【航空大学校】日本唯一の国が設置したパイロット養成機関とは!?
航空大学校とは、日本唯一の国が設置したパイロット養成機関です。
約65年の歴史があり、合計約4,000名のパイロットを輩出してきました。この数は主要エアラインのパイロットの割合約40%を占めている巨大コミュニティです。
更に学費が安く、一般の4年生大学の航空学部の約1/4程度の学費で訓練が可能です。
航空大学校はエリートが行くところだし、倍率が高くて私では絶対に合格できないなど諦めムードではありませんか?
そんな学費が安くエアラインに先輩が多い航空大学校とはどういうところなのか、また実際の倍率はどの程度か見ていきましょう。
航空大学校とは?
航空大学校は1954年に運輸省によって、安定した航空輸送の確保を目的に設立されました。
質の高いパイロットを輩出することにより、国、行政、社会に還元する使命を持っています。
それにより、日本の航空業界の発展と安全運航の確立に寄与してきました。
戦後日本の民間航空活動が再開されたのち、外国人パイロットが主要だった日本の空に、日本人のパイロットを養成しなければならないという思いがあったそうです。
航空大学校の教育理念は:
◆ 航空人の育成
航空大学校は、パイロットを目指す若人に、空の厳しさを侮らない謙虚な姿勢とフライ トに対する周到な心構えを教え、そして空を飛ぶ夢と楽しさを共有することによって、航空界に働く多くの人々とともに、航空を愛し、航空の安全と発展を支える航空人を育成する。◆ パイロットとしての知識と技能の修得
航空大学校は、広く全国に人材を求め、我が国の国際・国内の航空輸送の第一線で活躍する職業人としてのパイロットを養成することを目標に、航空機の運航に必要な幅広い知識と高い操縦技能を教授する。◆ プロフェッショナル・スピリットの形成
航空大学校の教育理念
航空大学校は、パイロットが多くの人命を預かるという重大な職責をもつことに鑑み、学生に対し航空の安全確保に対する真摯な姿勢と自らの安全意識の確立を求め、さらには社会人・職業人として自立した意識と厳しい自己管理のもとに、機長としての統率力と危機管理能力の涵養を図る。
ただ空を飛ぶパイロットを育てるのではなく、プロとして必要な心構えから、将来の機長として統率力の形成まで幅広く教育しています。
倍率は?
よく、航空大学校の倍率は高くて難しいと聞きますが、本当にそうでしょうか?
上記が航空大学校が発表している、過去5年間の受験者等の推移の表です。
年によって倍率が変化しておりますが、5年間を平均して7.92倍になります。
マイナビの2019年卒版理系の【就職企業人気ランキング】は:
- ソニー
- 味の素
- 明治グループ(明治、Meiji Seika ファルマ)
だそうです。それぞれの倍率は:
- ソニー:50〜100倍
- 味の素:267倍
- 明治:2,750倍
に及ぶそうなのです。ならば、約8倍ならそんなに倍率が高いというわけではないのではないでしょうか?
平成29年までは、定員が72名だったのに対して、パイロット不足の影響もあり、平成30年には108名に増枠されました。
入学試験は?
入学試験は全部で3次試験まであります。それぞれ:
- 1次試験:総合Ⅰ(筆記)、英語(筆記、リスニング)、総合Ⅱ(筆記)
- 2次試験:身体検査A(心理適性検査を含む)、身体検査B(脳波検査)
- 3次試験:面接試験及び飛行訓練装置による操縦適性検査
1次試験は主に筆記試験で、2次試験では身体検査、3次試験で面接と適性検査という流れです。
先ほどの表でもわかるように、1次試験で半分以下の300人弱に絞られます。
2次試験で更に半分絞られ、150名弱になります。
最後の3次試験で、定員の108名まで絞られます。
このように、1次試験と2次試験が航空大学校入学の山場になるのではないでしょうか。
航空大学校に寄せられた質問がこちらです:
これにより、1次試験の点数は高ければ高いほど有利といえるでしょう。筆記試験の勉強を死に物狂いでやるしないかないですね。
2次の身体検査は、普段から食生活と運動に気を使う必要がります。健康的な体は付け焼き刃では手に入らないものです。
仮にエアラインパイロットになっても、1年に1回第1種航空身体検査を更新しなければならないので、心身共に健康状態でいることはパイロットの日課といえるでしょう。
学費は?
【入学料】 | 282,000円 |
【授業料】宮崎学科課程 | 668,000円 |
【授業料】帯広フライト課程 | 802,000円 |
【授業料】宮崎フライト課程 | 802,000円 |
【授業料】仙台フライト課程 | 936,000円 |
寄宿料月額 | 1,500円 |
- この他に制服代:80,000円
- 事業用操縦士 国家試験受験費用:
- 【学科試験】5,600円
- 【実地試験】56,500円
- 【登録免許税】7,500円
- 計器飛行証明 国家試験受験費用:
- 【学科試験】5,600円
- 【実地試験】51,300円
- 受験会場までの交通費(実費)
- 操縦練習許可身体検査(1回3万円程度)
- 航空身体検査受診費用(1回3万円程度)
- 各課程の移動費(実費)
- 寮生活での光熱費、水道料金、食費等(実費)
がかかります。
就職先は?
航空大学校が過去5年分の就職先を公表しているので添付しておきます。
航空大学校就職先5年分まとめ
航空大学校への入学は難しいと、初めから諦めている人はいかがだったでしょうか?
倍率は8倍程度ありますが、合格する人がいるのであなたができないはずがありません。また、大手人気一般企業に就職する倍率の方がはるかに高いことがわかりました。
どんなことをするのにも努力は必要です。どうせ努力をするのであれば、自分が本当にやりたいことに力を注ぎたくありませんか?
初めから自分はダメだと思うのではなく、自分の現在地とゴールを見据えて歩み続ければいつかはゴールにたどり着くことでしょう。
パイロットになるための道はいくつもありますが、周りを見ていると航空大学校のコミュニティはとても大きいと感じます。
航空大学校出身というだけで、自然と先輩後輩の関係が生まれて、わからないことを質問できるチャンスや、キャリア形成の相談などがしやすくなるメリットもあるでしょう。
エアラインパイロットを目指すのであれば、航空大学校に進む道を1度考えてみてもいいのではないでしょうか。
航空大学校に行ってみる:リンク