【ヒューマンエラーの分類】人はどんな種類のミスをするのか?

【ヒューマンエラーの分類】人はどんな種類のミスをするのか?

なぜヒューマンエラーを分類するの?

人はミスをする生き物だとよく言われますが、そのミスはどんな種類に分けられるか知っていますか?

今回は、ヒューマンエラーを分類してみたいと思います。

ただ漠然と、エラーはしてはいけないと言い聞かせても、正しい安全対策はできないでしょう。

神頼みになってしまい、自分の具体的な行動まで突き詰める事ができないです。

どんなタイプのエラーがあるのか知った上で、自分がどのエラーを引き起こしやすいか知る事で、より確実にエラーを防ぐ事ができるようになるでしょう。

 

【 1.省略エラー(Omission Error)】
通常行うことは、SOP:Standard Operating Prceduresと呼ばれる、あらかじめ定められている手順があります。

これは、イレギュラーな事を除いて、毎回同じ事をやる事の中で、やり忘れを防止してくれ、業務の品質を保持してくれます。

慣れてくると、体がSOPを覚えてしまい、考えずにスラスラ出てきます。

この領域に達することのメリットは、いつもと違う流れになったらおかしいとすぐに感じれたり、やり忘れが減るということです。

しかし、状況次第でやり忘れてしまうこともあるでしょう。

例えば、チェックリストを行うタイミングで、ATCから回避の指示が来た場合、そちらの対応が先になります。

その後、飛行機が落ち着いた時にでもチェックリストは忘れずに行わなければなりません。

チェックリストに書いてあることは、最低限やっておかなければいけない大事な事が書かれているので、それを忘れると最悪事故につながり兼ねません。

このように、やるべき事をやらないがために発生したエラーは、省略エラーと分類されます。

ちなみに、チェックリストを忘れないために、チェックリスをしまっておく場所から取り出して、見える目立つ位置に置いておくと、よりチェックリストをやり忘れる可能性が低くなる工夫をしたりします。

 

【 2. 誤処理エラー(Commission Error)】
これは、行動は取ったがやる事を間違ったり、その行動が不確実だったりした場合、誤処理エラーになります。

昔、実際に起こった事故では、FCUに「3.3°」pathで降下予定が、「33°」を入力してしまい、地面に急降下で激突してしまうこともありました。

この他にも、HDGの指示を、速度計に入力してしまったり間違った処理をしてしまう事があります。

 

【 3. 不当処理エラー(Extraneous Error)】
飛行機の操縦でいえば、機体のリミテーションを超えて操縦をしてしまったり、10,000ft以下の250ktsを超えて飛行してしまったり、禁止されている事を行う事が該当します。

速度制限100km/hと決まっている高速道路を100km以上で走行したりしていませんか?

また、信号のない横断歩道に人が渡りたそうに立っていたら、止まれていますか?

このように、「ちょっとだけ」「今回だけ」「私だけ」なら大丈夫という気持ちが、不当処理エラーを生み出してしまいます。

また、やらなくていいのにやってしまいミスをした際も、このエラーに含まれます。

 

【 4. 順序エラー(Sequential Error)】

このエラーを引き起こす人は、意外と多いのではないでしょうか。

行動を取る順番を間違えるエラーになります。

問題が1点ずつ出てきたら、そつなくこなす事ができる人でも、いっぺんにいくつも問題が発生してしまうと、パニック状態におちったことはありませんか?

飛行機は立体的に飛んでいるので、処理する事が立て続けに引き起こります。

「離陸後のLanding Gearの引き上げ」「TWRからDepへの周波数交換」「FMAの変化」「旋回」「高度制限」「速度超過」「フラップスケジュール」「天候」「他機情報」などいろいろな事に対処しなければいけません。

例えば、目の前に他の機体がありぶつかりそうなら、まず回避です。

一刻も早く、上下左右に避けなければ、いくらATCの指示をあおいでもぶつかってしまいます。

Landing Gearを引き上げたところで、衝突間近という問題からは回避できないでしょう。

極端な例でしたが、一番危険な衝突を回避した後にでも、ATCに報告をしたり、Landing Gearを収納してもいいのではないでしょうか。

どれが最優先事項で、どれから処理するべきなのか考える余裕が必要でしょう。

 

【 5. タイミング•エラー(Time Error)】

順序エラーに似ていますが、行動をとるタイミングも大切です。

いくら正しい行動をとったとしても、それが早すぎたり遅すぎたりすると、エラーになってしまいます。

例えば、着陸後の逆噴射やブレーキのタイミング遅くなると、短い滑走路の空港ではオーバーランの可能性が高くなります。

逆に、接地もしていないのに逆噴射をしてしまうと飛行機は地面に叩きつけられてしまうかもしれません。(安全機構が付いている機体もありますが、過去に事故が起こってしまいました)

まとめ

ヒューマンエラーは5つに分類できる事がわかりました。

どのタイプのエラーが多いかは、人によって違う事でしょう。

あなたは、どのタイプのエラーが多いか自覚できましたか?

自分は、どのタイプのエラーが多いか知る事で、その点をより注意を寄せて、安全性を向上させられる事でしょう。

今回は、ヒューマンエラーを5つに分類してみました。

 

【参考文献】