【航空通信】通信の優先順位は?何で決まっているの?

【航空通信】通信の優先順位は?何で決まっているの?

航空無線を聞いていると、先に通信を開始したら、その人が優先的に取り扱われることが多いです。

交通量のある空港付近では、特に天気の悪い時は、無線通信に隙間がないぐらいひっきりなしに交信が交わされます。

少しでも、ATCが呼び出して航空機局から応答がないと、後回しにされてしまい、結果ワイドベクターなどをくらってしまい、着陸の順番が遅く入れ替わる可能性もあるので、ATCを担当する操縦士はマイクボタンに指をかけて、すぐに応答できるように準備をするぐらいです。

ATC側も、どの順番で航空機に指示を出したら、スムーズにオペレーションできるのか考えて、通信をしています。

例えば、イニシャルコンタクトをとってきた機体に返信するのと、ローカライザーコースが近づいてきた機体に、アプローチクリアランスを発出するのでは、時間的余裕が違います。

また、積乱雲の回避の要求も、飛行機は上空では止まれないので、時間との勝負です。

今回は、これ以外でも航空通信をする上で、優先順位があるのか見ていきたいと思います。

規則ではどうなっているの?

無線局の通信に関することは、無線局運用規則に記載があります。

第百五十条 航空移動業務及び航空移動衛星業務における通信の優先順位は、次の各号の順序によるものとする。
一 遭難通信
二 緊急通信
三 無線方向探知に関する通信
四 航空機の安全運航に関する通信
五 気象通報に関する通信(前号に掲げるものを除く。)
六 航空機の正常運航に関する通信
七 前各号に掲げる通信以外の通信

2 ノータム(航空施設、航空業務、航空方式又は航空機の航行上の障害に関する事項で、航空機の運行関係者に迅速に通知すべきものを内容とする通報をいう。以下同じ。)に関する通信は、緊急の度に応じ、緊急通信に次いでその順位を適宜に選ぶことができる。

3 第一項第四号及び第六号に掲げる通信の通報は、別表第十二号のとおりとする。
(昭三八郵令二八・全改、昭四〇郵令二九・昭四六郵令三・平元郵令七七・一部改正)

無線局運用規則 第百五十条

このように決まっているのです。

まとめ

車を運転していて救急車が通る時は皆が道を譲るように、遭難や緊急の航空機が同じ周波数を使用して飛行している時には、我先にと通信を開始するのではなく、困っている人を先に通信させてあげるように、心がけなくてはなりません。

この気持ちを規則にしたものが、無線局運用規則の第百五十条に当たるのではないでしょうか。

困っている時はお互い様の気持ちを忘れずにいたいものですね。

 

【参考文献】