【タービンエンジン】の運用上で注意するべきこと3点!
タービンエンジンには、それぞれ違う個性があります。
それによって、それぞれ違うオペレーション方法があります。
しかし、共通点もあります。
それらは、「エンジン温度のリミテーション」「気温と出力」「外的要因のダメージ」など注意してあげる事です。
エンジン温度のリミテーション
タービンエンジンでは、エンジンの温度管理がとても大事です。
タービンエンジンで一番温度が高くなるところは、タービンの入り口です。
注意:コンプレッサーとタービンを区別しているので注意しましょう。
TIT:Tubine Inlet Temperatureゲージでモニターしています。
出力の減衰
タービンエンジン機ののスラストは、空気密度によって変化します。
いかに多くの空気を吸い込み、圧縮して、燃料を燃やすかにアウトプットは左右されます。
入ってくる空気の密度が下がれば、出力も下がります。
密度が下がる原因として考えられる事は、空気の温度が上がることです。
「冬よりも夏」「北極南極よりも赤道」「高高度よりも地上付近」では暑くなります。
また、空気中に水分があると空気密度が下がる傾向にあります。
外的要因のダメージ:FOD
タービンエンジンの入り口にゴミや鳥などが入ってくることがあります。
ハドソン川の奇跡で有名なUS Airways 1549便の不時着水事故も鳥が原因でした。
【航空機事故】ハドソン川の奇跡 | US Airways1549便不時着水事故
これらがコンプレッサーやタービンにダメージを与えてしまい、最悪エンジン停止に追い込むほど脅威です。
このように、外部の物を吸い込んでエンジンにダメージを与えることを「FOD:Foreign Object Damage」と言います。
「滑走路」「タクシーウェイ」「ランプ」などには小石など色々なものが落ちており、それが飛んできて機体に「凹み」や「くぼみ」と言ったダメージを与えます。
これらが増えると、機体表面はボコボコし燃費が悪くなります。
また、一度空に上がれば、鳥や氷がダメージを与える可能性があります。
最近のエンジンは直径が大きくなり、地面とエンジンのクリアランスが狭くなってきています。
あるエンジンでは、地面とエンジンの底との間に渦流ができやすく、渦が地面のゴミを吸い上げてしまうこともあります。
なので、渦を放散するパーツが取り付けられているものもあります。
機体へのFODのダメージがないか確認する意味でも、パイロットは毎フライト前に、飛行機にFODの後がないか目視確認を行います。
まとめ
タービンエンジンを使用する上での注意事項3点を見てきました。
どんなにオートメーション化されても、パイロットがただ座っていればいいということではありません。
機械はどのような行動をしていて、そのアウトプットはどうなれば望ましいのかを先回りして考え、その通りになるか見張っておかなければなりません。
このフェーズではどのようなエラーが起きやすく、そのエラーが発生したらどのような対処をすればいいのか、あらかじめイメージできてればベストでしょう。
今回は、タービンエンジンの運用上で注意すべきことの一部をご紹介しました。
カラー図解でわかるジェットエンジンの科学 なぜ旅客機はターボファンが主流なの?タービンはどうやって圧縮機を回すの? (サイエンス・アイ新書)
【参考文献】
Pilot’s Handbook of Aeronautical Knowledge – CH7
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