【ナビゲーションライト】飛行機の翼の赤・緑・白色ライトの意味

突然ですが問題です。月明かりのない夜間飛行中、上の写真のように目の前に飛行機らしきものが見えました。この飛行機は自分達に向かってきているのでしょうか?それとも自分達と同じ方向に進んでいるでしょうか?

飛行機に取り付けられたライトの色の意味を知っていれば、答えがわかることでしょう。

今回は、飛行機のライティングについて見ていきたいと思います。

飛行機のライティング

早速回答ですが、先ほどの飛行機は「こちら」に向かって飛んできています。

一刻も早く回避操作をしないと、約時速900kmの2倍の「時速1,800km」という、とてつもない速さでぶつかりかけています。

これがなぜ分かったのかと言うと、緑色と赤色のライトの位置です。 

飛行機のサイズに関係なく、全ての飛行機の右の翼には「緑色」、左側には「赤色」のライトが埋め込まれています。

そして、尾翼には、白色のライトが埋め込まれています。

では、これはどうですか?

この場合は先ほどとは逆に、目の前にいる機体は自分達と「同じ方向」に向かって飛行しています。

右側に緑色のライト、左側に赤色のライトがあります。

また、機体後方に付けられている白色の光も確認できます。

この、「緑色」「赤色」「白色」の3つのライトを、「ナビゲーションライト|Navigation Light」もしくは、省略して「ナブライト」と呼びます。

出典:A320 Aircraft Characteristics Airport and Maintenance Planning

これは、エアバスA320のメンテナンスマニュアルに書かれているライティングです。

ちゃんと、進行方向に向かって右側が緑色になっていて、左側が赤色になっています。

この色の配置を知っていれば、飛行機はどちらに向かって進んでいるのか一目瞭然ですよね。

決して、左右の色を間違って覚えないでください。

尾翼の白色は覚えやすいとしても、左右の色は覚えにくいのではないでしょうか?

毎回このライトの配置を思い出していれば別ですが、たまに思い出す時、どちらがどちらだったか迷ってしまいそうですね。

間違わないように覚える方法があります。

ナビゲーションライトの配置の覚え方

ナビゲーションライトの配置は、覚え方があります。

尾翼の白色は覚えるのが簡単なので、そのまま覚えられるでしょう。

問題は、左右の緑と赤をいかに時間がたっても、正しく覚えておけるかです。

そこで、右側が緑という事と、英語を利用して覚えます。

「右」は英語で「Right」ですよね。

さらに、「Right」は「正解」という意味もあります。

緑色と赤色だと、正解は緑色で表される事が多いと思います。

「赤ペン」など、赤色は間違いを修正するために用いられる事が多いでしょう。

なので、「Right for Green」と覚えておくと、

  • 右が緑色
  • 右に緑色がある時は正解(同じ方向に進んでいる。不正解ならすぐに修正しないとぶつかってしまう……。)

と覚えられるのではないでしょうか。

これで、ライトの配置は覚える事ができました。

では、一番最初の写真のように機体がこちらに向かってきているとき、あなたは右と左どちらに避けますか?

相手の機体が肉眼で確認できたら、その数秒後には衝突してしまうので、迷っている暇はありませんよ。

飛行機が避ける方向

飛行機が全く逆の方向に進んでいる状態のことを、「Head-on|ヘッドオン」といいます。

逆に、同じ方向に進んでおり、追い抜かそうとしている状態のことを、「Overtaking|オーバーテイキング」といいます。

FAR91.113に、「Right-of-way rules」という項目があり、飛行機が「Head-on時」と「Overtaking時」の避ける方向が定められています。

全てのパイロットがこのルールに従う事で、正面衝突の可能性を下げる事ができます。

上図左のように「Head-on時」には、お互いが右に避ける決まりになっております。

「Overtaking時」は、先を行く航空機は針路を変えず、後ろから追い抜かそううとする機体は、右側からと決まっています。

なぜ、右なのでしょうかね!?

キャプテンは左に座る事が多いので、キャプテン側の窓から対象の機体がよく見えるように(追い抜く側から)、避ける方向は右と決まっているのかもしれませんね。

まとめ

今回は、飛行機のライティングの配置から、実際にどちらに回避したらいいのかご紹介しました。

ナビゲーションライトだけでなく、空港のライティングでも多くの色が使われているので、パイロットの身体検査の項目には「色盲」が取り込まれているのですね。

ナビゲーションライトが見えてから回避行動をするのでは、あまりにも近すぎるので、旅客機にはTCAS:Traffic Collision Avoidance Systemが採用されているので、あまりナブライトの色でどちらに避けるのか判断することはなさそうですけどね。

キーフレーズは、「Right for Green」ですよ。 お忘れなく!

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【参考文献】

  • Code of Federal Regulations Sec. 91.113
  • A320 Aircraft Characteristics Airport and Maintenance Planning