられております。(任期:3年)

ICAOは何をしているの?

  • 「国際航空運送業務の条約の作成」
  • 「テロ対策の条例の作成」
  • 「環境保護問題の議論」
  • 「国際航空運送の安全に関する国際標準、勧告方式、ガイドラインの作成」

ICAOが作成した、国際標準や勧告方式は、シカゴ条約の附属書として全部で19項目にまとめられています。

  1. 技能証明
  2. 航空規則
  3. 気象
  4. 航空図
  5. 計測単位
  6. 運航安全
  7. 登録
  8. 耐空性
  9. 空港での出入国
  10. 通信装置
  11. 交通管制の運用
  12. 遭難救助
  13. 事故調査
  14. 飛行場設計
  15. 航空情報収集・伝達の方法
  16. 環境保護
  17. 航空保安
  18. 危険物輸送
  19. 安全管理

ICAOが作成する条約

1. 「航空機に対する権利の国際的承認に関する条約」:昭和23年6月19日ジュネーブで作成、昭和28年9月発効、我が国未締結。国際航空に供される航空機の移動の確保と航空機に対する権利との調整を諮ることを目的とし、航空機に対する権利及び航空機の救難と保存に関する債権の優先的取り扱い等について定めている。

ジュネーブ条約

2. 「外国航空機が地上の第三者に生ぜしめた損害に関する条約」:昭和27年10月7日ローマで作成、昭和33年2月発効、我が国未締結。国際飛行において航空機が地上の人及び財産に対して生ぜしめた損害に対する航空機の運航者、所有者の責任について定めている。

ローマ条約

3. 「千九百二十九年十月十二日にワルソーで署名された国際航空運送についてのある規則の統一に関する条約を改正するための議定書」:昭和30年9月28日ヘーグで作成、昭和38年8月発効、昭和42年8月我が国締結、同年11月我が国について発効。国際航空運送に使用される証券及び運送人の責任に関して統一的に規制することを目的として昭和4年10月に作成された「国際航空運送についてのある規則の統一に関する条約」(ワルソー条約)を国際航空の発達に即応するように改正を施したもの。)

ヘーグ議定書

4. 「契約運送人以外の者が行う航空運送についてのある規則の統一に関するワルソー条約を補足する条約」:昭和36年9月18日グァダラハラで作成、昭和39年5月発効、我が国未締結。ワルソー条約の適用を受ける国際航空運送の全部又は一部が契約運送人以外(実際運送人)によって行われた場合の契約運送人の責任分担及び両運送人の相互責任について定めたもの。

グァダラハラ条約

5. 「航空機内で行われた犯罪その他ある種の行為に関する条約」:昭和38年9月14日東京で作成、昭和44年12月発効、昭和45年5月我が国締結、同年8月我が国について発効。航空機内で行われた犯罪の裁判権及びこれらを取り締まるための機長の権限等について定めたもの。

東京条約

6. 「航空機の不法な奪取の防止に関する条約」:昭和45年12月16日ヘーグで作成、昭和46年10月発効、同年4月我が国締結、同年10月我が国について発効。航空機の不法奪取等を犯罪と認め、その犯人の処罰及び引き渡し等につき定めたもの。

ヘーグ条約

7. 「千九百五十五年九月二十八日にヘーグで作成された議定書により改正された千九百二十九年十月十二日にワルソーで署名された国際航空運送についてのある規則の統一に関する条約を改正する議定書」:昭和46年3月8日グァテマラ市で作成、未発効、我が国未締結。旅客及び手荷物に関する規定に改正を施したもの。

グァテマラ議定書

8. 「民間航空の安全に対する不法な行為の防止に関する条約」:昭和46年9月23日モントリオールで作成、昭和48年1月発効、昭和49年6月我が国締結、同年7月我が国について発効。民間航空の安全に対する一定の不法な行為を犯罪とし、その犯人の処罰及び引き渡し等につき定めたもの。

モントリオール条約

9. 「千九百二十九年十月十二日にワルソーで署名された国際航空運送についてのある規則の統一に関する条約を改正する第一追加議定書」:昭和50年9月25日モントリオールで作成、平成8年2月発効、我が国未締結。ワルソー条約の金フランをSDR表示に改めるもの。

モントリオール第一追加議定書

10. 「千九百五十五年九月二十八日にヘーグで作成された議定書により改正された千九百二十九年十月十二日にワルソーで署名された国際航空運送についてのある規則の統一に関する条約を改正する第二追加議定書」:昭和50年9月25日モントリオールで作成、平成8年2月発効、我が国未締結。ヘーグ議定書により改正されたワルソー条約の金フランをSDRに改めるもの。

