流体って何?空気の粘度と摩擦と圧力について
流体と聞いて何を思い浮かべますか?
「水」を思い浮かべる人がほとんどではないでしょうか。
現代国語例解辞典によると、流体とは:
気体と液体の総称。流動して、一定の形をもたないもの。
出典:現代国語例解辞典
と定義されています。
水も流体ですし、飛行機が必要とする空気も流体です。
家の中を歩いていて、風の抵抗で重たいと感じる人はほぼいないでしょう。
しかし、実際には少し移動しただけでも、前方の空気が変形をしようとして、人間に抵抗が生じています。
飛行機も流体の中を移動しています。
そんな流体の特性を知ることで、フライトの原則を知る手がかりとなることでしょう。
今回は、「空気の粘度」「空気の摩擦」「圧力」をみていきましょう。
空気の粘度
流体の性質の1つが粘度です。
現代国語例解辞典にも:
粘性の程度。粘性率。
出典:現代国語例解辞典
とあります。
いかに流体の分子同士がくっつく力を持っているのかによって、流体の流れやすさは決まります。
よりくっつく力を持った分子の集まりは粘度が高く、その逆は粘度が低くさらさらしています。
「水」と「オリーブオイル」を比べてみると、両方ともサラサラとしたイメージですが、粘度が違います。
流体知識.comによると、それぞれの粘度は、(20~22℃時)
- 水:約1 mPa•s(ミリパスカル秒)
- オリーブオイル:約100 mPa•s
と、約100倍もオリーブオイルの方が粘度が高いことがわかります。
一方、地球上の空気の約78%が窒素です。
窒素(N2)の粘度は、「0.0176mPa•s」なので、水と窒素は、約100倍もの粘度の差があることがわかりす。
しかし、このほんのわずか0.01という粘度が、飛行機が高速で移動すると、とても大きな抵抗になるのです。
空気の摩擦
流体が周りに与える影響のもう一つが、摩擦です。
現代国語例解辞典によると、摩擦とは:
擦れ合うこと。また、すり合わせること。
出典:現代国語例解辞典
と定義されています。
飛行機が移動すると、飛行機の表面と空気が擦れ合います。
例えどんなに表面が滑らかに見えても、何かと何かがぶつかり合っているところには、摩擦が発生しています。
より凹凸のあるザラザラした表面は、摩擦が大きいです。
なので、少しでも摩擦の影響を減らすため飛行機の表面は、できるだけツルツルに保たれています。
上写真は、リーディングエッジに使われている金属を1500倍に拡大したものです。
翼のリーディングエッジは、肉眼ではツルツルに見えるかもしれませんが、顕微鏡レベルで見るとザラザラしています。
飛行機が移動することにより、空気と翼の間で摩擦が発生します。
よりツルツルした表面なら、流体を受け流すのが容易なのに対して、よりザラザラやデコボコしている表面だと、摩擦の影響が若干ですが大きくなります。
何もないツルツルとした翼の表面と、着氷により表面がザラザラしてるのでは摩擦の大きさが違います。
ちょっとした違いでも、巡航中の機体には大きな影響を与えています。
この、空気の摩擦などにより飛行機が前に進もうとする力を邪魔する力は「抵抗」や「Drag|ドラッグ」と呼ばれています。
圧力
流体が移動すると、圧力の差が場所によって生じます。
例えば、飛行機の翼は、空気の中を素早く移動することによりリフトを生み出しています。
翼の上面は、空気の流れが早いので、そのエリアの圧力が低くなります。
なので、翼は空気の圧力が低い方へ引っ張られようとして、上向きの力が加わります。
これにより、翼につながっている胴体も一緒に空に浮かび上がることができます。
また、翼の上面と下面の気圧差の副作用は、翼の先端で引き起こります。
翼下面の圧力の高い空気が、翼の上面の気圧の低いところに流れ込もうとします。
これにより、翼端渦流(Wingtip Vortex)が発生してしまうのです。
まとめ
普通の生活をしていて、流体の特性(粘度、摩擦、圧力)などを気にする人は少ないでしょう。
特に研究者でもない限り、空気の粘度を知っていていも使い道がないかもしれませんね。
しかし、0.01という小さな粘度のせいで、高速で移動する飛行機にとってはドラッグという大きな影響になることがわかりました。
【参考文献】
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