
概要
- 日付:1997年8月6日
- 航空会社:大韓航空
- 使用機材:B747-300(機番:HL7468)
- 乗員:17名
- 機長:Park Yong-chulさん:42歳(総飛行時間:約9,000時間弱)
- 副操縦士:Song Kyung-hoさん:40歳(総飛行時間:約4,000時間強)
- 航空機関士:Nam Suk-hoonさん:57歳(総飛行時間:約13,000時間強)
- 乗客:237名
- 犠牲者:228名(生存者:26名)
- 出発地:金浦国際空港(韓国)
- 目的地:グアム国際空港(アメリカ)
大韓航空801便は、金浦国際空港を飛び立ち現地時刻1:42分に、グアム国際空港のRWY06Lのアプローチ中に事故は起こりました。
グアム国際空港のRWY 06 Lの「グライドスロープ」は、NOTAMなどで約1ヶ月ほども前から「使用停止」とパイロットに周知されておりました。
グアム国際空港のILS RWY06Lは階段状にアプローチしていくのが特徴で:
- RWYから4.9nmのところまで、2,000ftで一度レベルオフ(アウターマーカーの位置)
- アウターマーカー通過後:3.3nmまで、1,440ftを維持
- UNZ VORへ向かって飛行
- UNZ VOR通過後、降下開始し滑走路端から0.5nmのミドルマーカーまで560ftを維持。
- ミドルマーカー通過後最終降下を行い、着陸する。
このような複雑な流れにもかかわらず、大韓航空801便はブリーフィングでビジュアルアプローチしか確認しておらず、いきなり始めの2,000ftで一度レベルオフを忘れ、そのまま降下を続けてしまいました。
対地1,440ftを切っても1,000fpm以上の降下率で、下りていきました。
後で判明したことですが、この時コックピットではグライドスロープの情報が、地上のグアム国際空港以外のどこかから飛んできていました。
これにより、通常よりも大きな降下率で降下してしまう結果となりました。
現地の天候は、Wind 090/6, VISI 7nm, VCSHRA, 27℃/25℃, SCT 1,600ft, BKN 2,500ft, OVC 5,000ft, 29.95inHg, VCSH : NW-NE
当時の天気図と、ワイパーがONになっていた事から、現地の天候は大雨が降っており、大韓航空801便は、滑走路をアプローチ中に視認できていなかったものと考えられています。
対地「1,000ft」のコールと、「500ft」のコール、「Minimum」のオートコールアウトを行った時も、滑走路は視認されていませんでした。
最終的にGPWSが発動し、「Sink Rate」と警報装置が鳴り、副操縦士がMissed Approachを促し、機長はGo Aroundの操作を行い始めましたが、すでに手遅れ状態で、滑走路末端3nm(5.6km)手前にある丘(660ft MSL)に墜落してしまいました。
ランディングギアは、地上の燃料パイプに打ち付けられていました。

事故原因
NTSBによると、機長がクルーに適切なブリーフィングを行わず、非精密進入を行なった事、副操縦士と機関士が機長の操縦を適切に監視できなかった事だと結論が出されました。
施設や航空機に問題はなく、操縦士達によるCFITと分類されました。
又、通常空港に取り付けられている最低安全高度警報システムも今回運用が停止されていた不運も重なったと言えるでしょう。
まとめ
「精密進入」は一回グライドスロープとローカライザーコースに乗っかってしまえば、計器の指示通りに飛行するだけで済みます。
しかし、「非精密進入」は事前準備が安全運航の為に必要です。
行き当たりばったりで飛行して、毎回うまくいくものではありません。
事前の研究や直前のブリーフィングが、とても大切でしょう。
ちなみに、「Minimum」のCallの時に、すぐに操縦桿を引いてGo Aroundをすれば地面に激突はせずに済んだようです。
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