モントリオール第二追加議定書

11. 「千九百七十一年三月八日にグァテマラ市で作成された議定書及び千九百五十五年九年二十八年にヘーグで作成された国際航空運送についてのある規則の統一に関する条約を改正する第三追加議定書」:昭和50年9月25日モントリオールで作成、未発効、我が国未締結。グァテマラ議定書により改正されたワルソー条約の金フランをSDR表示に改めるもの。

モントリオール第三追加議定書

12. 「千九百五十五年九月二十八日にヘーグで作成された千九百二十九年十月十二日にワルソーで署名された国際航空運送についてのある規則の統一に関する条約を改正する第四追加議定書」:昭和50年9月25日モントリオールで作成、平成10年6月発効、平成12年6月20日我が国締結。郵便物に関する規定の改正及び貨物の運送の簡素化のためヘーグ議定書により改正されたワルソー条約を更に改めるもの。

モントリオール条約第四追加議定書

13. 「外国航空機が地上の第三者に生せしめた損害に関する条約の改正議定書」:昭和53年9月23日モントリオールで作成、未発効、我が国未締結。責任限度額を新たに設定する等の改正をローマ条約に行ったもの。

モントリオール議定書

14. 「千九百七十一年九月二十三日にモントリオールで作成された民間航空の安全に対する不法な行為の防止に関する条約を補足する国際民間航空に使用される空港における不法な暴力行為の防止に関する議定書」:昭和63年2月24日にモントリオールで作成、平成元年8月発効、平成10年4月我が国締結、同年5月我が国について発効。国際空港の安全を損なう一定の暴力行為を条約上の犯罪とし、裁判権の設定義務等につき定めたもの。

空港不法暴力行為防止議定書

15. 「可塑性爆薬の探知のための識別措置に関する条約」:平成3年3月1日モントリオールで作成、平成10年6月21日発効、平成9年9月我が国締結。可塑性爆薬への探知剤の添加等の措置を義務づけたもの。

可塑性爆薬探知条約

16. 「国際航空運送についてのある規則の統一に関する条約」:平成11年5月28日モントリオールで作成、平成15年11月4日に発効、平成12年6月20日我が国締結。国際航空運送における契約当事者の権利義務関係、運送人の責任、損害賠償の範囲等についての規則を定め、従来の関連条約等の内容の近代化及び統合を図るもの。

モントリオール条約

17. 「不法妨害の場合の航空機による第三者損害の補償に関する条約」:平成21年5月2日モントリオールで作成,不法妨害行為の結果,飛行中の航空機によって第三者に対して生じた損害の補償について規定するもの。

18. 「航空機による第三者損害の補償に関する条約」:
平成21年5月2日モントリオールで作成,不法妨害行為以外の結果,飛行中の航空機によって第三者に生じた損害の補償について規定するもの。

19. 「国際民間航空についての不法な行為の防止に関する条約」:平成22年9月9日北京で作成,「民間航空の安全に対する不法な行為の防止に関する条約」(モントリオール条約)に条約上の犯罪を追加し,最近のテロ防止関連条約に共通に取り入れられている規定を導入する新条約。

北京条約

20. 「航空機の不法な奪取の防止に関する条約の追加議定書」:平成22年9月9日北京で作成,「航空機の不法な奪取の防止に関する条約」(ヘーグ条約)に条約上の犯罪を追加し,最近のテロ防止関連条約に共通に取り入れられている規定を導入する同条約の改正議定書。

北京議定書

と、合計20個あります。

そのうち、日本は:

  • 「3. ヘーグ議定書」
  • 「5. 東京条約」
  • 「6. ヘーグ条約」
  • 「8. モントリオール条約」
  • 「12. モントリオール追加第四議定書」
  • 「14. 空港不法暴力行為防止議定書」
  • 「15. 可塑性爆薬探知条約」
  • 「16. 国際航空運送についてのある規則の統一に関する条約」

など、合計で8条約を締結しています。(黒太線の条約)

まとめ

このように、ほぼ世界中の国が参加している組織が「ICAO」です。

日本も、会議や資金などで大きな援助を行なっております。

ちなみに、パスポートの記載事項などは、ICAOが発行するガイドラインに沿って作成され、世界で共通化されているのです。

最近導入された、ICチップが内蔵されたパスポート(バイオメトリック・パスポート)もICAOの規格で共通化されている為、世界中で導入している国であれば、入出国時などにICチップをどこの国でも読み取ることができるようになっています。

【参考文献】